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カテゴリ「メッシー・ストーリー」の41件の記事 Feed

2019年10月 8日 (火)

就活の合間に泥んこ遊び…ストーリー公開

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 絵里子の目の前には休耕田が広がっている。ここは、この前、面接の帰りに卒業研究で使う生物を捕獲して泥だらけになってしまった場所だ。あの日、リクルートスーツのまま泥だらけになってしまった時の感覚が忘れられなかった。
 普段、リクルートスーツを着ている時は、泥などで汚れるのはもちろんのこと、雨で濡れたりしないようとスーツを綺麗に保つことに細心の注意を払うものである。しかし、だからこそ、自らの意志で濡れたり汚れたりするという非日常性に絵里子は引きつけられるのであった。この前、休耕田で泥だらけになってしまって以来、普段汚してはいけない服の代表格でもあるスーツを着たまま泥んこ遊びをすることに目覚めてしまったのだった。

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 この前、泥だらけにしてしまったリクルートスーツは自宅で丸洗いし、洗濯機で脱水し乾燥させた後、皺だらけのスーツをなんとか伸ばしてからクリーニングに出した。何とか就職活動で再び着ることができる状態に復活させたばかりであった。
 今、絵里子は、休耕田の前に立っているが、そのリクルートスーツではなく、なんとオフホワイトに近い色合いのベージュのスーツを着ている。このスーツは大学入学時に姉からもらったものだ。姉はすでに社会人だったが、もう着る機会がないからということで黒やチャコール色のリクルートスーツを含め、何着かスーツをもらってきたのであった。ベージュのスーツなんて
大学在学時に着る機会はないだろうと思っていたが、まさか、こんな時に着るときになるとは・・・・と不思議な気分であった。

 ゆっくりと田んぼの中に入っていく。パンプスは数歩足を踏み入れただけで泥にはまって脱げてしまうことは経験済だったので、脱いでパンストのみ穿いた状態で田んぼの中に入っていった。夏の炎天下、スーツ姿で田んぼの中に入っている光景は傍から見れば不自然なものに違いなかった。周囲には人が寄り付く気配はなく、気兼ねなく泥んこ遊びに興じることができる環境だった。
 まずは、粘着度の高い泥の上にお尻を着いて座ってみた。何度も何度も上下運動をして泥をスカートのお尻部分に着けるようにしたり、いざってみたりした。自分では確認することができないが、泥でスカートのお尻部分が大変なことになっているだろうことを考えると絵里子は気持ちよくなった。

 「(・・・お姉ちゃん、ごめんね。こんなことしちゃって・・・。)」
 姉が通勤時に何度か着用したと思われるベージュのスーツは泥まみれになる序章を終え、第二幕へと導かれるのであった。

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 絵里子は童心に戻った気分に浸り、少女時代に泥んこ遊びをした感覚を思い出しながら泥を手ですくって、田んぼの中で座り込んだままスカートの前面やジャケットに塗りたぐっていった。
 そして、気持ちを抑えきれなくなり、田んぼの上にうつ伏せになって泥に身体をあずけた。生温かくドロドロした感触がスーツ越しに伝わってくる。スーツを泥だらけにするという行為の代償に、天然のマッサージが絵里子の全身を気持ちよく癒してくれた。


 スーツの前面は泥だらけになっていたが、背中はまだ汚れていないであろうことが理子には分かっていた。どうせならスーツ全体を泥でコーティングしたいと思い、泥の中で仰向けになったりうつ伏せになったりを繰り返していった。
 そして、水と泥がちょうどよく混ざり合った部分を見つけ、人間ムツゴロウになって這いながら進んだ。スーツは泥が付着したというよりも、泥と同化したような状態になっていた。そして、さらに激しく、大胆に泥の中で遊んでいるうちにスーツはもうジャケットとスカートの境目が分からないほどになっていた。

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 泥だらけになることが・・・それもスーツのように普段、汚さないように注意して着るはずの服で泥んこ遊びをすることが、こんなにも気持ち良いものなのだと絵里子は心の奥底から感じた。
 この前、生物の捕獲で泥だらけになったのは、あくまでも結果的に泥だらけになった。それでも、いけないことをしてしまったという背徳感とそれを打ち消すほどの泥だらけの自分の姿に対する不思議な満足感があった。
 しかし、今日は、泥だらけになるためだけにスーツ姿でこの場所に来たのであった。絵里子の心に芽生え始めていた「泥だらけになること」に対する幸福感は強固なものになった。

 日が暮れ始めていたので帰り支度をしようと、未練ある泥田に別れの「全身ボディタッチ」をした。そして、田んぼの脇にある水道場でスーツにホースの水を勢いよくかけて泥を洗い流した。泥の塊は落ちるが、スーツの生地に染み込んだ汚れはかなりのものでいくら洗っても色が落ちない。オフホワイトに近いベージュ色だった生地が薄茶色になってしまった。
 一通り洗い終えるとジャケットを脱ぎブラウスの汚れもある程度落とし、歩いて帰りの途についた。絵里子は、また機会を見て泥んこ遊びをしにこようと思うのであった。

2019年9月16日 (月)

クリームまみれクリニック…ストーリー公開

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 絵里子は、幼稚園への就職内定を目標にし、就職活動で忙しい毎日を送っている。ストレスもたまる一方だった。このままでは精神的にまいってしまう・・・と自覚症状があるうちに、なんらかの心療的な措置をしないとならないと思っていた。

 そんな時、面白そうな心療内科クリニックの存在を知った。それは、なんと「クリームまみれクリニック」だった。
 嘘か本当か分からないが、そのクリニックの特徴は、その名の通りクリームまみれになることでストレスを軽減させ、心をリフレッシュさせることで心身ともに健康状態を取り戻すということであった。絵里子は興味を持ち、明日の面接の帰りに行ってみようと早速予約をした。このクリニックのウェブサイトには次のような文章が掲載されていた。

 -----たいていの病気は「気のやまい」なのです。あなたの心身に生じている事象を既存の病気の症状に当てはめ解釈する事によって病気というものが成立してしまうのです。しかし、当クリニックでは「クリーム施術」によって「気のやまい」を根本から癒し、心身の健康状態を取り戻そうという・・・・
・中略・・・・・尚、施術を受けるにあたってはかならず着替えを持ってきてください。その理由は・・・・・云々。」-----
 

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 絵里子は、翌日、予定通り面接の帰りにクリニックに行った。面接で着ていた黒のオーソドックスな2釦のリクルートスーツ姿だ。絵里子は「クリーム施術」の趣旨はしっかり理解していたので、リクルートスーツのままクリームまみれになることは織り込み済であった。
 担当の医師が現れると何やら簡単な説明を受ける。担当医いわく、汚してはいけない服を着てもらい、あえてその恰好でクリームまみれになる非日常性を体験することが大切なのだという。このことによって、困難を乗り越えていくことの疑似体験をし精神力を高め、クリームまみれになるという行為によりアドレナリンの分泌を促し、癒し効果を得られるとのことだ。

 絵里子は、クリニック内にあるいくつかの浴室の一つに通される。そこで生クリームの入った大きな袋をいくつか渡され、それを自分で自由に身体に塗り手繰っていくようにと指示を受ける。身体とは言っても、「今着ている服のまま」クリームまみれになることがこの施術の肝だ。
 先ほどまで面接で着ていた黒のリクルートスーツはタイトスカートのお尻部分に若干の座り皺ができているが、他には皺も汚れもなく綺麗だった。そんなリクルートスーツをクリームで真っ白に汚していくことを思うと、絵里子はなんか不思議な気分になった。同時に、何とも言えないドキドキ感が心の奥底から沸いてきた、
 心臓の鼓動が激しくなり、アドレナリンが大量に分泌されているのをはっきりと感じていた。

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 絵里子は床にお尻をつけ壁に背中をもたせかけた。そして、医師から「処方された生クリーム」をまずはパンプスや脚にかけていく。次にタイトスカートにかけていき手を使ってクリームを広げていく。
 医師からもっと大胆にという助言をうけると、絵里子は生クリームの袋を頭の上にもっていき、勢いよく袋を絞った。ボタボタト髪の毛やジャケット、スカートにクリームが落ちていく。髪の毛はもちろん、顔もジャケットもスカートもクリームでコーティングしていった。先ほどまで開襟の部分だけが白であったスーツ姿が今は全身白づくめだ。
 最後の仕上げとして粒状の五色スプレーをかけ「人間ケーキ」になった気分に浸って施術は終了した。

 さて、ここからも大変だ。真っ白に汚れたリクルートスーツをシャワーで洗い流していく。水をかけた部分が一瞬にして真っ黒になり、まだクリームで汚れている部分とのコントラストが美しかった。
 絵里子はクリームで汚れた髪や顔、ジャケットやスカート、パンプス・・・と全身を綺麗に洗い流していくのにかなり時間を要したが、この行為も非日常的なことで不思議な感覚を抱いた。

 汚れを落とし終わると、全身ずぶ濡れのリクルートスーツ姿の絵里子はすがすがしい表情で担当医にお礼を言うと浴室を後にした・・・。

2019年8月28日 (水)

泥まみれの卒業研究…ストーリー公開

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 よく晴れた昼下がり、絵理子はリクルートスーツを着てとある地方の田園地帯を歩いている。就職活動の面接帰りである。


 ・・・高校までは両親と姉と一緒に東京で暮らしていたが、今は地方のある私立大学の近くに下宿している。というのも絵理子は幼い時から喘息もちで、医者が言うには一番の薬は「綺麗な空気」ということだったが都内に城を構え、生活の基盤を置いている家族にとって、自然豊かな地方移住はすぐには難しかったからだ。
 
 そんなこともあり、絵里子は大学進学する際は地方の大学に行こうと決めていたのだった。今や生物学科の4年生となり両生類を研究している「リケジョ女子大生」である。地方に来てからというもの喘息が嘘のように治った。
 喘息がなくなり体調の不安がなくなった絵里子は心身ともに元気になり、明るく活発な女子学生としてキャンパスライフを送り、部活動は女子ソフトボール部に属していた。今、この瞬間は大学卒業研究の準備と就職活動で忙しかった。
 就職先に関しては、住み慣れたこの田舎町で・・・喘息から解放されたこの地域で・・・と決めている。また都会に戻ると喘息が復活してしまう不安もあったからだ。理系に属しているもののそれを活かした就職先というこだわりはなく、自分の体のことを最優先に自然豊かなこの地域で就職できさえすれば業種も職種も何でもよいと思っている。人手不足の地方での就職なのですぐに決まるだろうと楽観的に考えていた。

 入学してからこの方、大学では両生類の研究に没頭していた。
 しかし、研究の成果が芳しくなく、研究に必要な生物を中々捕獲できないでいた。このままでは卒業研究が遅れてしまい、卒論も書けず、挙句の果てには留年となって卒業できないかもしれない。
 普段、研究材料を捕獲しに行くときはフィールドワークで野山や田園を歩き回るため動きやすく汚れてもいいようにジャージなどの服装が常だった絵理子にとってリクルートスーツの窮屈さは不快だった。

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 そして今日、とある会社の面接帰り、絵里子は就活のことよりも遅れている卒業研究のことで頭をいっぱいにしながら歩いていた。しばらく見慣れた田園地帯を左右に見ながら小道を歩き続ける。キャンパスまでは歩いて10分くらいの場所だ。
 ここ数日間の面接は緊張の連続で疲労が溜まっていたが、フィールドワークでよく訪れている田園風景を眺めて肩の力が抜ける感覚であった。稲が青々と育つ田んぼを眺めつつ散歩感覚で歩いていると作物が植えられていない休耕田に出くわした。休耕田とはいえ、管理がしっかり行き届いて、あまり草が生えていない。遊び場として開放されているので、この辺りでは「泥んこ遊び場」として知られていた。水道や洗い場も完備されていた。人が出入りする休耕田なので生物はそれほどいないだろうと絵里子はノーマークの田んぼだった。

 しかし、たまたま何気なく休耕田の中に目をやると田んぼ中でなにやら生物がいるのが目に飛び込んだ。
 「まさか!」
 と絵里子は思った。反射的に体が動いていた。フィールドワークの時と同じように今自分がリクルートスーツ姿であることを忘れ、「捕獲モード」にスイッチが入っていた。肩にかけていたカバンを投げ捨てると躊躇なくパンプスのまま田んぼに飛び込んでいた。
 泥の飛沫があがりタイトスカートに泥がつくのも構わず進もうとするも柔らかい泥にパンプスが埋まり数歩も進まぬうち立ち往生してしまう。絵理子はパンプスを脱ぎ捨て、先ほど生物が動いたと思われる方に向かって進んでいく。歩きながら左右を見まわし生物がいないかどうか探す。

 さらに田んぼの奥の方へと足を進めると目標の生物まであと一歩と迫った。絵理子は息を整えると一気に飛び掛かり両手で生物を掴む。
 うまく捕獲できたが、その代償としてリクルートスーツの前面は泥だらけになってしまった。しかし、絵里子はスーツが汚れてしまったことなどどうでもよかった。生物を捕獲できたことが何よりも今は嬉しかった。
 もっと生物を探そうと田んぼの中を歩き回るがさすがに疲れ、泥の中に座り込んでしまう。すでにスーツは泥だらけなので気にならなかった。休みながらもあたりをキョロキョロしながら生物を探す。トンボやカエルなどには目もくれず珍しい生物を探していた。

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 また向こうの方で何かが動くのに気がついたので急いで立ち上がり移動した。移動中に足をとられて何度も転んでリクルートスーツはさらに泥で汚れていく。
 動きやすくなるために絵里子はジャケットを脱ぎ、無造作に泥の上に放り投げる。そして、また生物を探し回る。しばらくすると、また珍しい生物が目に入ったのか、そちらの方に向かって走っていき飛び込んだ。
 「バチャーン」と泥の飛沫が上がる。絵理子は泥の海にうつ伏せで横たわってしまった。今朝、初めて袖を通したばかりの新品の純白のブラウスも泥で茶色に染まってしまった。
 全身泥まみれのまま畦道に戻った絵理子は田んぼの脇の畦道に座り込んだ。一息つくと泥まみれのリクルートスーツが頭を過った。首から上を除いて全身泥まみれのうえにブラウスの袖やタイトスカートの裾からは泥が垂れていた。
 
 泥だらけの自分の姿を見て子供のころのことを思い出した。
 ・・・お姉ちゃんと一緒に近くの公園で泥んこ遊びをしたことだった・・。

 すると、絵里子は童心に戻って泥んこ遊びに興じた。スカートとブラウスは前も後ろも泥だらけで、元々どのような状態だったのか、ブラウスとタイトスカートの境目が分からないほどだ。
 ぬるぬると生あたたかい泥の感触が気持ちよく絵里子は泥の中で何度も寝転がったり、うつ伏せになって這ったりした。時間を忘れて泥んこ遊びをしていると、日が暮れ始めていた。気温もやや涼しくなってきていた。


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 絵里子は先ほど脱ぎ捨てたジャケットやパンプスを田んぼの中から回収すると、田んぼの脇の水場に行って必死になって泥を流した。いくら流しても出てくる泥に手間取りながら表面の泥をある程度洗い流すことができた。
 自宅まで歩いてもそう遠くはないし、この田舎町なのでそう多くの人に自分の姿を見られることもない。

 卒業研究の材料としては十分な生物というお土産を片手に絵理子は足取りも軽く自宅へと歩いて行った・・・。

2019年8月 6日 (火)

過酷な面接特訓…ストーリー公開

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 保育士資格を保有している絵里子は、大学卒業後に幼稚園で子供たちの面倒を見ながら過ごすことを夢見ていた。
 自分が幼稚園の時、当時は保母さん(現在は保育士)というお姉さんがいて、夏はプールで水遊びしたり、畑で芋掘りをして泥だらけになって遊んでくれたりと大人になった今ではなかなか体験できない思い出がいっぱいある。自分も昔お世話になったお姉さんのようになって幼児達と一緒に泥だらけになって遊びたいという不思議な願望を持っていた。

 幼稚園の面接は意外にも難関ということでしられている。その難関を乗り越えていくことは当然のハードルであり、配属後には幼児達やその父母達を相手に日々過ごさなくてはならないため強靭な精神力が求められる。物わかりの良い悪いにかかわらず大人を相手にするよりも子供を相手にする方がはるかに難しいことを絵里子は経験的に習得していた。
 幼児相手なので、いつどのようなことが生じるか分からない緊張感のもとで、時には過保護すぎる親や、モンスターと言われる親たちとも対峙しなくてはならない保育士の採用面接では、圧迫面接やハプニング時の対応を様々な方法で観察することが今や常識となっている。たんに「子供好き」で「優しい」では務まらない仕事である。

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 そんな状況下、絵里子は、どんな面接にも対応できるようにという思いから、過酷な面接特訓で鍛えてくれるということで有名な某保育士養成所の特別面接特訓に参加することにした。
 参加にあたっては、必ずスーツ一式を予備に(着替えとして)持ってくるように注意が促されているという何とも怪しげな面接特訓だ。泥だんごを作ったり、粘土遊びの模擬面接があるのだろうと推察した。

 絵里子の予想通り特訓場所は浴室であった。今日の特訓面接ではリクルートスーツが2着必要だということが分かっていたので、この日のために1着新調していた。絵里子は、その新調したばかりの黒のリクルートスーツを着て浴室の中で座っている。
 「(ひょっとして水でもかけられるの?)」
 どうやら泥だんご作りではなさそうで、絵里子の予想していなかった展開になりそうで表情が曇る。真新しいリクルートスーツに視線を落とした。

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 「では、今から面接を始めます。何があっても動じずに受け答えしてください。」
 面接官役の男性がありきたりの質問をし始めた。しかし、ここで重要なのは、質問へ気の利いた言葉を返すことではない。あくまでもこれから起こるであろうことに動じずに対処することだ。質問に応答している最中にどこからともなくクリームがリクルートスーツに向かってぶっかけられていく。
 最初は少しずづ、だんだんと激しさを増していく。クリームに交じって灰色の泥もぶっかけられていく。今朝おろしたばかりのリクルートスーツが台無しだ。

 一通り面接特訓が終わると頭から脚まで真っ白ですごいことになってしまった。早く洗わないとクリームや泥が染みとなってしまう。
 そんな不安の中、幸いにも面接官役の男が頭から水をかけ始める。クリームの一部は洗い流されるが、何度か水を被っても汚れは綺麗にならない。その後は、絵里子自らの手でスーツに付着したクリームや泥を洗い流し、バスタブにも浸かって入念に汚れを落としていく。
 綺麗になったものの全身ずぶ濡れの状態で面接特訓が終了となった、絵里子はこの後の運命を知る由もなかった・・・・。

2019年7月18日 (木)

野球部女子マネージャーへのお祝い?…ストーリー公開

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 某農業大学野球部には毎年恒例の行事がある。男子部員や女子マネジャーたちの間では学年に関係なくこの行事が盛り上がる。なぜならば、最初に内定をもらった男子部員または女子マネージャーに休耕田で手荒いお祝いをするからだ。
 いや、お祝いというよりも、「伝統の恒例行事」という名のもとに内定をもらっていない4年生連中の羨望、僻みを具現化しただけで、何年も前から続いているのだった。

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 今、休耕田の脇で、今年の「犠牲者」となった絵里子は内定を決めた時の黒のリクルートスーツに身を包んで不安げな表情で立っている。才色兼備ということで学内でとおっているだけのことはあり、リクルートスーツをそつなく着こなしていて、またそれが良く似合っている。第一志望の某大手銀行に総合職として内定を得ていた。
 絵里子の着ているリクルートスーツはクリーニングし、少しの間、クローゼットの中にしまっていたのだろう。皺ひとつなくほとんど新品のようで綺麗な状態であった。おそらくは、内定式の際に着ることを前提に保管してあったのだろうが、よりによって泥だらけになるために着用するとは絵里子も想像していなかっただろう。

 いまから始まる毎年恒例の行事はというと、年によって微妙に内容が異なるものの、最終的にはリクルートスーツが泥だらけになるということは間違いのない事である。
 いよいよ、絵里子はパンプスを履いたまま休耕田の中に足を踏み入れる。泥に足をとられて転びそうになるが、なんとかバランスを保ち、部員たちからの最初の「指令」であるボール探しの開始だ。
 絵里子が来る前にキャプテンが休耕田のどこかに硬式ボールを埋めたのだった。それを3分以内に探し当てるというもので、もし時間オーバーしたら、探し当てた後にボールをスーツで拭いて綺麗にしなくてはならない。

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 絵里子はスカートの裾やジャケットの袖が濡れたり汚れたりしないようにしながらボールを探している。当然と言えば当然のことだが、このことが時間を必要以上に消費していた。またたくまに3分が経ち絵里子の運命は早くも確定してしまったが、絵里子はまだそのことを知らない。一心不乱にボールを探している姿がけなげであり、また哀れでもあった。
 やっとのことで探し当てたものの時間オーバーを告げられると、「えー、もうそんな時間たったの?」と不機嫌そうな表情をしてみせるが目が笑っている。昨年までは下級生として先輩たちの運命を観てきたわけだから、最初から自分の運命だって知っていたはずだ。絵里子の表情は演技、そう、それは、部内一の美貌を誇る絵里子の「ぶりっ子」であった。

 約束通り泥で汚れたボールをスーツのスカートにこすりつけて拭く。泥の付着があまりなかったのかスカートは思いのほか汚れなかった。すると、周囲の部員たちが
 「ボールを泥だらけにしてからもう一度スカートで拭いてみて。」
 と注文を出す。スカートだけではボールを綺麗にできずジャケットも使って泥を拭いていく。みるみるうちに先ほどまであれほど綺麗であったリクルートスーツが泥で汚れてしまった。

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 次は泥田で守備練習だ。グローブはさすがに持っていないので、野球部員の守備練習を真似て守備のポーズをするように指令を受ける。激しく動きなら中腰になりお尻を突き出してボールを捕球するようなしぐさをする。タイトスカートのスリットが引き裂かれそうになると同時に、泥ハネが脚やスカートを汚していった。
 守備練習の次はなんと泥田の中でうつぶせになって匍匐前進だ。泥田の中に汚れたリクルートスーツ姿で立っている絵里子に対して、特に4年生男子部員たちの鬼畜な指令が続く。匍匐前進したあとの絵里子は、リクルートスーツの前面が泥ですごいことになっていた。部員たちからの指令はクライマックスを迎えようとしていた。内定を決めた絵里子のリクルートスーツは二度と着る事ができないようになってしまうのであろうか・・・・。泥を手ですくってそれを塗り手繰っていく。

 部員たちからの指令は一通り終了した。用水路で泥を綺麗に洗い流す前に、ひとまず休耕田の中の泥水で大まかに汚れを落としはじめた。泥のかたまりは落ちるが、泥水をかけているのでリクルートスーツ自体は汚れたままである。用水路に向かおうとすると、ダメ押しとばかりにキャプテンからの指令がとぶ。
 「背中がまだきれいだから、そこで仰向けになってみて。」
 「えー、まだやるの!?」
  絵里子は休耕田の中で仰向けになって寝転んでみた。ブラウスの背中に泥水が流れ込んできて一瞬ひんやりした。仰向けの状態でスーツの前面についた汚れが気になったので落としていった。

 しばらくして立ち上がると、
 「最後にランニング!」と黄色い声がした。同じ4年生の女子マネージャーらしかった。
 「もう!いい加減にしてよ!」
 といいながらも絵里子は笑顔で休耕田の中をランニングしはじめるのであった・・・。

2019年4月 6日 (土)

女子サッカー部への入部試験…ストーリー公開

 今春、絵里子は第一志望の女子大学に合格した。サッカー日本代表の応援でよく友達と一緒にスタジアムに足を運ぶほどのサッカー好きであったが、自分でサッカーをプレーしたことはなかった。
 しかし、観るだけではなく、自分でもサッカーをやってみて、もっとサッカーについて知りたいと、大学入学後はサッカー部への入部を決めていた。スポーツ部とはいえ、女子大の部活動だしそれほど厳しくもなく、仲良しサークルのような感じだろうと軽く考えていた。
 

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 今、絵里子は、女子サッカー部の入部説明会の場にいる。
 とある教室の一角に絵里子を含め5名ほどの新入生がいる。一人はかわいらしいフリルの白いスカートにヘンリーネックのカットソー姿であるが、ほかはジャージやサッカーユニフォームらしきものを着ていた。
 絵里子はと言えば・・・入学式の時に初めてきて、今日が着用2回目という
黒に近い色合いのチャコールグレーのリクルートスーツを着ている。近い将来、就職活動の際にはもちろんのこと、大学生になったら家庭教師のアルバイトをしようと決めていたので、その時にも着用できるようにと、量販店の「リクルートスーツコーナー」で購入したものである。
 今日は、家庭教師センターの登録および面接があったため、リクルートスーツ姿なのであった。その帰りに入部試験に参加すれば効率が良いと考えていたのだが、今となって冷静に考えると、失敗したと思った。
 「(入部試験というからには走ったり、ボールを蹴ったりするのかな?・・・。この恰好だと動きずらいけど何とかなるかな。)」

 教室で4年生の部長から女子サッカー部の年間の活動計画や、日々の練習のことなど一通り説明があった。その後は、何やらキャンパスの裏の休耕田に移動して入部試験があるようであった。
 「(えっ、うそ、そんなこと聞いてないけど・・・。)」
 と絵里子は思った。
 しかし、他の新入生は汚れてもいいような恰好で着替えも持ってきているようであった。先ほど目に入った白のスカート姿の女の子はといえば、女子だけの空間とはいえ人目をはばからずにジャージへと着替え始めている。
 「(なになに、この展開・・・。私だけスーツ姿で浮いてるよ~。着替え持ってないし。・・・っていうか、休耕田で入部試験ってどういうこと?)」
 絵里子は後先のことを考えようとする間もなく、先輩たちに急いで休耕田に移動するように言われる。他の新入生たちからは、
 「何でスーツなの?」
 と尋ねられる。もっともな質問であるが、先輩たちからはなぜか何も言われなかった。スーツのままやれるものならやってみなないという言外に匂わす威圧感を感じた。

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 休耕田につくと、女子サッカー部のはずなのに、男性が一人いた。どうやら顧問の人らしかった。
 「今日は5人か。みんな頑張ってよ!運動部なのでそれなりに厳しく運動能力などをチェックさせてもらいます!でも一番大事なのはガッツですからね!やる気を重視します!」
 基礎知力のチェック、特に脚力の確認をするとのことだった。休耕田という足場の悪い状況下でどの程度の動きができるのかをチェックするということらしい。

 「ちょっと君からはじめようか。ほかの人は彼女がこれからやることをみて後に続いて下さいね。」
 と顧問の男性が絵里子の方を見ながら声をかける。
 「その恰好のままやるの?泥だらけになるけど大丈夫なの?」
 少し躊躇しながらも、絵里子はこの機に及んでは肯定の返事をするしかなかった。
 「あっ、あの・・・はい!」
 「はなかなか度胸あっていいね。では、まずはこの田んぼ中を軽くランニングしてみようか。靴は脱いでいいからね。そうしないと靴が脱げてどこかにいってしまうかもしれないから。」
 絵里子はパンプスを脱ぐと、恐る恐る休耕田の中に足を踏みれた。そこは、泥の深さがそれほどではなかったがふくらはぎ近くまで泥で埋まってしまうので、注意しないと足をとられて転んでしまうそうだった。
 絵里子は転ばないようにするとともに、スカートに泥ハネがとばないように注意しながら休耕田の中を軽く走り出す。絵里子は気が付かないようであるが、第三者から見ると、やはりスカートには泥ハネがどうしてもかかっている。最初のうちは汚れないようにスカートの裾を上げて走っていたが
、しばらく行き来しているうちにスカートが泥水で濡れていき、泥ハネもついてしまっていることに覚悟を決めたのか、スカートが汚れるのをまったく気にしないで大胆に走り出した。そして、ついには足を泥に取られて転んでしまう。なんとか下半身だけが泥田につくだけでおさまったので全身が泥だらけになることは免れたが、脚はもちろん、スカートの一部も粘着性のある泥で覆われてしまった。

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 ランニングの次はサッカーボールに見立てたビーチボールを蹴る試験が行われた。風が吹いていることもあり思うようにボールを蹴ることができない。
 スーツを泥だらけにしながら頑張っているものの自分の体力などに不安をのぞかせる絵里子に対して、顧問は部活をやっていけそうか尋ねられる。サッカーがどうしてもやりたい絵里子は、頑張っていきたいという意思を伝え、入部試験を継続する。
 続いては、休耕田の中で腕立て伏せや腹筋、背筋など体力測定だ。ここまでこなすと、スーツは全身ずぶ濡れ&泥だらけになった。先ほど、教室で部長からの説明を聞いていた時は、クリーニング仕立てで、皺も汚れもなく、まっさらのリクルースーツといっても良いほど綺麗だったが、今は水も無残な姿となっている。
 しかし、その代償として絵里子は女子サッカー部の入部を顧問から認められた。どのような事情によるものか顧問には分からなかったが、スーツ姿で泥だらけになりながら入部試験に臨む絵里子の努力が高評価を得たのであった。

 絵里子は嬉しさが爆発したのか、自ら休耕田の中に飛び込んでいった。そして、どうしたことか田んぼの中で膝をついて座り、泥を手ですくってジャケットやスカートに塗りたぐっていき、さらにリクルートスーツを汚していく。
 今となっては帰りのことなどもうどうでもよかった。ほぼ真新しいリクルートスーツを泥だらけにしていくという体験が新鮮で、童心に戻ったような楽しい不思議な感覚に包まれていた。

2018年10月28日 (日)

内定辞退の代償…ストーリー公開

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 カーテンを開けると陽光がまぶしかった。昨日、夕方から降っていた雨はすっかりやんでいて、いい天気の一日になりそうだ。庭には、妹の長靴が干されていた。すでに乾いてピカピカに光っている。
 金曜日の朝だというのに、天気のよさとは裏腹に、憂鬱な気分であった
。それもそのはず、就職活動で第一志望の会社からすでに内定をもらっていたが、昨日、ある農業関連企業からの内定通知を受け取ったからだ。
 嬉しい悲鳴とはまさにこのことで、絵里子はすぐにでも内定辞退の連絡をしなくてはならない。気が重かったが、早速、絵里子は自分の最終面接を担当した人事部長宛に電話をかけた。通常ならまずは人事部宛であろうが、この会社はなぜか内定に関する返事は人事部長宛にという指示があった。 

 中略

 「本当に申し訳ございません。本日、御社に参りますのでよろしくお願いいたします・・・。」
 絵里子は、午前中の大学の授業を欠席してまで、内定辞退の申し入れをするために人事部長に会いにいくことにした。辞退の申し出と謝罪はできるだけ早い方が先方にとってもよいだろうとの判断だ。

 来るようにと指定された住所をネットで調べてみると、面接で何度か行った時の会社の住所ではなく、会社からちょっと離れたところだった。絵里子は、その住所の地名になんとなく見覚えがあった。特徴的な名前のせいもあった。以前、地図か何かで見たような気がしたのだ。
 最寄り駅からその場所までは歩きだと、なんと小一時間もかかりそうだった。バスかタクシーを利用しなくてはならなそうな辺鄙な場所だ。
 午後からの授業には出たかったので、絵里子は、最寄駅からはタクシーを使うことにした。バスを使ったとしても、バス停からはかなり歩かなくてはならないからだ。田舎町の駅だからだろうか、タクシーが駅前に1台だけしか停車していなかった。運転手は雑誌を暇そうに読んでいた。
 「あの・・・すみません。ここまでお願いします。」
 運転手に住所を書いたメモを見せた。
 「こんなとこ行っても何もないよ。あたり一面、田畑ばかりだけどいいの?」
 「えっ・・・。そうなんですか?(何か変。・・・もしかして?!)」
 住所に見覚えがあると思った理由がなんとなく分かってきた。じわじわと記憶が蘇ってくる。

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 「あの・・・すみません。そこで、構いませんので行ってください。」
 絵里子がそう言うと、運転手は軽く頷き、ゆっくりとアクセルを踏んだ。しばらくの間、車内は静かだったが、運転手がその沈黙を切り裂いた。
 「ここで、私ね、運転手を10年くらいやってるんだけど、そういえば、2、3年前かな・・・。今、向かうところに行ったな。あなたと同じようにスーツ着てた学生さんの女の子だったな。何でそんなところに行くのか分からなかったし、珍しい出来事だったから今でもよく覚えているよ。あなたも、学生さんかい?」
 「あっ、はい・・・。」
 「そうかい・・・じゃあ、帰りもタクシーかな? いや、営業してるわけじゃないよ。今、話した学生さんのことだけど、なぜか、帰りはスーツがびしょびしょで、所々泥で汚れててね。何しに行ったのか分からないけどさ、あなたも、もしかしたらそうなるのか・・・って思ってね。」
 「・・・えっ?・・・。帰りもタクシー使わないと大学の授業に間に合わないので、頼みます!」
 
 絵里子は、就職先と決め内定をもらったもう一つの会社の最終面接で着ていた時の黒の3ボタンリクルートスーツ姿だ。クリーニングしたてのスーツをジャケットの襟からタイトスカートの裾までゆっくりと目をやると、なぜか胸の鼓動が高鳴った。

 「(私・・・何しに行くんだろう?内定辞退のお願いに行くだけなのに・・・このクリーニングしたての綺麗なリクルートスーツが・・・泥・だ・ら・け・に・?・・・。2、3年前の女の子もスーツ着てたんだ・・・それで、泥・だ・だ・ら・け・・・ってどういうことなんだろう。私、どうなるんだろう・・・・?)」
 運転手と会話をしたことがきっかけで、不安と不思議な願望が内的に拮抗し、絵里子は頭の中が暴走し始めていた。そのせいもあり、意外に早く目的地に到着した。
 「ありがとうございました。電話しますので帰りもよろしくお願いします!」

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 タクシーを降りてから数十メートルも歩くと、「見慣れた」場所に到着した。そう、数か月前にリクルートスーツ姿で泥だらけになってしまった、まさにあの田んぼ。懐かしい泥の匂いがあたりを漂っている。田んぼの脇の小屋の前には、泥だらけの長靴が無造作に置かれていた。
 「青野絵里子さん、お待ちしていましたよ。」
 人事部長だ。
 「急なお願いにも関わらず、お時間いただきありがとうございます。内定辞退、本当に申し訳ございません。今日は・・・。」
 絵里子は言葉をさえぎられた。
 「前置きは抜きにして、単刀直入に言いますね。ここはうちの会社が所有する休耕田です。小石を拾ったり草むしりをしないと荒れ果ててしまうので手入れが大変なんですよ。そこで、今日は、青野さんに草むしりをしてもらおうと思います。ほかの会社からの内定があって、そちらに入社を考えているんでしょうから、もうリクルートスーツ着る機会はありませんよね?汚れるかもしれませんが構いませんね?」
 「・・・いや、あの・・・(内定式とか、その後も着る予定なんだけどな・・・)はい・・・。」
 「では、リクルートスーツを着たまま草むしりしてください。田んぼの全部の草とはいいません。30分くらい草むしりしてください。その頑張りの度合いで、内定辞退の申し出をどうするか考えたいと思います。」
 「はい・・・、頑張ります。」
 「その辺りがけっこう草が多いのでお願いします。」
 「あっ、はい。」

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 絵里子は、パンプスを脱ぐと田んぼの中に足を踏み入れていった。30分もの間、草をひたすらむしるということをするにも関わらず、なぜか絵里子は嫌ではなかった。先ほどよりも鼓動が高鳴り、どっくん、どっくんと体を伝わってくるのが分かる。

 最初のうちは汚れないように作業をしているが、草を勢いよく引っ張ったり、泥がたっぷり付いた長い根っこを運んでいるうちにスカートが泥で少しずつ汚れてきた。汚れることをそれほど気にしていないようにも思える行動に、人事部長は驚きのまなざしだ。

 絵里子は、スーツのあちこちに泥が付着しているのに気が付くと、ふっきれたかのように、「もういいや」とつぶやき、田んぼの中にしゃがみこんだり四つん這いになりながら草むしりを始めた。スーツは泥だらけになるが、中腰で草むしりするよりも、体勢的にはるかに楽だっだ。
 数か月前、ここで感じた何とも言えない衝動が蘇る。そして、内定辞退を認めてもらうために、クリーニングしたてのリクルートスーツをさらに大胆に汚していき、人事部長にアピールした。
 午後から授業に出ようとしていたことなど今は忘れている。後先考えず、ひたすら泥だらけになっていく絵里子あった。

2018年8月16日 (木)

就活帰りのハプニング…ストーリー公開

 ある夏の日の朝、就職活動に励んでいた絵理子は、親の軽自動車を借りて都内郊外に本社を持つ農業関連企業2社の選考のために出かけた。
 ここのところ一次面接で落とされ続けている悪い流れを変えようと、心機一転、昨日のうちにリクルートスーツを新調した。今まで着ていたのは黒の3ボタンスーツだったが、黒の2ボタンスーツへとデザインを変えてみた。しかし、悪い流れは変わるどころか悪化してしまったようだ・・・。

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 まず、1社目では面接であがってしまい大失敗。2社目では、なんと先方の手違いで選考日が異なっていた。つまり、誤って今日呼ばれてしまったのだ。
 今日のために、友達と
バンドのコンサートに行くのをキャンセルしていたのに実力を発揮できず憮然としながら帰宅の途につく。ところが、面接先のすぐ近くにある田園地帯を走っているとガス欠で車が止まってしまった。どこまでもついていない・・・。

 やむを得ず近くのガソリンスタンドを探しに行き、ここまで来てもらって何とか対処してもらおうと考えた。貴重品や選考書類、履歴書などが入ったリクルートバックを大事に肩にかけ、歩き始めた。
 田園地帯を歩いていると道に迷い、畦道を進むと休耕田にぶつかり道が途切れてしまった。周囲を見渡すと、ある方向に民家やマンションが見える。そちらの方に向かえば間違いなくガソリンスタンドがありそうな雰囲気だった。
 しかし、そちらの方向に行くには、目の前の休耕田を突っ切らなくてはならない。それが嫌であれば、今来た道を戻って人に正しい道順を聞けば良い。普通なら、後者を選ぶはずだが、暑さと就活のストレスで嫌気がさしていた絵理子はパンプスを履いたまま休耕田に踏み込む決断をする。パンプスやスーツが汚れても洗えばいいわけだし・・・と汚れることに躊躇がない。大学生らしい向こう見ずな判断である。

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 休耕田に入り、いくらも進まないうちに泥にパンプスが埋まりよろけて尻餅をついてしまった。大事な資料なども入っているリクルートバックに泥はねがとんでしまった。これ以上泥で汚れないように、リクルートバックをいったん、畦道に放り投げて埋まったパンプスを掘り出しにかかる。
 芋掘りの要領で泥の中からパンプスを力任せに引き抜くと、バランスを崩して再び休耕田に尻餅をついて座り込んでしまう。真新しいリクルートスーツが台無しだ。スカートはもちろん、ジャケットもお腹の辺りまで泥水に沈んでしまった。

 吹っ切れた絵理子は、足をとられて転ぶことがないように膝立の状態で泥の中を進んでいく。否応がなしに泥水でスカートが汚れていく。しかし、絵里子は不思議と汚れていくことに抵抗がなかった。絵里子の頭の中では、ガソリンスタンドに早くたどり着きたいということの方が優先度が高かった。
 リクルートスーツを泥だらけにするのを厭わない気持ちの代償として、思いのほか早く休耕田の対岸までたどり着いた。パンプスをはくと、街の方を目指して歩き出そうとした。

 ・・・すると、頭が真っ白になった。パンプスを泥から引き抜く際に、一時的に放り投げたリクルートバッグを対岸の畦道に置いてきてしまったことに気づく。大事なものが入っているため、置いたままにするわけにはいかない。今来たルートを戻るため、絵理子は再び休耕田に踏み込んだ。

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 やはり、パンプスは泥の中に埋まってしまう。なんとかパンプスを探し出すと、四つん這いになって進み始めた。スカートもジャケットもブラウスも、泥だらけになってしまうが、この体勢で進むのがここでは最も効率が良かった。
 リクルートバックのところへとたどり着くと、さすがに疲れたのか少し座って休むことにした。
 この状況になっては、街までガソリンスタンドを探しに行くのが億劫に感じた。泥だらけのスーツ姿を人に見られるのが嫌だからというのではなく、単純に、面倒なことのように思えてきたのだ。そこで、絵里子はリクルートバックからスマホを取り出すと母親に電話し、今までの状況を説明し、今いる場所がどのあたりかもグーグルマップを活用しながら知らせた。
 もちろん、スーツが泥だらけであることも知らせたが、なぜか母には誇張して伝えた・・・。

 「(もう泥だらけなんだし、お母さんが迎えに来るまで泥んこ遊びしちゃおう・・・。」

 三度、休耕田の中に入ると、おもむろに田底から泥をすくいあげ、ジャケットやスカートに塗り手繰っていった。何度も何度も繰り返した。泥の匂いが嗅覚を刺激してくると、絵里子は「デジャブ」の感覚にいざなわれた。
 「(なんか懐かしい・・・。初めてじゃない、この感覚・・・。)」

 休耕田の中で体育座りのように躊躇なく座り込むと
お尻から伝わってくる泥の柔らかい感触に魅せられた。そして、吸い込まれるようにリクルートスーツのまま泥遊びに興じてしまう。
 就活のストレスからなのか・・・絵里子を突き動かす根源はわからないが、何かにとりつかれたように泥まみれになっていく。
泥まみれになりつつ、絵理子の心は晴れやかであった。

 【原案:ロイさん 脚色:OLS管理人】

2017年11月12日 (日)

内定者研修での泥との戯れ…DL販売開始

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 本日から「内定者研修での泥との戯れ」のダウンロード販売を開始致しました。(デジタル写真集の販売は現時点では未定です。現在は動画のみの販売になります。)
 本作品は、今月中にリリース予定のBD/DVD「屋外泥んこMESSY作品集5~農業へのいざない~」(メッシーシリーズ:商品番号DM11)に収録する2シーン目となります。BD/DVDのリリースに関しましては後日、このブログにて告知いたします。 


 ※※※※※※※※※※※※※※※※ 

 本作品は、以下のストーリーを基に映像化したものです。

 数年間OLとして働いていた絵里子は、農業への夢をあきらめきれず、農業関連企業への就職を目指し転職活動をしていたが、このたび、第一志望の会社への内定を獲得した。
 絵里子にとっては苦い思い出のある企業への内定だ。そう、書類選考を通過し、初めて面接に行った時の帰りに休耕田の中で泥だらけになってしまったというあの思い出だ。

 あれから数ヵ月、絵里子は今、とある田舎街にある農業関連企業の本社ビルの中にいる。今日は内定者を対象とした研修会の日であった。
 絵里子をはじめ内定者たちは暗黙の了解でリクルートスーツを着ている。絵里子は、「あの時」に黒のリクルートスーツを駄目にしてしまったため、後日、濃紺のリクルートスーツを購入していた。今日は、その濃紺のリクルートスーツ姿である。

 研修の開始時刻になると、中年男性がドアを開けて部屋に入ってきた。

 「内定者の皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。これから内定者研修の1部を始めさせていただきます。~~~中略~~~
 ・・・文書で事前にお伝えしてありますが、休耕田での研修となります。来春、入社後に実施される新入社員歓迎のイベントである「泥田運動会」の練習と言いますか・・・、実際に泥田に入っていただき泥の感触を実際に体験してもらいたいと思います。内定者同士の親睦を深める目的もありますので、どうぞ仲間と一緒に思いっきり泥と戯れて下さい! では、着替えを持ってきていると思いますので、早速、更衣室で着替えてきてください。」

 絵里子はじめ女子内定者たちは女子更衣室へと移動し着替え始める。

 「なんか楽しそうですね!・・・あれ、着替えないんですか?」
 絵里子の隣の席に座っていた新卒女子大生が驚いたような表情で話しかけてきた。絵里子は呆然としている。

 「いや、私・・・お知らせの文書の中身をちゃんと確認しなかったみたい。泥んこになるなんて・・・。着替え持ってきたことは持ってきたんだけど。」
 絵里子はカバンの中からお知らせの文書を取り出して、イベントの中身を確認した。たしかに、【汚れても良い服を着替えとして持参すること。下着も忘れず持参の事。】と明記されている。
 社会人としての絵里子は日々の仕事に忙殺されていることもあり、日時や場所と持ち物だけを確認しただけで、イベントの内容にまでは意識がいかなかったのだ。むろん、着替えとして持っていく服が泥だらけになることなど知らなかった。
 ちょっと動きやすい服ならと思って、白の半袖のブラウスと白のボックスブリーツスカートを持ってきていた。

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 絵里子の頭の中は混乱する、上下白の服で泥だらけになんかなったら、二度と着れなくなるだろうと容易に想像がついた。だからといって、今着ている濃紺のリクルートスーツでやるわけにもいかない。今後、内定式や入社式などで着用する機会があるからだ。
 イベントへの参加を今から急に辞退しようとも考えたが、先方の心証を悪くし、入社後に希望の配属先に就けなくなるかもしれないと心配した絵里子は覚悟を決めた!
 さすがにリクルートスーツではないが、上下白の私服のまま参加することにした・・・。

 参加者や先輩社員たちはみんな着用感のあるジャージやハーフパンツなどだ。絵里子と同じ女子内定者の中には、デニムのホットパンツ姿の女子もいたが、あとは大体ジャージ姿だ。絵里子だけが上下白でしかもブラウスとスカートという、OLの私服通勤着スタイルという異様な光景だった。絵里子は、自分だけがこんな格好でいる羞恥心から、このまま時間が止まってほしいと願ったが、時計の針は絵里子をあざ笑いながら進む。
 まずは、先輩社員の指導の下、一同準備体操から始まった。泥田の中では足が取られたりして意外に体力を使うため、急な体勢変化などなどで足腰を痛めないようにとの配慮であった。泥田の脇で腹筋や腕立て背筋などを行う。地面が湿っていたため、絵里子のスカートは早くも泥染がついてしまったが本人は気が付かついていないようだ。

 いよいよ泥田の中へと足を踏み入れる。またたくまにセミロング丈のスカートのすそ近くまで泥の中に埋もれる。泥に足を取られて転びそうになりながらも何とかこらえて田んぼの中を移動する。
 絵里子はこれ以上汚れないようにと気にしているが、どうせ最終的には泥だらけになっているんだろうと覚悟はしている。
 
 しばらくすると、内定者たちは泥に慣れてきたのか泥の中に寝転がったり、小走りしてみたりと、泥遊びを楽しみ始めている。絵里子は、まだ大胆に泥の中に体をあずけることを躊躇している。しかし、自分だけ何もしないわけにはいかないので、小走りで田んぼの中を動き回って参加していることをアピールしている。
 徐々に泥ハネでスカートの下部が汚れてきた。泥だらけになる覚悟はできているとはいえ、やはり汚れは気になるものだ。視線をスカートの方に落としたながら走っている時に事は起きた・・・。

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 パシャ-!と音をたてて、泥田の中に豪快にうつ伏せ状態で転んでしまった。周囲がどよめき、絵里子に同情の視線があつまる。絵里子は苦笑いで応えるのが精いっぱいだった。
 なぜか、突然そのまま腕立て伏せや腹筋をして自ら純白の服をさらに泥だらけにしていく。何かが吹っ切れた。
 はじめて、この会社の面接に来た時、その帰り際に・・・まさにこの場所でリクルートスーツ姿のまま泥だらけになってしまった、あの時の感覚がよみがえる。泥をブラウスやスカートに塗りたぐっていき子供の時のように泥んこ遊びに興じる。

  気分がのってきたのか、行動はエスカレートしていく。泥田の中を転げまわり純白の服をこれでもかといわんばかりに泥だらけにしていく。そして、水気が少なく粘着質の泥が広がっている箇所にわざわざ移動し、うつ伏せになった。ビーチフラッグならぬ泥田フラッグの練習を開始した。入社後の「泥田運動会」の競技種目の一つになっているらしかった。何度も何度も思う存分泥田フラッグの練習をしてから、田んぼから出る時には、先ほどまで真っ白で綺麗だった服が取り返しのつかない姿に変わり果てていた・・・。しかし、絵里子の気分は今の姿とは対比的で晴れやかであった
。(完) 

■内定者研修での泥との戯れ
 動画本編17分(2200円) ➡ 購入ページ
 ※本作品のデジタル写真集の販売は現時点では未定です。

2017年9月20日 (水)

農業関連企業の面接帰り…DL販売開始

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 本日から「農業関連企業の面接帰り」のダウンロード販売を開始致しました。(デジタル写真集の販売は現時点では未定です。現在は動画のみの販売になります。)
 本作品は、今秋(10月~11月)リリース予定のBD/DVD「屋外泥んこMESSY作品集5~農業へのいざない~」(メッシーシリーズ:商品番号DM11)に収録する1シーン目となります。 


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 本作品は、以下のストーリーを基に映像化したものです。先日ブログでお知らせしましたが、このストーリーは「ロイ」さんが考えたものです。私が普段ストーリーを書く際、主人公の女性(たいていは女子学生)の名前を絵里子として統一しています。そのことを考慮していただいて、主人公の女性を絵里子という名前でお書きになってくださいました。

 農学専攻の女子学生が就職活動の時に、農業系の仕事に就きたいと考えていたものの、不本意ながら一般企業の事務職に就くことになり数年間OLとして働いていました。しかし、農業関連の仕事への想いを捨てきれず、転職活動を開始することになります。そして、ある農業関連企業の書類選考に通り、面接にいくことになるのですが、その面接の帰りにある出来事に遭遇し、最終的には泥だらけになってしまうという物語です。


 【ストーリー】(作:ロイ)
 
 オフィス街に事務所を構える某企業で事務職をしている絵里子は仕事のことで悩んでいた。絵里子は大学で農学を専攻しており就職活動時にも農業系の仕事に就きたいと考えていた。しかし思いも空しく絵里子の気持ちを汲んでくれる企業は現れず結局は希望度の低い今の職場に不本意ながら所属することになった。

 それから3年、何とか勤め上げてきたが最近は「転職」の2文字が絵里子の頭を占めるようになった。「そろそろ潮時かな」と絵里子は転職活動を始めることにした。
 転職活動を本格化させたある日、絵里子は有休を使って郊外の農業の盛んな地域に赴いた。書類選考を通過した企業の面接に参加するためである。面接自体はスムーズに進み面接官との会話も弾んだ絵里子は手ごたえを感じていた。訪問先の企業から帰宅するにあたって絵里子は最寄りの駅まで徒歩で向かうことにした。行きはタクシーを使ったのだが目的地までの距離が短かったため帰りは徒歩で行けると考えたのだった。さらには自分の仕事場になるかもしれない田園地帯を徒歩でゆっくりと眺めたかったのだ。
 面接の担当者にその旨を伝えると社名も印字されたかなり詳細な地図をもらうことができた。
 「弊社の本社はこんな辺鄙な場所なうえ、携帯も圏外になりますからね・・・」
 来客が道に迷うことが珍しくないため予め用意しているのだと面接官は苦笑しながら話していた。絵里子は地図を確認しながら最寄りの鉄道駅まで歩いていた。

 交差点に差し掛かり順路を地図で確認しようとした瞬間突然の突風が吹き地図が飛ばされてしまい近くの休耕田に落ちてしまった。「社名入り」の地図が何かの形で会社に戻ることがあれば面接官からの心象の悪化は避けられない。
 一瞬頭の中を様々な思いが駆け巡ったが絵里子は腹を決めてパンプスを履いたまま休耕田の中に入っていった。膝下に達する泥の中でスーツが汚れることに注意しながらなんとか地図の回収に成功した絵里子。陸地に戻り近くの用水路で泥の汚れを落とし傍目にはとても休耕田に入ったようには見えないようになった。

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 用水路脇で一息ついて何気なく時間を確認しようとバッグからスマートフォンを出そうとすると見当たらなかった。地図を拾おうと休耕田に入るときには確かにあったはずだから間違いなく休耕田のどこかに落ちている。慌てた絵里子は今しがた抜け出したばかりの休耕田に再度入り捜索を開始した。
 地図を拾った時とは違いスマートフォンは水中に沈んでしまい手探りで探すしか方法がない。絵里子はスーツのまま前かがみになり泥の中を探し回るが中々見つからない。動きの制限されるリクルートスーツを着たまま前かがみという無理な体勢をしていたため絵里子は体力を消耗しスカートの裾やお尻の部分、袖が泥に浸かっているのも気づかないほどになっていた。そして疲労がピークに達したときに事件は起きた。

 探し場所を移動しようとしたとき踏み出した足元の地面が急に深くなり足を取られヒールのあるパンプスを履いていた絵里子はろくに抗うこともできないまま尻もちをついてしまった。
 時が止まり絵里子も思考停止してしまうもスカートから浸み込んでくる水に現実に引き戻される。疲労困憊の上、スカートが泥まみれという異常事態のため正常な判断力を失った絵里子は「少しは探すのが楽だろう」と半ば吹っ切れた様子で田んぼの中に四つん這いになりスマートフォンの捜索を再開した。
 長い時間泥の中を探した結果、水中を探る指に固い何かが触れた。持ち上げてみると探していたスマートフォンである。

 疲労困憊の中、田んぼの畔の部分に腰をかけて泥まみれのスーツの始末を考える絵里子の中に古い記憶が蘇った。
 それは絵里子がまだ幼かったころ田んぼで泥まみれになるという体験だ。泥まみれになるということが楽しい気持ちいいと感じた過去の記憶を追体験することによって蘇ったのだった。疲労による思考の低下と過去の記憶の蘇りによって絵里子は正常な思考を失っていった。

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 絵里子はおもむろに立ち上がると今抜け出したばかりの田んぼに再度入っていった。中心に向かうにつれて徐々に深くなる泥に足を取られついに膝をついて座り込んでしまう。
 スーツの汚れ具合が増してしまうが今の絵里子にとっては問題ではなかった。もはや泥で汚れることが目的になってしまった。絵里子は泥を手で掬い上げてスーツの袖を汚し始めてしまう。
 面接が終わるまでシミ一つなかった、本来汚してはいけないスーツを絵里子は自分の意思で汚している。もはやスーツは見る影もない。足元からお腹の部分まですっかり泥で汚れてしまった。
 欲求をすっかり満たされた絵里子はこれまで味わったことのない満ち足りた気分で帰路へつくのであった。 

■農業関連企業の面接帰り
 動画本編22分(2600円) ➡ 購入ページ
 ※本作品のデジタル写真集の販売は現時点では未定です。