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カテゴリ「メッシー・ストーリー」の32件の記事 Feed

2017年9月20日 (水)

農業関連企業の面接帰り…DL販売開始

Dm111a

 本日から「農業関連企業の面接帰り」のダウンロード販売を開始致しました。(デジタル写真集の販売は現時点では未定です。現在は動画のみの販売になります。)
 本作品は、今秋(10月~11月)リリース予定のBD/DVD「屋外泥んこMESSY作品集5~農業へのいざない~」(メッシーシリーズ:商品番号DM11)に収録する1シーン目となります。 


 ※※※※※※※※※※※※※※※※ 

 本作品は、以下のストーリーを基に映像化したものです。先日ブログでお知らせしましたが、このストーリーは「ロイ」さんが考えたものです。私が普段ストーリーを書く際、主人公の女性(たいていは女子学生)の名前を絵里子として統一しています。そのことを考慮していただいて、主人公の女性を絵里子という名前でお書きになってくださいました。

 農学専攻の女子学生が就職活動の時に、農業系の仕事に就きたいと考えていたものの、不本意ながら一般企業の事務職に就くことになり数年間OLとして働いていました。しかし、農業関連の仕事への想いを捨てきれず、転職活動を開始することになります。そして、ある農業関連企業の書類選考に通り、面接にいくことになるのですが、その面接の帰りにある出来事に遭遇し、最終的には泥だらけになってしまうという物語です。


 【ストーリー】(作:ロイ)
 
 オフィス街に事務所を構える某企業で事務職をしている絵里子は仕事のことで悩んでいた。絵里子は大学で農学を専攻しており就職活動時にも農業系の仕事に就きたいと考えていた。しかし思いも空しく絵里子の気持ちを汲んでくれる企業は現れず結局は希望度の低い今の職場に不本意ながら所属することになった。

 それから3年、何とか勤め上げてきたが最近は「転職」の2文字が絵里子の頭を占めるようになった。「そろそろ潮時かな」と絵里子は転職活動を始めることにした。
 転職活動を本格化させたある日、絵里子は有休を使って郊外の農業の盛んな地域に赴いた。書類選考を通過した企業の面接に参加するためである。面接自体はスムーズに進み面接官との会話も弾んだ絵里子は手ごたえを感じていた。訪問先の企業から帰宅するにあたって絵里子は最寄りの駅まで徒歩で向かうことにした。行きはタクシーを使ったのだが目的地までの距離が短かったため帰りは徒歩で行けると考えたのだった。さらには自分の仕事場になるかもしれない田園地帯を徒歩でゆっくりと眺めたかったのだ。
 面接の担当者にその旨を伝えると社名も印字されたかなり詳細な地図をもらうことができた。
 「弊社の本社はこんな辺鄙な場所なうえ、携帯も圏外になりますからね・・・」
 来客が道に迷うことが珍しくないため予め用意しているのだと面接官は苦笑しながら話していた。絵里子は地図を確認しながら最寄りの鉄道駅まで歩いていた。

 交差点に差し掛かり順路を地図で確認しようとした瞬間突然の突風が吹き地図が飛ばされてしまい近くの休耕田に落ちてしまった。「社名入り」の地図が何かの形で会社に戻ることがあれば面接官からの心象の悪化は避けられない。
 一瞬頭の中を様々な思いが駆け巡ったが絵里子は腹を決めてパンプスを履いたまま休耕田の中に入っていった。膝下に達する泥の中でスーツが汚れることに注意しながらなんとか地図の回収に成功した絵里子。陸地に戻り近くの用水路で泥の汚れを落とし傍目にはとても休耕田に入ったようには見えないようになった。

Dm111c

 用水路脇で一息ついて何気なく時間を確認しようとバッグからスマートフォンを出そうとすると見当たらなかった。地図を拾おうと休耕田に入るときには確かにあったはずだから間違いなく休耕田のどこかに落ちている。慌てた絵里子は今しがた抜け出したばかりの休耕田に再度入り捜索を開始した。
 地図を拾った時とは違いスマートフォンは水中に沈んでしまい手探りで探すしか方法がない。絵里子はスーツのまま前かがみになり泥の中を探し回るが中々見つからない。動きの制限されるリクルートスーツを着たまま前かがみという無理な体勢をしていたため絵里子は体力を消耗しスカートの裾やお尻の部分、袖が泥に浸かっているのも気づかないほどになっていた。そして疲労がピークに達したときに事件は起きた。

 探し場所を移動しようとしたとき踏み出した足元の地面が急に深くなり足を取られヒールのあるパンプスを履いていた絵里子はろくに抗うこともできないまま尻もちをついてしまった。
 時が止まり絵里子も思考停止してしまうもスカートから浸み込んでくる水に現実に引き戻される。疲労困憊の上、スカートが泥まみれという異常事態のため正常な判断力を失った絵里子は「少しは探すのが楽だろう」と半ば吹っ切れた様子で田んぼの中に四つん這いになりスマートフォンの捜索を再開した。
 長い時間泥の中を探した結果、水中を探る指に固い何かが触れた。持ち上げてみると探していたスマートフォンである。

 疲労困憊の中、田んぼの畔の部分に腰をかけて泥まみれのスーツの始末を考える絵里子の中に古い記憶が蘇った。
 それは絵里子がまだ幼かったころ田んぼで泥まみれになるという体験だ。泥まみれになるということが楽しい気持ちいいと感じた過去の記憶を追体験することによって蘇ったのだった。疲労による思考の低下と過去の記憶の蘇りによって絵里子は正常な思考を失っていった。

Dm111b

 絵里子はおもむろに立ち上がると今抜け出したばかりの田んぼに再度入っていった。中心に向かうにつれて徐々に深くなる泥に足を取られついに膝をついて座り込んでしまう。
 スーツの汚れ具合が増してしまうが今の絵里子にとっては問題ではなかった。もはや泥で汚れることが目的になってしまった。絵里子は泥を手で掬い上げてスーツの袖を汚し始めてしまう。
 面接が終わるまでシミ一つなかった、本来汚してはいけないスーツを絵里子は自分の意思で汚している。もはやスーツは見る影もない。足元からお腹の部分まですっかり泥で汚れてしまった。
 欲求をすっかり満たされた絵里子はこれまで味わったことのない満ち足りた気分で帰路へつくのであった。 

■農業関連企業の面接帰り
 動画本編22分(2600円) ➡ 購入ページ
 ※本作品のデジタル写真集の販売は現時点では未定です。

2015年3月23日 (月)

夢うつつの就活女子

 いよいよ新作(仮称:新入女子社員 WET&MESSY&RIP作品集)の紹介も今回で最後になります。
 最終シーン(3シーン目)ですが、以前ブログで書きましたように、2着のリクルートスーツ(チャコールグレー4釦と黒3釦)を使ったちょっと贅沢なものです。出来上がりの映像でどこまで伝わるか分かりませんが、以下のようなストーリーを参考にし、泥で汚れたり、切り裂いていく部分を作品化しています。

 ストーリーの紹介の前に、まず、新作(仮称:新入女子社員 WET&MESSY&RIP作品集)の販売に関して告知します。
 写真集と動画のダウンロード販売は今週末に開始します。DVDおよびBDは4月5日のリリースとします。DVDに関しましてはAmazon.Japanにて近日中に予約の受付が開始されるはずです。
  
 販売開始日になりましたら、ホームページやブログで告知します。
 サンプル動画はダウンロード販売開始と同時に公開しますが、YouTubeにおいてはWETシーンとMESSYシーンのみの公開になります。(YouTube規約による)
 RIPシーンを含むサンプル動画のフルバージョン(完全版)はOffice Lady Special内のギャラリー、および、XCREAMの商品販売ページにサンプル動画としてフルバージョンをアップロードしますので、あらかじめご了承ください。
 
 【ストーリー】 

Da11c0

 ある日の夜、絵里子は夢を見る。
 最近、日々の生活や就職活動、大学の卒業論文制作の疲れなどからストレスがたくさん溜まっていた。

 夢の中で・・・

 絵里子の目の前には就活のために購入した新品のリクルートスーツがある。タグ付であることがそのことを証明している。購入したのは百貨店のスーツ売り場だ。

 リクルートスーツといったら、2つボタンが最近の主流であるが、3つボタンや1つボタンのスーツを着る女子もいる。絵里子はこうした慣習というか流行に流されたくなかったので、あえて4つボタンスーツを購入したのであった。最近4つボタンのリクルートスーツを着用する女子学生はほとんどいない。
 そんな絵里子もスーツの色をベージュや白にするなどの冒険をする勇気はなかった。ライトグレーにしても就職説明会やセミナーなどでは、大勢の中で一人だけ浮いてしまう事になる。
 色はチャコールグレーにした。大多数が黒のリクルートスーツを着用するという慣習に対する精一杯の抵抗のつもりであった。

 そのスーツを着て絵里子は今日、第一志望の会社の面接に臨む。新品のリクルートスーツを着て気持ちも晴れやかである。
 いざ、面接に臨むと面接官から着用しているスーツについて詰問される。

 「4つボタンのスーツを着る人はあまりいないけどどうしてそのスーツを選んだんですか?」
 「面接においてファッションで独自性をアピールできると思っていますか?」
 「あなたは協調性を持っていると自分で思っていますか?」
 などなど・・・。

Da11c_1

 夢というのは、いつも時空を縦横無限にとびまわる・・・。
 次の瞬間、絵里子は浴室のバスタブの中にいる。お湯はまったく入っていない。お湯は必要ないのだ・・・。

 どこからともなく、先ほどの面接官の声が聞こえてきて催眠をかけられていく。
 「就職活動では黒の3ボタンのリクルートスーツを着てきなさい。それが私の好みだ。そうすれば内定あげるよ!だから今着ているスーツは必要ないよね?」

 突然、スーツの前面に泥水をぶっかけられる。おろしたてのスーツが台無しだ。・・・と思ったらシャワーの水をかけられる。汚れは落ちたが、全身ずぶ濡れである。
 次に四つん這いにさせられて、スカートのお尻に粘着質の泥をぽたぽたとかけられる。そして、またシャワーで汚れを洗い流される。その後、立ち上がるように言われ、今着ているリクルートスーツをハサミを使って切り裂くように命じられる。内定をもらいたい絵里子は、言われるままに、タイトスカートの下の方から上に向かって一直線に切り裂いていく。切り裂いた部分がジグザグになっている。そして、ジャケットもそのまま上に向かって切り裂いていく・・・。
 

Da11c_2

 絵里子は、
 「スーツがこんなになって、どうやって帰ればいいんだろう・・・。」
 と不安に思い始めると、突然夢から覚めた。
 
 現実・・・

 「(夢だったんだ・・・)」
 
 時計に目をやるともうすぐで正午だ。
 朝9時にセットしておいた目覚まし時計は絵里子を目覚めさせなかった。一人暮らしであるため、絵里子を起こしてくれる家族もいない。
 今日は何も予定がなく自宅でゆっくりするつもりだから寝坊しても問題ないと思った。ただ、ある計画を実行する時間が先延ばしされるだけであった。

 「(さてと・・・。)」
 一息つくと、絵里子はベットから起き上がり、クローゼットの扉を開いて中から黒3ボタンリクルートスーツを取り出した。
 今日は家に居る予定だというのに、あたかも就職活動にでも出かけて行くかのように、そのリクルートスーツへと着替えはじめた。

 パンストやアイロンがけされた白の開襟ブラウスもしっかり着込んだ。

 そして、胸を高鳴らせながら浴室に向かった。

 まさに、ついさっきまで夢で見ていたようなことを自らの意思で行なおうとしていた。もちろん、夢の中でかけられた催眠が解けていないわけではない。あくまでも自発的な行動である。
 実は、絵里子は、誰にも言えない願望・・・・リクルートスーツ姿のまま泥だらけになって、それをボロボロに切り裂いていくということ・・・・をいつか実行しようと密かに考えていたのだった。

Da11c_3

 昨日の夜のうちに近くの水田からちょっとだけ持ってきた土をビニール袋から桶の中に出した。土をお湯で混ぜて、ドロドロにした。手で土をこねていく感触が気持ちよく感じた。そして、その泥まみれになった手をリクルートスーツに密着させる。タイトスカートやジャケット、ブラウスの襟が泥だらけになっていくまでにそれほど時間がかからなかった。
 
 泥だらけになったら、その状態のままハサミで切り裂いていった。スカートもジャケットも気持ちよい具合に切り裂かれていく。絵里子にとって当然初めての経験であったが、想像していた以上の快感でおかしくなりそうであった。しばらくの間、絵里子は遠くの世界にいた。
 我に返ると、浴室の壁に取り付けられた鏡がくもって何も見えなくなっていることに気が付いた。シャワーをかけてくもりを取り除くと、そこに映っていたのは、取り返しのつかない状態になったリクルートスーツ姿の自分だった。
 「(えっ、こんなになっちゃった・・・。)」

Da11c_4

 しかし、これは絵里子が最初から望んでいた状態だった。就職活動でたまりにたまったストレスが発散され、「儀式」の名の下で昇華された。
 ボロボロになった泥だらけのリクルートスーツやブラウス、下着をビニール袋の中に入れていく。そして、一糸まとわぬ状態となってシャワーを浴びる。
 何かがふっきれたような爽快感に包まれて自然と晴れやかな表情になる。


 しばらくしてから、絵里子は私服に着替え、部屋に戻る。机の上に置かれている封筒を大事そうに引き出しの中に大事にしまった。

 それは、昨日届いた第一志望の会社からの内定通知だった。

2014年1月13日 (月)

野球部マネージャーの悪夢

 絵里子は水光大学の野球部マネージャーとしてこの春に入部したばかりだ。
 まだ入部して数日しか経っていなかったが、春季リーグ戦に向けて女子マネジャーとしての心構えや仕事内容を先輩から教えてもらい、覚えていくという忙しい毎日を送っていた。

 大学の授業が始まるのは約10日ほど先のことであるが、春季リーグ戦の開幕が近いということもあり、正式入部した新入生は連日、部の活動に駆り出され上級生から厳しい指導を受けている。
 女子マネージャーとして正式に入部しても夏までに半分が脱落すという噂である。それだけ先輩マネージャーにしごかれるわけだが、体育会系の部活動では伝統的でごく普通のことである。

 公式戦を間近に控えた男子部員たちの練習にも熱が入り、練習用ユニフォームなどの洗濯だけでも女子マネジャーにとって大変な負担となっていた。

 水光大学野球部は体育会系の中の体育会系として有名であり、男子部員のみならず女子マネージャーにも厳しい規律が容赦なく適用された。
 男子部員に厳しいレギュラー争いがあるように、女子マネジャーには部内での将来の役職争いのために、マネージャーとしての地位を確立したいのであれば、規律を守り不要な「減点」をしないようにするのが鉄則だ。

 今日も先輩マネージャーからの指導が夕方から始まる。
 しかし、昼過ぎからは大学の学部別のオリエンテーションが新入生対象に開催される予定であった。この場で
大学生活のことや授業選択の注意点などの色々な説明を受けることになっているので参加は必須であった。
 オリエンテーションは予定よりも長引いて終了したため、部活動に行く前に下宿先に戻る時間がなくなってしまい、絵里子の予定は狂ってしまった。


 「(こんなことになるんだったら、ジャージとかの着替とか、持参するように言われていたタオルを持って来ればよかった。)」
 と後悔した。
 
 しかし、いったん帰宅する時間がないため、選択の余地はなかった。スーツのまま部活動に参加することになった。

 約束の時間に部室にいくと、新入生の女子マネージャー達がいつものようにジャージ姿で集まっていた。スーツ姿の絵里子は目立った。淡々と新入生のマネージャー研修が始まった。
 「みんな!今日覚えてもらうことを説明するからタオルをもって女子専用の浴室に来て下さい。」
 と、新入生監督担当の3年生主任女子マネージャーが言った。
 みんな言われるまま浴室へと移動した。

 「みんな、今日は雨の日の練習時のことを想定して覚えてもらいたいことがあります。野球部員は雨の日も練習があります。当然、それに伴ってマネージャーにも仕事が発生します。その一つが、雨のグラウンドで泥だらけになったボールを綺麗にすることです。まず、泥で汚れたボールを集めて浴室に運んできます。そして綺麗に拭いて乾いた状態で戻しに行きます。水で洗い流してからタオルなどで拭けばいいと思うかもしれませんが、絶対そうはしないでください。なぜなら配水管が古くてすぐに泥が溜まって詰まってしまうからです。だから、ここで泥をタオルなどで拭きとってもらいたいのです。」

 絵里子たち新入生はみんな、もっともな事だと頷いた。
 ただ、絵里子は自分がタオルを忘れてきたために、どうすればよいのか、また、そのことについて先輩に悪く思われないかが気になった。

 「あの、先輩・・・タオルを忘れてしまったんですけど。」
 絵里子が言おうとしたことを、玲奈が言った。

 「とにかく泥だらけのボールを綺麗に拭きとればいいのです。」
 というなり、先輩は玲奈をみんなが並んでいる列から一歩前に出すと、先輩は泥だらけのボールを手渡した。

 「タオルが無い時は仕方がないのでジャージなどで拭いてください。ボールを服に擦り付けるようにすれば綺麗になります。考えようによってはタオルで拭くよりも力が入るし綺麗になりやすいともいえます。」
 と先輩は淡々と説明をする。

 「じゃあ、せっかくだから玲奈さん、やってみて。タオルを忘れた場合はどうなるかというよい実例になります。」
 「えっ!本当ですか?」
 「本当って? 嫌ならやらなくてもいいですけど。あなたが一人でボール拭きの当番だとして、その時にタオルがないからボールを拭けませんでしたといって、泥だらけのまま戻すんですか?それでは男子部員たちはまともに練習できませんよね。マネージャー失格です。玲奈さんが抜けても問題ありませんから。嫌なら今日で辞めてください。」

  玲奈は、まだ、今日下ろしたばかりなのか真新しくて織り目がまだついている状態の綺麗な上下白のジャージを着ていた。
 いくらかの間をおいて、玲奈は意を決してズボンに泥だらけのボールを擦り付けた。他の新入生たちは同情して玲奈の行動を見守っていた。

 その同情は、もしかしたら次は自分に向けられるのではないか・・・と絵里子は一抹の不安を覚えた。
 しかし、さすがにスーツ姿だし、学部の公式行事であるオリエンテーションが長引いて着替えやタオルを取りに戻れなかった事を説明すればそこまではさせられないだろうと思っていた。

 しかし、玲奈のジャージの上下が泥だらけになると、先輩は絵里子と目が合ったために絵里子を迷わず指名した。スーツ姿で目立っていたこともあるだろう。絵里子は今頭の中で考えていた通りに事情を丁寧に伝えた。

 「それで? 学校の行事が長引きました。タオルを取りに行けませんでした。忘れました・・・。だから泥だらけのボールを拭けませんって、通ると思ってるんですか? マネジャーとしての意識が甘すぎますね。玲奈さんと同じです。嫌なら辞めてください。」

 絵里子は涙目でうつむいた。

 「どうしますか。はっきり言いますけど、今は女子マネージャーを選抜しているんです。毎年の事ですけど最終的には1学年3~4人に落ち着くんです。今はまだ8人もいますから、このうち半分は脱落するんでしょうね。玲奈さんは覚悟が決まっていたみたいだけど、絵里子さんはどうなんでしょうか。」

 絵里子は、全国に名高い水光大学の野球部マネジャーとして4年間過ごすことを高校時代から心に決めていた。こんなことで挫折するわけにはいかないと思った。

 「はい、どうぞ。」
 先輩は、絵里子に泥だらけのボールを差し出すが、内心ではスーツ姿の絵里子がボールを拭くことなどありえず、脱落者がまた一人増えると考えていた。最終的に3~4人に新入生女子マネージャーを選抜していく役目を担っている身としては都合のよい状況だろう。

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 しかし、絵里子は泥だらけのボールを持って最初は躊躇するものの、マネージャーとして生き残るために覚悟を決めた。
 この際、スーツが泥だらけになってしまったら、帰りはどうすればよいのかなど、頭にも浮かばなかった。今はやるしかないと思ったのだ。

 絵里子は、立ち上がると左手でボールをタイトスカートの左側部分になすりつけていった。ボールが綺麗になるとまた次のボールが渡された。
 先ほどの玲奈同様に10個ほどのボールを拭かされるのがノルマのようだった。

 しかし、先輩のいじわるな気持ちからか、10個拭いてもまだまだ泥だらけのボールが供給された。すでに絵里子のタイトスカートは泥でべったりと汚れている。
 汚れたスカートでは、もうこれ以上ボールを綺麗に拭き取れない。こうなったら、今度はジャケットを使ってボールの泥を拭いていくしかなかった。

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 20個ほどのボールを拭いたであろうか。先ほどまでは、おろしたて同様の綺麗な黒のスーツがタイトスカートもジャケットも泥だらけになって茶色っぽくなっていた。
 最後は泥だらけになった手を、まだ汚れていないタイトスカートのお尻の部分を使って拭き、両手を綺麗にした。

  この間の絵里子の行動は圧巻だっだ。他の新入生女子マネージャーはもちろん、先輩マネージャーも驚きの眼差しで眺め言葉を失っていた。
 絵里子はスーツを泥だらけにした代償として、一躍、新入生女子マネージャーのリーダー候補に躍り出た。(完)




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2013年1月15日 (火)

非日常世界へのいざない(3)・終


 (1)はこちら    (2)はこちら  


 「アクション!」

 雨が強くグラウンドを打ちつけている。そんな中、傘をさしながらリクルートスーツ姿の絵里子は、今にも泣きだしそうな悲しい表情で男と話している。
 グラウンドには水たまりができはじめ、雨足がさらに強くなった。タイトスカートやジャケットには水しぶきがかかっている。

 男は足早にその場を立ち去る。絵里子は傘を投げ捨てすぐさまその後を追いかけようとした。
 リクルートスーツには容赦なく人工雨が降り注いでいるが、NGが許されないこのシーンに集中している絵里子は、何も気にするそぶりはなく演技を続けている。リクルートスーツ姿で潜水をしたかのように頭のてっぺんからつま先までずぶ濡れだ。

 すべてのセリフが終わり、あとは泥の水たまりに足を滑らせて転んでしまうシーンの撮影だけとなった。
 絵里子は男の後を追いかけ走り出した。

 パンプスが脱げ、足がもつれるようにしながらうまい具合に泥水の中に転んだ。スカートもジャケットも底がぬかるんだ泥水に浸かっている。絵里子の視線は男の後ろ姿のほうにあるが、立ち上がって追いかける気力はない。
 脱力感に包まれ、泥水の中にお尻をつけてしゃがみこみながら男を見送ることしかできない。

 やがて絵里子はゆっくりと立ち上がる。
 リクルートスーツはタイトスカートもジャケットも真っ茶色に染まっていた。そして、ジャケットから除く純白のプラウスの襟には泥ハネがとんでいるところもあった。クリーニング仕立てで、先ほどまで一糸乱れず綺麗だったリクルートスーツ一式が台無しだ。

 雨はより一層強くなり、泥で汚れたリクルートスーツを洗い流していく。リクルートスーツ姿でずぶ濡れとなっている絵里子を数台のカメラが違ったアングルから捉えている。
 カメラは遠くに目を向けている絵里子の姿をゆっくりとクローズアップしていく。頭から勢いよく滴り落ちる雨水にゆがんだ顔をしっかりと収める。

 「はい、OK!」

 監督のヒロシの声が弾んでいた。
 絵里子の出番の撮影シーンはこれで終わりだ。
 帰宅のことを考えると、撮影用の衣装を忘れたために、リクルートスーツ姿で撮影に臨まなくてはならなかった事の代償はあまりにも大きかったが、絵里子の中では無事に撮影が終わった安堵感の方がこの瞬間はまさっていた。

 「お疲れさま。バッチリ。」
 ヒロシは、重要かつNGが許されないシーンの撮影が予想以上の出来栄えだったことに満足しているものの、リクルートスーツ姿でずぶ濡れの絵里子を目の前にすると複雑な気分だった。
 大きなタオルを差し出した。今、絵里子に対してできる精一杯のことだった。

 「よかった~。本当に大丈夫だよね?」
 うなずくヒロシを一瞥し、タオルを受け取ると絵里子は顔と髪を丹念に拭いた。次に足の汚れをざっと拭き取ると、ずぶ濡れとなって薄茶色に濁った水が滴り落ちているスカートやジャケットにタオルを押し付け水分を吸収させていった。
 いく ら吸収してもすぐに乾くわけではないが、日差しが強く暑い陽気なので、ある程度時間をおけば自然乾燥しそうだった。

 ・・・・・・雨に濡れてリクルートスーツが徐々に重たくなっていく感触と・・・、底がぬかるんだ泥水の中にうつ伏せたりしゃがみこんだ時の体の感触とリクルートスーツを汚してしまったことの罪悪感が・・・突然フラッシュバックし、不思議な感覚と快感にいざなわれた。
 何かが深層心理に働きかけ、潜在意識を顕在化しはじめた。何の束縛もない幼少期に、近所の友達と水遊びしたり泥んこ遊びした、あの悠久とも思えた楽しい感覚が深い眠りから目覚めた瞬間だった。

 気が付くと、撮影現場へ向かう時に通った河川敷の堤防を駅に向かって歩いていた。すでにリクルートスーツは乾きはじめていたが、泥汚れがしっかりと落ちていなかった部分が所々にあり、土埃が白っぽく浮き出てしまっていた。
 「(こんな汚れた状態じゃ電車に乗れないわ。)」
 堤防の上から川の方を眺めると水面がきらめいていて眩しかった。

  ・・・・・・川辺では突然、数人の小学生らしい男の子と女の子たちが水を掛け合って遊んでいる光景が出現した。むろんそれは、絵里子の昔の懐かしい記憶であった。

 徐々に心と体は、本能の赴くままに解放されていった。
 それは、自分を縛りつけていた心の鎖がほどけた瞬間でもあった。トランス状態に陥っている絵里子は、浅瀬から流れが緩やかな深みの方へとさらに足を踏み入れていった・・・。
(完)

ロイヤリティフリーの写真素材

2012年7月14日 (土)

非日常世界へのいざない(2)


 (1)はこちら


 土曜日の朝、絵里子は目覚めると部屋のカーテンをあけ、部屋を明るくした。気持ちのよい朝だった。
 今日は大学の講義はないが、午前中に某金融機関の最終面接が控えていた。絵里子にとっては本命の会社ということもあり、ここ数日はそのことで頭がいっぱいだった。

 絵里子は何気なく壁に掛かったクロックを見ると、一瞬目を疑った。面接は午前10時からだったが、既に8時をまわっていた。目覚まし時計をかけ忘れたせいで、1時間ほど寝坊してしまった。
 絵里子の自宅から面接会場までは急げば1時間くらいで行けるが、1時間半ほどの余裕をみておいた方が良い。これからリクルートスーツに着替えて身だしなみを整える時間を考えると朝食を食べてる暇などない。

 当然とはいえ、昨夜のうちに面接の準備は出来ているし、午後からの映画サークルの撮影のためにセリフも再度確認し準備万端であったので、リクルートスーツに着替えたら体身一つで面接会場に向かうだけでよいのが救いだ。
 パンストを穿き、昨日、クリーニングから戻ってきた白のレギュラーシャツや黒のリクルートスーツを手際よく着ていく。タイトスカートもシングルの2ボタンジャケットも皺がなく綺麗な状態であった。髪を整えるのにちょっと手こずったが8時半ちょっと過ぎに家を出ることができた。色々な資料が入ったリクルートバック、午後からの撮影で使う衣装やタオルや台本の入ったボストンバッグを持つと、最寄駅までパンプスをコツコツと鳴り響かせながらアスファルトの小道を駆けた。

 首尾よく最寄駅からはすぐに急行電車に乗ることができた。ラッシュの時間帯から外れていることもあり車内は比較的すいていて、所々に空席もあった。
 家から駅まで走ったことで体は火照りすこし汗ばんでいた。バックを左右の手にそれぞれ持っているうえ、ちょっと足が疲れたので、座りたいと思った。しかし、スーツに皺ができることを嫌って立っていることにした。
 最終面接を前に徐々に緊張してきたが、絵里子は持ち前のプラス思考と最終面接までこれたという自信に満ち溢れ、緊張感を振り払うことができた。

 ~面接後~

 最終面接を無事にこなし、面接に同席していた役員の反応も良く、既に最終面接を前にして内定は決まっていたのではないかと思うほど和やかな雰囲気で、会話も弾んだ。そのため、絵里子は内定を確信した。

  面接をした会社から最寄駅までは歩いて5分くらいだった。絵里子は駅へ向かって歩きながらスマホでメールの確認をしていた。
 「==予定よりちょっと早くこれる?ハプニング発生。」
 自主映画制作の監督で恋人でもあるヒロシからのメールだった。絵里子は就職活動とサークル活動(自主映画制作)、さらには、大学の授業やアルバイトと普通の大学4年生並みに忙しい日々を送っていた。
 「==うん、わかった。今、面接終わったところ。1時頃には着けるかな。そのくらいで大丈夫?」

 メールの返事を送信すると足を早めた。駅の近くにファーストフード店が見えた。朝食を食べなかったせいもあり、かなりお腹が空いていた。
 これから撮影であることを考えると、何か軽く食べておいたほうが良いだろうと絵里子は思った。

 「==それでお願い!」
 すぐにヒロシから短文メールが戻ってきた。
 ハプニングってなんだろう?・・・絵里子はフライドポテトをつまみながら考えていた。昼食をあっという間に済ませると、ゆっくりくつろぐ暇もなく撮影現場へと向かった。最寄駅までは電車を1回乗り換えて30分ほどかかる。駅からは現場の公園までは歩いて5、6分といったところだ。

 撮影現場へ向かうには途中、河川敷の堤防を歩くのだが、川の水面がキラキラと反射しているのが綺麗だった。こんな暑い日には水浴びでもしたら、気持ちいいだろうなと思った。
 しばらく歩いていくと、ヒロシや他のスタッフ達の姿が見えてきた。雨降らしのリハーサルをしたのか、撮影で使用するはずのグラウンドの脇は少しぬかるんでいるらしかった。
 「あっ、絵里子。悪い。」
 ヒロシの視線の先にリクルートスーツ姿の絵里子を確認した他のスタッフたちは、同学年、下級生まちまちであったが、それぞれの立場に応じた挨拶をした。
 早速、ヒロシからハプニングの内容が伝えられた。
 「今日さ、例のシーンなんだけど・・・」
 「何?」
 「雨降らしの装置、相手の都合で予定より早く返さないといけなくなっちゃって、少し撮影を早めようと思ってさ。悪いけど、すぐ例のシーンはじめたいんだ。」
 「だったら、電話でそう言ってくれればよかったのに。ランチ済ませてきたから、その分、来るのがちょっと遅くなってしまったわ。」
 「まあ、そこまでしなくてもいいけど。それに今日、本命の最終面接とか言ってたし、状況わからなかったから。それより、早く着替えてきたら?」
 「うん。」

 絵里子は朝自宅を出るときに持っていた着替えの入ったバックを置き忘れてきたことに、今この瞬間になって気がついた。頭が真っ白になった。
 リクルートバックと一緒に面接会場に持っていくには荷物になるので、朝、面接を受ける前に、会社の最寄駅のコインロッカーに預けておいたのだった。

 「・・・・・」
 困った表情になった絵里子をみてヒロシが声をかけた。
 「どうかした?」
 「撮影で着る衣装、忘れてきちゃった。」
 「忘れてきたって・・・。」
 「違うの。朝、ちゃんと忘れず持って出たんだけど、面接行く時、駅のコインロッカーに入れて、そのこと忘れてここにきちゃったの。今から急いで取ってくる。往復1時間ちょっとかかるけど。」
 「無理だって。3時までしか雨降らし機借りられないんだから。レンタル料金なんとか払って、スタッフだって無理言って何とか今日揃えたんだから、延期するなんてできないし・・・」

  監督のヒロシの立場としては、絵里子には申し訳ないが、リクルートスーツで撮影に臨んでくれる事を願うしかなかった。しかし、クリーニング仕立てだということがはっきりと分かる黒のリクルートスーツを目の前で見ていると、自分からそのことを言い出すのは、さすがに気が引けた。

 絵里子がヒロシの顔をチラリと見て様子を伺うと、困った表情で何かいいたげだった。自分だって困っているがヒロシも困っている。どうしたら良いのか、困り果てながら絵里子は視線を下に落とし、その視線を自分が着ているジャケットからタイトスカート、そして足元へとさらに落としていった。
 「(クリーニング仕立てなのに・・・)」
 絵里子はフゥーとため息をついた。
 「何?」
 「スーツのままでいいから、撮影はじめようよ。」

 ヒロシは、申し訳なさそうに絵里子の顔とリクルートスーツを見つめた。
 「何じろじろ見てるの!」
 ヒロシは安堵と絵里子に対する罪悪感が入り混じった複雑な表情で、スタッフたちに指示を出した。
 「みんな始めるぞ!準備!」

 ヒロシは絵里子の方を振り返った。
 「絵里子、本当にごめん・・・。」
 「いいよ、このリクルートスーツ、もう着なくて済むと思うし。」
 「どういうこと?」
 「多分、今日のところ内定取れると思うから。」
 「すごい自信。」
 「自信っていうか、今日の面接、就職の意志の確認とか、そういう話ばかりだったから。」 
 「なるほどね。それはともかく、絵里子の・・・そのリクルートスーツ・・・。」
 「・・・予算は出せないよ、でしょ?(笑)」
 「あっ、まあ・・・。(笑)」
 「衣装置き忘れてきた自分が悪いんだし。リクルートスーツ姿だけど、雨に中でもちゃんと演技するからね。どうせなら、この前よりの派手にやっちゃおうかな。」
 「でも、NGださないでね!(笑)」

 二人の会話を遮るように助監督が報告に来た。
 「監督、OKです。」
 雨降らし機のスタンバイもできたらしい。
 他のスタッフ達や、絵里子の恋人役の後輩は、絵里子がリクルートスーツ姿であることに驚いているようだ。
 絵里子はリクルートスーツで撮影に臨むことになって、帰宅時のことが気になったがいまは撮影に集中しようと気持ちを入れ替えた。他の現場のスタッフたちは、ほどよい緊張感に包まれながら、今まさに始まろうとしていることに意識を集中していた。

 恋人役が傘を広げた。
 「よろしくお願いします。」
 絵里子も現場に置いてあった傘を広げた。
 「こちらこそ。」
 グラウンドの真ん中あたりむけて人工雨が降り注ぎ始めた。徐々に雨足が強くなってくると、合羽を着たカメラマンや音声、数名のスタッフが雨の中へと入っていった。
 地面が水を蓄えはじめ、やがて所々に水たまりができた。

 監督に促され、恋人役の二人も傘をさしながらザーザーと降り注ぐ雨の真下へと歩いて行く。二人の傘を雨が強く打ちつけている。絵里子のパンプスは泥跳ねで汚れはじめ、スカートやジャケットには水しぶきがとんでいた。

 お互い顔を向かい合わせ、絵里子は恋人役の男の顔を見上げてながら
監督の合図を待っていた。 ~(3)へ続く~

2012年5月12日 (土)

非日常的世界へのいざない(1)


 都内の某公園のグラウンドに、絵里子は、アイボリーのロングスカートにフリル付き白ブラウスといった春らしい装いでいる。
 流行の服や派手な服には興味はなく、コンサバ系ファッションが好みであるが、そのことが清楚でお嬢様風の雰囲気を漂わせている着こなしになっている。

 雨が降りしきる中、絵里子は傘をさしながら恋人らしき男と立ち話をしている。
 絵里子は何やら悲しげで、今にも泣き出しそうな表情で男の顔を見上げている。徐々に雨足は強くなり、グラウンドには水がたまり始め、傘に打ち付ける雨音が大きくなった。スカートの裾は雨で濡れ始めていたが、絵里子はまったく気にする素振りなどない。
 男は足早にその場を立ち去り、絵里子は傘を投げ捨て、すぐさまその後を追いかける。濡れたスカートが脚にまとわりつき、さらには、サンダルを履いているせいもあり走りずらそうだ。

 5、6歩ほど走って追いかけたが、サンダルが脱げ足がもつれて泥水のたまったグラウンドにうつぶせの状態になって転んでしまう。男は絵里子が転んだことに気がつくこともなく走り去っていく。
 上体を起こすが立ち上がって再び追いかける気力は一瞬のうちになくなってしまった。ぬかるみの上に座ったまま男の後ろ姿をただ呆然と見ている。

 今の絵里子の気持ちを代弁するかのように、天の涙が一段と強くなり容赦なく絵里子を頭から打ち付けている。ゆっくり立ち上がり傘を拾うこともせずに歩き出しはじめた。
 うつぶせになっていたために、スカートもブラウスも前面は泥で真っ茶色に染まっていた。汚れていない部分は全て雨でずぶ濡れの状態であった。先ほどまであんなに綺麗だったおろしたての服がこれで台無しだ。

 ここまでは、「予定通り」だったが想定外のことが起こってしまった。雨が突然止んでしまったのだ・・・。
 今までの静寂が一瞬のうちに喧騒へと変わった。

 「はい、カット!」

 そう、絵里子は大学の映画製作部に属している。大学生活最後の1年を映画製作にかけている。今回の作品では主役の座を射止め意気込んでいた。

 「おいっ、雨降らし、何やってんだよ。しばらく降らたままでおけと言っただろ!」
 と監督が雨降らし役の後輩に怒号をあげた。
 「はい、ごめんなさい。勢い良く降らせたらタンクの水が切れてしまいまして・・・」
 「言い訳なんかいいよ。撮り直しじゃないか!」

 自前の服がびしょ濡れ&泥だらけになった絵里子は残念そうに肩を落として監督のいる方に歩いていく。
 「このシーン・・・、1回で終わらせたかったのに。雨降らしは調節が難しいから未経験の新入生には無理だって言ったのに。」
 「ごめん。次回はまた戻すから。また週末にでも・・・。大変なシーンなのにほんと悪いね。」
 「えーと、今度の土日の午後からなら大丈夫だけど」
 「そう、じゃあ土曜の2時でどうかな?日曜は一応予備日で。」
 「うん、わかった。」
 「部の予算がないから服は自前にしちゃって悪いね。それにしても、白っぽい服を選ぶなんて絵里子らしいよね。役柄のイメージにもぴったりだし。(笑)でも、この服、洗濯してももう着れないよね?」
 「大事なシーンだし、インパクトあった方がいいと思って。」
 「まあ、それはそうだけど、次回はもっと地味なのでいいよ。汚れてもいい服ってまだあるの?」
 「この服、実は通販で安く買ったの。自分の服は、もう着なくなったからといっても汚したくないから。次回も適当に用意してくるから大丈夫。」
 「予算は出ないよ。」
 「うん、わかってる。気にしないで。」
 (絵里子はふと時計を見るなり慌てて帰り支度を始める)
 「あっ、もうこんな時間。この後予定あるから、今日はこれで。」
 「うん、じゃあ、また。」
 「(お疲れ様です!)」
 後輩らスタッフ達が絵里子に挨拶をする。

 絵里子は公園の水道の水で汚れを落としている。泥汚れの部分は薄くシミとなってやはり落ちない。しかし、もう着ない服だから気にはならないでいた。
 ここから自宅までは、バス・電車・徒歩と合計2時間程度かかる。もともと手はずを整えていたことではなるが、撮影後の濡れた格好のままではさすがに人目が気になって帰りずらいので、公園内のトイレで用意してきた服に着替えてから帰宅した。

 絵里子は、帰りのバスの中で、先ほどのシーンのことを思い出していた。
 あれほどまでに雨に濡れてびしょ濡れになったり、泥だらけになった経験は初めてであった。
 役柄のために使い捨てと割り切って安く購入した服とはいえ、新品の服をあんなにしてしまった事に罪悪感を抱いていた。
 しかし、その罪悪感を打ち消すかのように、絵里子はある記憶を鮮明に思い出した。それは、雨に打たれときに冷たくなった布地で体を拘束された感覚と、グラウンドのぬかるみにうつぶせになった時の泥の感触が昇華されたものであった・・・。
 絵里子は今、突如、得体の知れない非日常的世界への扉を開こうとしていた。 
~(2)へ続く~

2011年7月11日 (月)

雨の中のグラウンドで…(2)


                               雨の中のグラウンドで・・・(1)を読む
 
 今日の面接のためにクリーニングしたばかりだからか、リクルートスーツは雨をはじいて水滴となって生地についている。
 しかし、長時間雨の中で濡れたままだと、さすがに撥水効果がなくなりびしょ濡れとなってしまう。リクルートスーツを濡らすわけにはいかないと思い、絵里子は部室に戻ろうと腰を上げようとした。
 いまさっきまで筋トレをし始めたばかりの部員たちは、足早に部室や雨宿りができる大木の下へと小走りで移動していた。

  絵里子は、ふとグラウンドを見ると驚きの光景を目にする。
 「(えっ・・・。うそでしょ!)」
 ライバルである1年生の幸恵だけが、この雨の中、上下白の練習用ユニフォームを泥だらけにしながらグラウンドで、筋トレを続けていた。泥でユニフォームを汚すことが、頑張っていることの証であるかのごとく淡々と打ち込んでいた。

DM6br (1)  絵里子は、その光景を何とも言えない思いでベンチに座りながら眺めていた。
 雨が次第に強くなり始め、スーツの生地に雨がしみこんで濡れていくのを感じ、部室に早く移動しなくてはと思った。
 しかし、幸恵の行動が、自分に対する挑戦状、もしくは、自分のレギュラーポジションを奪いとろうとする強い意志にも感じ取れ、なぜか、その場を離れられずにいた。容赦なく雨はリクルートスーツを濡らし続ける。

 「おーい! 絵里子。幸恵。なにやってるんだ。雨が強くなってきたから一旦あがれ!」
DM6br (2)  その顧問の先生の声を振り切るかのように、絵里子は、立ち上がると部室とは反対方向に歩き出した。そして、幸恵から一定の距離を置いたところに立つと、ずぶ濡れのリクルートスーツ姿を見下ろし、意を決したかのようにぬかるんだグラウンドに手をついた。
 その様子を見た幸恵は一瞬、驚きの表情をうかべた。先輩である絵里子の行動に並々ならぬ根性を感じ取ったはずだ。

 雨でぬかるんだグラウンドでパンプスを履いている絵里子は、腕立てを始めようとするが、一回目で滑ってしまいグラウンドにうつ伏せになってしまう。スーツ越しに地面から冷たいものを感じた。そして、背中には強い雨が打ち付ける。
 スーツが汚れるのを気にしていないことを幸恵に見せつけるかのように、何度も腕立てをしては、休む時は、わざとうつ伏して肩で息をした。

 腕立ての1セット目が終わると立ち上がり、次の腹筋へと移ろうとした。その時、リクルートスーツの前面が目に入ったが、思いのほか汚れていなかったので、少しだけほっとする。
 お尻を地面につけて座り、腹筋に取り組み始めた。背中が地面につくたびに泥水がピシャという音を立てた。
 雨が強くなり、しばらく雨にさらされていると泥汚れが洗い流されるほどになってきた。

DM6br(3)  腹筋の次は背筋だ。うつ伏せとなって顎を上に可能な限りあげようとするが、スーツを着ているせいもあり、思うように上がらない。形だけの背筋になってしまう。しかし、幸恵の手前、自分だって雨の中がんばっていることをアピールしたい気持ちだった。
 うつ伏せとなった時に、リクルートスーツを地面にこすり付けるように少し体を動かした。それを何度か繰り返し、背筋の1セット目も終えた。
 立ち上がった時のスーツの汚れ具合は先ほど腕立て伏せをした時と比べ物にならないほど汚れてしまった。

 次はダッシュである。就職活動用のパンプスなので、ヒールは低いとはいえ走りずらい。いつもよりもかなりゆっくりと走った。
 何セットかダッシュを繰り返し終えるころには、先ほどまでクリーニング仕立てであれほど綺麗だったリクルートスーツが、全身ずぶ濡れの上に、所々、泥で汚れてしまっていた。
 「(これから、どうしよう・・・。)」 

 今となっては、絵里子は、幸恵に対する意地から、こんなことになってしまったことを後悔していた。
 しかし、今更遅かった。 開き直った絵里子は、さらに筋トレを続けた。
 ダッシュの次は、このひどい雨に打たれながらの遠距離ランニングだった・・・。 
(完)

2011年7月 3日 (日)

雨の中のグラウンドで…(1)

                                            雨の中のグラウンドで・・・(2)を読む

 梅雨のシーズンになり雨の日が多くなった。絵里子は清華女子短期大学2年、ソフトボール部のショートのレギュラーで打順は4番を任されている。
 部長でもあり下級生からの信頼も厚く、チーム勝利に向けた期待も大きくかかっていた。絵里子はその期待に応えるためにも毎日休まず練習に取り組んでいる。

 そんな不動とも思える絵里子の地位であるが、絵里子自身は1年生の幸恵をライバルとみている。彼女は数か月前に陸上部から転部してきたばかりだが、運動神経抜群でみるみる実力をつけてきていた。
 そして、彼女が絵里子のレギュラーボジションを奪うことを目論んでいることと、そのことが現実味を帯びてきていることを絵里子は感じ取っていた。絵里子としては、主将という立場でありながら1年生の幸恵にポジションを奪われるのは、どうしても避けたいと考えている。

Meeting  絵里子は幸恵以上に練習に取り組んでいるつもりであった。しかし、1年生の幸恵とはことなり、短大の2年生ともなれば就職活動と部活動やサークル活動を両立させなくてはならない。
 ファッションデザイナーを夢見る絵里子にとっては、アパレル関連メーカーから内定をもらうことと、ソフトボール部の部長の職務を全うしレギュラーの座を守ることは、どちらも大切なことであった。
 練習時間・絶対量では幸恵にかなうはずはなく不利であったが、経験と実績に基づく練習方法と効率性で何とかカバーしていた。

Dm6-br2  就職活動中の今、絵里子は面接やセミナーなどの帰りには練習グラウンドに直行し、リクルートスーツから練習用ユニフォームに着替えると1分でも無駄にしないように効率良く体力トレーニングや守備・バッティング練習に励んだ。
 今日も某企業の一次面接があり、クリーニング仕立ての黒のリクルートスーツを着たまま部室へと向かった。

 約1か月後に夏の大会をひかえ、本番前までの毎週末に、近くの四年生女子大との練習試合が組まれていた。明日は、その練習試合の1試合目であった。練習試合とはいえ、気は抜けない。
 練習試合のスターティングメンバーに選ばれるためには、普段の練習でも顧問の先生に好調をアピールしなくてはならない。

 絵里子は、いつものようにリクルートスーツをハンガーにかけて自分のロッカーの中にしまった。面接会場で長時間座っていたからであろうか、タイトスカートのお尻の部分に座り皺が目立ったが、ほかの部分やジャケットなどには皺はなく綺麗なままであった。

 いつものようにロッカーの中の右の方に入れてある練習用のユニフォームに手を伸ばした。しかし、ユニフォームが無かった。
  「(しまった!昨日、けっこう汚れちゃったから洗濯するために家に持ってかえったんだ・・・)」
 ユニフォームがないからといって、部長という立場上、練習に出ないわけにはいかない。今、脱いだばかりのブラウスに急いで袖を通すと、スカートをはきスリットがちゃんと後ろにあることを確認し、ジャケットも着こんで、なぜか髪形など身だしなみもチェックするとグラウンドに出た。

Intherain2  顧問の先生に事情を話すと、今日はベンチから後輩の練習の指導をするようにと言われた。
 さすがに、ユニフォームが無く、黒リクルートスーツ姿の絵里子は、グラウンドでの筋トレ、守備やバッティングなどの練習はできない。グラウンド脇のベンチに座りながら部員たちの練習風景をながめていた。

 しばらくすると、頭に冷たいものが落ちてくるのを感じた。雨だった。
 最初はポツリポツリと小雨であったが、だんだんと雨足が強くなってきた。気が付くとタイトスカートには雨模様がはっきりと、まばらにつき始めていた。 
~(2)へ続く~

2010年7月16日 (金)

二人の女子大生の運命(3)


  -試験会場の田んぼで-

 田んぼは代掻き作業が済まされていて、程よく水がためられてあった。

 「では、これから田植えの実習を行いたいと思います・・・。」
 と言いながら、リクルートスーツ姿の絵里子を心配そうに試験官は眺めていた。

 絵里子は思いもよらない展開に戸惑いながらも試験官に言われるままに田んぼに入る準備をはじめた。
 ブラジャーのラインが透けて見えるのが気になったが動きずらいのでジャケットは脱ぐことにした。スカートとブラウスを脱ぐわけにはいかないので、ジャケットだけ脱いだ状態で実習試験を行うことになる。
 さすがにパンプスやパンストは脱いで裸足になって入ることにした。

 リクルートスーツ姿で不安げな様子の絵里子をよそに、試験官は号令をかける。
 「では、はじめてください!」
 絵里子は滑らないように注意しながら田んぼの中にはいっていった。両足を田んぼの中にいれると、いままで経験したことのない感覚が足裏を襲った。苗を入れた容器を持ちながらタイトスカート姿で田の中を歩いて進むのは意外と難しかった。

 「青野さん、焦らずゆっくりでかまいませんからね。スーツが汚れないように気を付けながらやってください。」
 「あ、はい・・・。」

 田に張られた泥水の水面は絵里子のふくらはぎくらいの高さなので、しゃがんだりでもしたらタイトスカートが泥水に浸されることになってしまう。
 さらに歩くときに、ゆっくり足を移動させないとスカートやブラウスに泥ハネが飛んでしまうので、そのことにも気をつけなくてはならなかった。

 普段、中腰の体勢になることなど無いので、2、3本苗を植えては体を休めた。
休むとはいえ、田の中でのことなので、中腰というきつい体勢から逃れるために直立することが体を休める唯一の方法であった。
 日が照ってきたせいもあり、すぐさま絵里子は汗びっしょりになり、ブラウスとスカートが体にまとわりつき始めた。そのことが絵里子には大変不快に感じた。ただでさえ動きづらい服装であるのに、それに追い打ちをかけた。
 さらには、まるで雨にでも打たれたかのように汗で濡れたブラウス越しに透けて見える下着が気になり始め、田植えに集中できずにいた。

 そのせいで、ときどき、泥に足を取られてヨロヨロと体制を崩し、あやうくスーツ姿で泥の中に倒れこみそうになったが、なんとか持ちこたえている。
 容器の中の半分くらいの苗を植え終わった頃だった。田の脇から女性の声が響いた。

 「青野さん!・・・青野絵里子さん!」
 その声に絵里子は反応し、中腰の体勢のまま後ろを振り返った。泥の中深く浸かって固定されていた足が、振り返った上半身の動きに呼応することができなかった。
 そして、固定された足のままではどうすることもできず、泥の中にお尻から「パシャ」という音と泥しぶきを上げながら倒れてしまった。
 お尻を田の底につけた状態では、下半身はすべて田の中に浸かってしまった。おろしたての純白のブラウスには泥ハネもとんでいて、二度と着れないであろう状態になってしまった。
 泥の中に埋もれたタイトスカートと泥ハネで汚れてしまったブラウスを呆然と見つめ身動きできずにいる絵里子の姿がそこにはあった。
 
 「・・・青野さん。」
 沙由理は絵里子に何と声をかけていいのかすぐには思いつかなかった。
 自分と間違えて田んぼにつれてこられ、挙句の果てにはリクルートスーツ姿のまま泥だらけになってしまったみじめな絵里子の姿に、沙由理は得体のしれない罪悪感に包まれ始めた。
 むろん、沙由理には何の責任もない。試験官の責任であり、ひいては会社の責任である。しかし、苗字が同じことで自分と間違えられた絵里子に対し同情せずにはいられなかった。
 
 沙由理はジャケットも着たままであるにもかかわらずリクルートスーツ姿のまま、田んぼの中に入り込んでいった。パンプスも履いたままである。
 そして、絵里子の方へと駆け寄っていった。絵里子は田んぼの真ん中あたりで座り込んでいるため、10メートルほど移動しなくてはなからなかった。パンプスは泥に埋まってすぐさま脱げてしまった。駆け寄っているうちにタイトスカートの太ももより下が泥で染まってしまい、ジャケットにも泥ハネが激しくとんでいた。

 絵里子のもとに着くと、沙由理は何のためらいもなく、田んぼの中に膝をついて絵里子の様子をうかがった。自分もリクルートスーツを泥だらけにして絵里子と同じような状態になることで、絵里子が感じているみじめさを少なからず拭い去り、また、自分の罪悪感も和らぐと感じていた。

 沙由理は、絵里子が自身の姿に絶望感を味わっているのではないかと考えていた。否。それは違った。
 絵里子は最初に田の中にしりもちをついてしまった時は、突然の出来事に呆然としていたものの、その後、泥まみれになった自分の状態に不思議と快感を味わっていたのであった。筆舌しがたい快感・・・懐かしい感覚、そして、生温かく柔らかい泥の感触をこのまま感じていたいという衝動に駆られていた。

 リクルートスーツ姿で田んぼの真ん中でしゃがみこんでいる二人。
 脇から驚いた表情で二人を観察する試験官には、何やら会話をしているように思えたが、声は聞こえない。どうすることもできず、ただ黙っているしかなかった。
 次の瞬間、試験官はさらに驚く光景を目撃することとなった・・・。

 試験官は田の脇にある小屋へ大急ぎで向かい、浴室のバスタブにお湯をはり、小屋の外の水道の蛇口にはホースをつなげた。田んぼからは、二人の声と「バシャ」という音が何度も響きわたっていた。 (完)

2010年7月 1日 (木)

二人の女子大生の運命(2)


 絵里子の到着から遅れること20分。といっても、会社から知らされた約束の時間よりも10分早いが沙由理が到着した。
 沙由理が到着した時間には既に受付が開設されており、制服姿の受付の女性が対応してくれた。沙由理は「青野」ですと名前を告げると試験会場の中へと案内された。

 沙由理は前回の面接と筆記試験にパスして今日は「2次選考」であった。しばらく、受付の女性に言われるがまま席についていたが、時間が経つにつれ何かおかしいことに気が付き始めた。
 2次選考を受けるのは自分一人だけと聞いていたのに、会場には3、4名のリクルートスーツ姿の女子学生がいる。しかも、会場についたら着替えて待っているようにと指示を受けていったが、そのことについて何の案内もない。

 リクルートスーツ姿の沙由理は受付の方に確認のために向かおうと席を立ち上がった瞬間、部屋のドアが開いた。
 「青野さん、ちょっとすみませんが、荷物をもってこちらへ来て下さい。」
 内心、沙由理はほっとした。しかし、部屋の外に出ると思いもよらないことを知らされる。

 「青野さん、いや、青野【沙由理】さんですよね?」
 「はい。」
 「すみません。貴方以外に、もう一人【青野】さんという女性がいたらしく、その方をあなたと勘違いしたらしく、実習試験が行われる会場に試験官が「もう一人の青野さん」を連れて20分ほど前に行ってしまったとのことなのです。」
 「私と間違えて・・・ですか?」
 「はい、すみません。携帯などの連絡手段もないため、人違いであることを伝えるには、直接会場にいくしかありません。申し訳ないですが、急いで会場に向かってもらえないでしょうか。」
 沙由理は受付の女性から会場までの地図を手渡される。
 「もしかして、もう一人の「青野」という女性、下の名前は【絵里子】いう人ですか?」
 「そうですがご存知なのですか?」
 「はい、同じ学校の人です。名前と顔は一致しますがあまり親しくはありません。あっ、早く行ってあげないといけませんね。では失礼します。」
 と、軽く頭を下げると、着替えの入ったバックを肩に掛けて手渡された地図を頼りに早足に会場へと向かい始めた。  ~(3)に続く~