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カテゴリ「メッシー・ストーリー」の69件の記事 Feed

2023年5月 1日 (月)

初仕事は純白スーツで泥だらけ!…ストーリー公開

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 「(なんでこんなことしなくちゃいけないのよ・・・。)」
 絵里子は新入社員として第一志望の農業関連企業に就職したものの、新人研修で日々の勤務を過ごしていた。
 入社して1、2カ月経ったある日、新人研修を担当している上司から会社が現在所有している休耕田に行ってお客さんの落とし物を探してきてほしいと頼まれた。

 実は、そのお客さんのことを絵里子は知っていた。休耕田の状態が良ければ購入したいという人で、数日前に上司と絵里子は、そのお客さんに「あの休耕田」を見せに行ったのであった。お客さんは裸足で田んぼの中に入り、畦道の近辺だけであったが歩き回って、泥の感触を試したり、砂利がほとんど無くきめの細かい泥質であることを確認しながら休耕田の状態に満足していたのであった。
 そのお客さんから今日になって休耕田に自宅の物置の鍵を落としてしまったらしいから、探してほしいと連絡があったようなのだ。広い休耕田といえども畦道のからそれほど離れていないところしか足を踏み入れていないからすぐに見つかるであろうとのことだった。
 

Dm27cst_1

 こういった雑用は社内の若い者の役回りとなることがしばしばだ。とはいえ、新人で、しかも女性にこのような雑用が回ってくることは通常では考えられない。しかし、何事も「通常」通りで物事が動いているわけではないのがこの世の常でもある。
 最終面接の時に絵里子の面接官であった「メガネ」が絵里子の直属の上司であり、日々の新人研修も担当していた。

 「青野さん、あなたにこの仕事をお願いしたいと思います。最終面接でも泥の中に入るのを厭わず、我々の想像以上にリクルートスーツを泥だらけにした青野さんですから、まさに適任ですね。これも新人研修の一環として考えてください。」
 絵里子にとっては初めて単独で任される仕事でもあり、新入社員として認められたような気分にもなり嬉しかった。
 「???・・・あっ、はい。」
 「今日はその恰好ですから泥で汚れてもいいように、いずれ支給予定の制服を青野さんには前倒しで・・・いや、それも汚してはいけないので、農業用の作業着に着替えて行ってください。」
 絵里子は上下白のスーツ姿だったので、上司の「メガネ」が絵里子に対して最終面接の時のようにスーツが泥だらけにならないようにとの配慮らしかった。しかし、絵里子はさすがに鍵を探すくらいのレベルで泥だらけになることなどありえないから、着替えなど大袈裟だと考えた。

 「あの時のお客さんが無くしたとかいう鍵を探すだけですよね?畔からそれほど離れていないあの地点はそれほど泥も深くなかったはずです。だから、着替えなくても大丈夫です。すぐに見つかると思いますし。」
 絵里子もさすがに今日は泥んこ遊びをするわけにはいかないので本気でそう思い「メガネ」に対して返事した。

 絵里子のこの返事は顕在意識が発しているにすぎず、また「メガネ」も絵里子の行動を読み切ったうえでの発言であった・・・。

 会社の軽自動車で、まだ午後の早い時間に絵里子は1人で休耕田にやってきた。田舎なので人通りや車の往来もほとんどない。やっつけ仕事ともいえるこの雑用を早く終わらせて会社に戻りたいと思っていた。
 真っ白のスーツに泥ハネが飛ばないように細心の注意を払いながら畦道から休耕田の中に足を踏み入れ、お客さんが無くしたという鍵を探し始めた。
 スーツのスカートはAラインの膝丈なのでタイトスカートとは異なり足の自由がきく、ジャケットの袖もやや短めなので田んぼの中に手をある程度深くまで入れても汚れることはなかった。泥ハネに注意していればスーツは全く汚れることはなさそうで安心していた。

Dm27cst_2

 しかし、中腰での作業を続け、スーツが汚れないようにかばった体勢を続けていたことが原因で、普段使っていない筋肉が限界に達し悲鳴を上げた。足がつってしまったのだ。つった時の痛さは本人でないと分からないものである。一流スポーツ選手でさえその場で立っていることは困難だ。
 絵里子は自分が白のスカートスーツ姿で休耕田の中にいることは十分理解しているが、体が言う事を聞いてくれない。足の筋肉がおかしくなりはじめ、その場にしりもちを付くほか何もできなかった。
 「(・・・・!)」
 白のスーツ姿のまま泥の上に座り込んでいる自分の姿に一瞬頭が真っ白になったものの、そのことを足の痛みが忘れさせた。パンプスを脱ぐとつま先が変形していることが分かった。足がつったせいである。両足を泥の上に伸ばして手でつま先を引っ張る。そして足を曲げるためにその場でうつ伏せになって足を何度も動かしたりして泥の中でストレッチをする。
 徐々に足の痛みがやわらいでいくにつれて、意識が自分の泥だらけのスーツへと戻っていく。
 「えっ!・・・やばっ!」
 思わず声を上げてしまう。
 同時に、絵里子の心の奥底からある感情が芽生える。沙也加とここに遊びに来た昨年の夏頃、沙也加のいたずらで私服を泥だらけにされたという出来事をきっかけに「目覚めて」しまった泥んこ遊びが・・・気持ち良くて楽しかったという感覚・・・が再びどこからともなく湧き上がってきた瞬間であった。

 絵里子はここまで汚れたのであれば、もっと汚しても同じ事だと思い、ふっきれた気分でおもいっきり泥だらけになりたいと感じた。もう誰にもこの衝動を止められない。
 今いる位置から匍匐前進で畦道まで戻る。そして再び、田んぼの中に入って泥の上で転げまわるようにしながら進んだ。白いスーツの白い
部分がなくなるまで真っ黒にすることが今の絵里子の関心事であった。「あの時」のように、田んぼの中で1人はしゃぎながら泥んこ遊びに興じる。白いスーツの面影は無くなり、あたかも黒のリクルートスーツを着ていたかのような汚れぶりであった。

 絵里子がふと田んぼから100メートルくらい離れた看板の方に目をやると、大木の陰に一台の車が停まっていた。絵里子はけっして視力は良くはないが、運転席の人物の眼鏡が光に反射していることはフロントガラス越しに容易に確認できた。その人物がだれであるのか、そして自分がその人物の手のひらの上で転がされていたのだということを悟った。
 「(あのお客さんが鍵を落としたかもしれないなんて・・・おそらく嘘なんだ・・・。)」
 絵里子は、もっともっと泥だらけになっていく自分の姿に陶酔した。

作・ジュテーム家康)

2022年11月18日 (金)

田んぼの中の最終面接…ストーリー公開

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 「では、これから最終面接を始めさせていただきます!」
 畦道にリクルートスーツ姿の絵里子は立っている。目の前には広大な田園地帯の中にポツンとある休耕田が広がっている。

 
絵里子は今、なんと「あの休耕田」にいる。
 卒業論文執筆のために沙也加と休耕田の実態調査のため訪れ、泥んこ遊びにまで発展してしまい、二人とも泥だらけになって帰宅した・・・「あの休耕田」であった。あれから、もう2ヶ月ほどたつ。
 自由に開放されている耕作放棄地とはいえ手入れが行き届いており、いつからでも耕作を開始できる休耕田であった。まさか絵里子の就職先として第一希望である農業関連企業の保有する休耕田とは、まったく想像すらしていなかったので、最終面接の詳細をメールで受け取った時は心臓が止まりそうなほど驚いたのであった。
 しかし、私服で泥だらけになって遊んだあの日、帰り際に感じた直感、因縁がこのような形でそれほど期間を経ずに実現してしまうとは運命を感じざるを得なかった。

 最終面接では必ず着替えを持ってくるようにとだけ指示があった。普通に考えて着替えが必要という事は、面接ではなんらかの実技をして汚れる可能性があるということを意味していた。
 絵里子は沙也加と先日、私服のまま泥だらけになった時に「泥だらけになる快感」を味わったので、今日はリクルートスーツのまま思いっきり泥だらけになれるかもしれないことを楽しみにしていたのであった。

 「青野絵里子さん・・・・着替え忘れたのですか?」
 「いえ、持ってまいりました。」
 「ではなぜ着替えないのですか?」
 「着替え・・・面接だからリクルートスーツのまま受けるものと・・・」

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 面接官たちはリクルートスーツのまま今にも田んぼの中にとび込みそうなオーラを出している絵里子を不思議そうな顔で見ている。
 絵里子は面接官の方に目を向けると、黒縁のメガネをかけストライプの入った濃紺スーツを着ている中年男性が目に入った。日の光にメガネのふちがキラリと反射したからだ。
 顔全体がはっきり見えなかったが、スマホを眺めながらなぜか頬が緩んでいることだけは確認できた。そしてスマホをスーツのジャケットの内ポケットに入れると他の面接官達よりも一歩前に出た。

 「入社後に泥だらけになることもあるので、泥で汚れる事への抵抗感が無いかどうかを見させていただきます。田んぼの中で体力測定など色々なことをやっていただきながら泥だらけになってもらいます。だから着替えを持ってくるようにと指示したのですが、スーツのままとは申しておりません。」
 「承知しております。面接なので私はリクルートスーツで受けさせていただきます!着替えは持ってきていますし泥だらけになっても構いません。そのつもりでここに参りました!」
 「なんとも頼もしい新入社員候補だね!!!」
 とメガネが既に絵里子の内定を決めたかのような口調で言った。

 ・・・メガネは2ヶ月ほど前に部下からスマホに写真付きのメールが送られてきたことを思い出していた。
 そのメールは社の休耕田で泥んこ遊びをしている女性2人がいるという報告と、その泥んこ遊びをしている2人の顔がはっきりわかる写真であった。メガネは、目の前にいる絵里子が写真に写っていた2人うちの1人である可能性が非常に高いと疑っているのだ。

 「では、最終面接を始めます。事務的なことは既に今までの選考で分かっておりますので、ここでは実技的なことのみを実施します。」 
 「よろしくお願い致します!」
 面接官に促され絵里子は田んぼの中に足を踏み入れた。そして、泥の感触を確かめる。「この前」とまったく同じ感触だったので、すぐにあの時の感覚が蘇ってきた。この前は私服だったが今日はリクルートスーツだ。汚したり濡らしたりしないように注意して着るべき服の象徴でもある。絵里子はこれからどうなるのかということを想像するだけで胸が高鳴った。今回は自分の意思で泥だらけになっていくわけではなく、面接の実技選考という性質上、何をするのかは面接官が決める。そのことが逆に絵里子のドキドキ感をくすぐった。
 「(もし、いきなり匍匐前進なんて言われたら、このスーツいきなりすごいことになっちゃうよ~。)」
 絵里子はどんな指示が来るのか心の中でワクワクしながら待ち構えていた。

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 「では、最初はこの田んぼの泥質に慣れてもらうために軽くランニングをしてください。」
 「もう、存じ上げております!」
 と、思わず絵里子は返事をしてしまった。
 このまえ、ここで泥んこ遊びをしたのだから面接官以上に【存じ上げている】のだった・・・が、さすがにその返答はまずかった。絵里子は、しまったと思った。なぜならば、面接では相手に対して精神的奴隷を演じるのが鉄則であり、心証を悪くする発言などは控えるべきだからだ。当然、面接官は絵里子の発言を黙殺するはずもなく、その発言の意味を問うべく当然の質問がかえってきた。
 「青野さん・・もう・・・? 分かっている・・・とはどういう意味ですか?」
 「あっ・・・すみません。体力測定とおっしゃっていたので、最初はランニングで次は草むしりかなと勝手に想像しておりました。自分の想像通りだったので思わず、【もう、存じ上げている】と条件反射的に申してしまいました・・・。」

 メガネは今さっき自分が抱いた疑いは確信へと変わった。
 「想像通り?(笑)青野さん、ランニングの次は何か想像できますか?」
 「(・・・・?)」

 絵里子は言われるがままにランニングを開始する。何往復か走っているうちに泥ハネが黒のタイトスカートを徐々に汚していった。
 「青野さん、次は草むしりではないですよ。それじゃものたりないですよね!」
 「(・・・・!)」
 絵里子は面接官の言葉が何か意味ありげで不思議に感じ始めた。

 メガネは泥フェチでもあり、社の人事権を持つ立場上、入社希望者を泥だらけにすることを楽しむために最終面接を休耕田で実施しているのであった。「泥に慣れてもらう」「体力測定」とは口実である。メガネの本意は最終選考の場に到達した入社希望者が泥だらけになることをどれだけ心から楽しんでいるかを見る事・・・それが最終面接での大きな選考基準であった。
 たいていの志願者は泥だらけになるということで、ジャージなど汚れてもいい恰好になって最終面接に参加するが、絵里子はリクルートスーツ、それもタイトスカートスーツで挑むという事に衝撃と当時に喜びを感じ、メガネは自分の職権を行使し既に絵里子の内定を決めていたのであった。
 もちろん、絵里子はそのことはまったく知らないが、今となって、この最終面接は形骸化し、メガネの願望を実現させる場となったのだ。

 「青野さん!ここから最終面接がいよいよ始まるといっても過言ではないですよ!リクルートスーツ姿でどこまでできるか頑張ってくださいね・・・。」
 先ほどまでスローボールを投げていた面接官が徐々に球速を上げていこうとしている。絵里子は、自分の想像以上にリクルートスーツが泥だらけになっていく運命にあることを知らない。

作・ジュテーム家康)

2022年10月 8日 (土)

私服で落とし物探し…ストーリー公開

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 絵里子は先日、沙也加と一緒に水かけ遊びと泥んこ遊びを楽しんだ。絵里子はチャコールグレーのリクルートスーツを泥だらけにして遊んだ楽しさが忘れられず、余韻がまだ残っている。

 今日はその田んぼに1人で来ている。今朝、自転車に乗ろうとしたら鍵がないことに、気が付いたのであった。家の中を探しても見つからなかった。
 そこで絵里子は、この前、沙也加と泥んこ遊びをした時にこの田んぼで無くしたのではないかと考えたのであった。自宅から歩きながら田んぼに向かっている最中に、スーツのジャケットのポケットに入っていたということをはっきり思い出した。あの時、田んぼの中で動き回って泥んこ遊びをした時にポケットから何かの拍子で出てしまい、この田んぼの泥の中のどこかに今も埋まっていることを確信している。

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 いざ、田んぼに着くと絵里子は気がめいった。遊ぶ時は狭いと感じていた田んぼが、小さな自転車の鍵を探すとなるとやけに広く感じた。人間、その時の状況や気分によって同じ事象の「見え方」はかなり変わるものである。

 絵里子は黒のトップスに白とブルーの爽やかな巻きスカートを穿いている。風が吹くと巻きスカートがひらりと捲れて太ももや脚が垣間見れる状態である。今日はあくまでも鍵という落とし物を探すことが目的で田んぼに入るので、絵里子はスカートを汚さないように手で押さえながら中腰になって右手で泥の中を鍵を探り当てようと試みる。
 先日、沙也加と泥んこ遊びをしたエリアはある程度絞れるので、その辺りを集中的に探すことにした。

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 しかし、範囲を絞っても広い田んぼであることには変わりなく、いくら時間を使えばいいのか分からない。絵里子は効率を上げようとスカートを押さえている左手を解放し両手を使って探し始めた。
 先ほどよりも効率は良くなったが、非力な人力ブルドーザーでは依然として広い田んぼの中から鍵を見つけるのには無力であった。
 絵里子は途方に暮れ、思わず田んぼの泥にひざをつけてかがんでしまう。
 「あっ、いけない!」
 と思ったものの遅かった。スカートの前面をひざが泥の中に沈めるかたちとなってしまい、スカートの前面の下部が泥だらけになってしまった。絵里子はすぐさま立ち上がりスカートを眺める。

 すると、この前リクルートスーツのまま沙也加と泥だらけになって遊んだ時の気持ちいい感覚を思い出し、自分の心の奥底から「天使」のささやきが聞こえた。
 「こうなったら思いっきり遊んじゃおう!!」
 泥ハネといった程度ならともかく、スカートの前面がべっとりと真っ黒に汚れてしまっては、全身泥だらけになってから田んぼ脇の用水路の水で洗うのと五十歩百歩だ。たいした違いはない。(いや、冷静に考えるとかなりの違いがあるが)泥んこ遊びの誘惑に引きずり込まれている絵里子にとっては「同じ」ことだった。
 
 絵里子にとって、もはや鍵を探すという本来の目的などどうでもよかった・・・。私服のまま田んぼの中にお尻を付けて座り込み、泥の中に埋もれていく感触を楽しむ。そして、うつ伏せになったり仰向けになったり田んぼの中で1人で無邪気に泥んこ遊びに興じた。

(作・ジュテーム家康)

2022年9月12日 (月)

友達のいたずらで泥だらけ…ストーリー公開

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 ◎某農業大学の4年生で就職活動を控えていた絵里子は、自由に遊んでも良いという休耕田をキャンパス近くに偶然見つけた。「日本の耕作放棄地の活性化について」というタイトルで論文を書いている絵里子は、親友の沙也加を誘って休耕田の実態観察に来ていた。沙也加は着替えを持ってきていて田んぼの中に入って泥んこ遊びに興じていたが、着替えを持ってきていない絵里子はその様子をただ見ているだけであった。

 絵里子は泥んこ遊びをして白の膝丈フレアースカートをみるみるうちに泥だらけにしていく沙也加の姿を畦道にしゃがんで見ていた。
 「嫌だぁ~」
 絵里子のはしゃいだような甲高い声があたりに響き渡る。

 泥んこ遊びに1人興じていた沙也加は畔から自分を「ただ」眺めている絵里子の姿を見るなり、急に田んぼから畔の方に上がってきてバケツで用水路から水を汲み、自分のスカートの泥汚れを落とすのかと思いきや、なんと絵里子のデニム風のタイトスカートに水を掛け始めたのであった・・・。

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 最初は控えめであったが徐々にエスカレートしていき、絵里子のスカートはあっという間に濡れ、濡れた箇所が濃い青色に変色していた。着替えを持ってきていない絵里子は頭が真っ白になった。友達の沙也加は泥んこ遊びをする前提だったため、着替えを持ってきていた。
 「何するのよ~」
 絵里子は嫌がってはいるものの夏の暑い日に水を浴び気持ちいい感覚にも浸っていた。気温も高いので濡れたスカートもすぐに乾く筈であった・・・。
 
 しかし、沙也加は自分が着替えにと持ってきたスカートを絵里子に貸すから、一緒に泥んこ遊びをしようと誘ってきた。その誘いに絵里子はびっくりしたが、沙也加が泥の感触の気持ち良さなど様々なことを語っているのを聞いていると、不思議と自分も泥だらけになってみたいと思ってきた。汚しちゃいけないはずの服を汚しちゃう・・・・それも泥だらけにしてしまう・・・・という子供の時に経験した「懐かしい体験」を今の服装のまますることに罪悪感を感じつつも、何か「特別な体験」ができる充実感、期待感が高まってきたのであった。

 「私のスカート貸してあげるから!それで帰ればいいでしょ。私はこの白いスカート、泥染みは落ちないだろうけど、洗ってそのまま帰るから気にしないで!」
 沙也加の繰り返される提案に後押しされて、絵里子は一緒に遊ぶことに同意した。スカートも借してもらえるという安心感から、どうせなら大胆に汚してしまおうと思った。

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 絵里子はフロントがラップ風になっていて膝が隠れるミディ丈のタイトスカートを穿いている。夏らしく爽やかなブルーを基調としていて見た目のデザインはスカート丈が長いため上品な印象だ。

 ずぶ濡れにされたスカートの数分後の運命を想像しつつ、絵里子は沙也加に誘われるままに畔から水田の方へと足を踏み入れた。
 「沙也加、本当にスカート貸してくれるんだよね?」
 「大丈夫だから。ちゃんと、か・し・て・あ・げ・る!」
 「わかった・・・」
 絵里子はようやく吹っ切れたのか、本来汚してはいけないお気に入りのスカートを田んぼの中に沈めていった。お尻をつけて座ると泥はかなりの深さがあり、ゆっくりと下半身が田んぼの中に埋もれていく。泥の表面や、田に張られた水は暖かかったが、沈みこんでいく泥の奥底は少し冷たくひんやりし、柔らかくヌルヌルした感触が気持ちよかった。
 泥を手ですくってスカートに塗りたくっていく。きめの細かい泥で砂利や草など大きな不純物が無くさらっとした泥であった。その手触りも気持ちよく、癒されていく感じがした。

 泥の中で遊んでいると、絵里子の何かのネジが外れた。突然、立ちあがった。
 「これじゃ動きずらいよ~!」
 泥だらけのスカートのフロントにあるスリット風の部分を手で引き裂いて破いてしまう。泥で汚れたふくらはぎから太腿あたりまで露わになった。足が自由になった絵里子はさらに大胆に泥んこ遊びをした。
 「(小学校?・・・幼稚園の時以来かな?・・・)」
 幼い時に友達と泥んこ遊びをし、泥だらけの洋服のまま家に帰って母親に叱られた時のことを思い出した。今は一人暮らしで誰かに叱られることはないが、帰りの事を考えるとちょっと心配になってきた。
 気が付くと、沙也加はとっくに畔に上がって用水路の水で体を洗い流している。
 「どうしたの?もう帰る?」
 「・・・まだ・・・だけど。一旦小休止・・・。それより、絵里子さ、もう着替える?」
 「そうだね。泥んこ遊びはもう十分。一瞬、子供の時に戻った感じだった。それに泥の感触って思ったより気持ちいいんだね。また泥んこ遊びしたい感じ!(笑)」
 「はい、スカート。」
 「・・・ありがとう!すごいボリューム感!」
 「絵里子なら私と身長同じくらいだからスカートが地面につくことないと思うけど・・。」
 「これ、マキシなんだね。こんなドレスのように長いスカート穿くの久しぶり!これ貸してくれるの?」
 「うん。」
 「もう着替えてくる。」

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 絵里子は泥だらけの自分のスカートをある程度洗って綺麗にすると、沙也加から借りたスカートに履き替えた。
 「ごめんねスカート借りちゃって。トップスがちょっと汚れてるけどスカートに付かないかな。もちろんこのスカート、洗って返すから・・・。」
 「うん・・・」
 沙也加は急に絵里子に近づいてきた。
 
 「えっ、何?・・借りたスカートなのに!」
 なんと、絵里子は沙也加に田んぼの中に突き落とされてしまったのであった。
 「沙也加!・・・なんでよ~!」
 「ちゃんと、か・し・て・あ・げ・る・・・って言ったでしょ。(笑)」
 「でも、これじゃ泥だらけで・・・。」
 「私と一緒に帰るんだから道連れ!(笑)」
 「ひどい~もう・・・!沙也加、始めからこういう魂胆だったの?」
 「いや、別にそうじゃないけど、今さっき、絵里子さ、【また泥んこ遊びしたい】って言ってたでしょ、だったら私のスカートに履きなおしたらまた泥だらけにしちゃいたいなって思って・・・」
 「【また】って今日って意味じゃないから。(笑)また今度、別の日に泥んこ遊びしたいって思っただけ。」
 「結局したいんでしょ?だったら今でもいいじゃない。私のスカートなんだから【遠慮なく泥だらけにしていいわよ。】(笑)」

 絵里子は、まさか着替えた服のままで田んぼに突き落とされるとは思っていなかった。これで、二人とも泥だらけになったスカートを洗って泥染みがついたままずぶ濡れのスカートで帰らなくてはならない。
 二人はお互い近くの下宿先に住んでいて、この田んぼからも歩いて20分程度のところだった。ただ、それなりに人通りがあるので、誰かに見られる可能性はあった。そのことを考えると絵里子は恥ずかしい気分になったが、一人ではなく沙也加と途中まで一緒なのが救いだった。

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 こうなったら、後先考えずにおもいっきり泥んこ遊びをしようと絵里子は思った。
 沙也加が畔から見守る中、絵里子は借りたスカートを隈なく泥だらけにしてしまおうと思った。泥の中ではってみたり、寝返りをうってみたり、立ち上がって手で泥をぬりたくって泥だらけにしていく。
 「沙也加、見て! 遠・慮・無・く・・・泥だらけにするからね!」
 「もう、好きにして!」
 という沙也加は、思いの外、派手に泥だらけになっている絵里子の姿を見て、そのスカートでは二度と外出できないくらい泥染みになってしまうことを恐れたが後の祭りだった。
 絵里子は、さっきはブラウスをあまり汚さないようにと気を浸かっていたが、今となってはブラウスが汚れることも気にせず、沙也加から借りたスカートを前も後ろもどこもかしこも泥だらけにしていく。
 クリーミーな泥の気持ち良さを感じながら、沙也加が自分を突き落としたことを後悔させようと彼女のスカートを茶色く染めていくことに没頭した。沙也加はその様子を見ているしかなかった。自分のスカートが絵里子によって泥だらけにされていくことに何とも言えない不思議な感覚を覚えた。

 ようやく絵里子は色々な意味で【満足】し畔に上がってきた。
 「沙也加ありがとう!おかげで泥んこ遊び楽しめた!」
 「(・・・・・)」
 「じゃあ、洗い流してできるだけ綺麗にしてから帰るから。このスカート、綿素材だろうから泥染みは落ちないと思うけど・・・。」
 「うん、気にしないで!絵里子が楽しんだならそれでいいわ。そのスカート、泥んこ遊び専用服にしようかな。(笑)」
 沙也加は先ほどまでの屈託のない笑顔が消え苦笑いである。
 
 いつのまにか辺りは薄暗くなっていた。ここに来たときは心地良く感じていた風が肌寒く感じる。
 二人は念入りに泥汚れを落としずぶ濡れのまま田んぼを後にした。しばらくして、絵里子は、この田んぼに因縁を感じ振り返った。何らかの形でまたここに来ることを予感した。賽は投げられたのであった・・・。

 (作・ジュテーム家康)

2022年3月11日 (金)

制服でうっぷん晴らし…ストーリー公開

 小説執筆でスランプに陥っていた絵里子は、偶発的な出来事により田んぼの中でリクルートスーツ姿で泥だらけになるという経験をし、自信を取り戻したのであった。

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 その後の就職活動にも良い影響をもたらし、某出版社への就職が決まった。もともと、過去の実績もあるので、小説家としてやっていけたらと思っていたが、冷静に将来の事を考えると小説家として生計を立てていくのは難しいので、保険として一時的に社会勉強も兼ねて就職し、空いた時間で執筆活動をしようと考えたのであった。
 もちろん、二足の草鞋とうのは非常に困難なことだと想像はしたが、逆に言えば「生活のための仕事」で心身ともに疲れるくらい大変だとしても「好きな活動」にほとんど時間を割けないのであれば、そもそも「好きな活動」で生計を立てたいという自分の意思はその程度のものだったということになる。絵里子はそのことを理解していたので、就職後も執筆活動の時間を確保する計画であった。
 
 絵里子は出版社の事務職としての採用が決まったのであるが、絵里子の過去の執筆活動や面接時に語った様々な事・・・さらには、近い将来小説家になって文壇にデビューするという決意を感じ取った出版社側は、事務職でありながら編成部員としての役割も与えることにしたのであった。
 そして、編集長裁量で課されたコラムを書いたりして、それが人目に触れ、その反応をみられる機会を得ることは絵里子のためになるだろうという会社の提案であった。これは前例のないことであるが、会社は絵里子の才能に投資したという事になる。絵里子にとっては、自分が書きたい小説の連載というわけではないが、文章を書くという点では共通しており、重要なことに書いた文章に対する評価を実際に購読者から得られる場が与えられるのは、新卒したての新入社員である絵里子にとってはこの上ないチャンスでもあった。絵里子が入社を決断したのは、このことが大きな要因であったのだ。

 絵里子は出社すると更衣室で私服から事務服である会社指定の制服に着替える。研修期間中はリクルートスーツであったが、研修が終わった後は会社支給の制服着用が義務づけられていた。というのも、出版社内での事務職は、デスクワークだけでなく梱包された出版物を段ボールなどに入れてカートにのせて運搬したり、インクで汚れた試し刷りされた大量の印刷物を整理したり処分することがあるので、汚れてもいいようにとの配慮により、昔から私服ではなく制服着用が義務ということになっているらしい。
 女性事務職の人たちは白ブラウス、濃紺地に白のストライプが入ったベスト、その上に紺色の上着、下はやや長めの紺色タイトスカートという地味な制服を着用する。

 制服を着て仕事をするようになって数カ月が経過していた。
 なんと、既にいくつかの出版物のコラムを任されていて、絵里子の仕事は事務的なものよりもコラム執筆の方が圧倒的に多くなっていた。絵里子のコラムは、彼女の膨大な読書量に裏打ちされた語彙の星々による独自な文体、新鮮な切り口で、かつ分かりやすいと評価は上々であった。
 購読者アンケートによる評判は、ジャンルによってはベテランのコラムニストたちを押さえてトップの評価を得ていた。彗星の如く現れた新人コラムニストは出版界はじめ、一部のマスコミ業界では早くも噂となっていた。しかし、絵里子がそのコラムニストであることはトップシークレットで、社内で実態を知っているのはごく少数であった。

 
そうした社の期待と思惑とは裏腹に、絵里子は今の自分の立ち位置に迷っていた。自分の書いたものに対して良い評価をもらえるのは嬉しいことではあるが、それでは本当に満たされた気持ちにはなれなかったのだ。
 なぜならば、絵里子は自分が「書きたいもの」を「書きたい気分」の時に書くことによって自分の力を最大限に引き出せることを知っていた。しかし、今は、女性受けし発行部数を稼げる内容だからということで上司から執筆をお願いされている「ダイエット」「グルメレポ」「ファッション」といった内容ばかりであった。評価は得られたとしても、心の充足感はなくストレスが溜まっていくばかりであったのだ。

 そんなある日、絵里子は会社の制服に着替え終わり、ふっきれたように上司のところに向かった。
 「自分の気持ちはごまかせません。やはり私は小説を書きたいです。これまでのご配慮には感謝いたします。社への迷惑を最小限におさえるため、各コラム連載の1クール目の執筆が終わった今かと考えた次第です。編成部員として誌面の割り振りやタイムスケジュールもそれなりに分かっているつもりです。今なら編成的にも差しさわりないかと思いまして・・・」
 と言い、辞表を提出した。
 突然の出来事に対し、コラムニストとしての顔を持つ絵里子の事情を知っている数人の上司たちは不思議に思った。傍から見れば入社して間もないのにコラムニストとしての地位を確立しつつある絵里子が今の恵まれた環境を捨てるという行動は信じられなかったからだ。
 普通なら今の状況に満足し受け入れ継続することであろうが、絵里子は違った。今の立場に未練などなかった。その未練に引きずられると自分の夢の達成が遠のくであろうことを直感的に感じた。たとえ、うすうすそう感じても自分の才能を信じきることができなければ辞表など出せないはずだった。絵里子には自信があったのだ。
 第一に、絵里子にとっては、心から書きたいと思っているものでないものを書いているという現状から早く脱却したかったのだ。

 幸いなことに上司たちからの野暮な引き留めはなかった。なぜなら絵里子の想いを容易に汲み取ることができたからだ。彼らも、実は絵里子と同じような想いをもって入社したものの、いつしか仕事に忙しいことにかこつけて自分の夢の達成のために一歩踏み込む勇気が持てなかったという過去を持っていた。
 結婚して子供ができてからは、家庭を守らなくてはならないという「現実」が優先され、どんな状況下でも夢の達成のために行動しなくては花開かないという「真実」から目を背けて今を生きることしかできなかったのだ。だから、上司たちは「過去の自分」を絵里子になぞらえて、彼女を応援するために辞表を快諾することにしたのであった。一瞬、絵里子の行動を不思議に思ったが、すぐに上司たちは全てを汲み取った。
 「今月末までとは言わず、今日限りで退社でも構わないよ。急だけど手続きは任せておいて。署名が必要な書類に関しては郵送するから署名して返送してもらえればよいから。あと、給与は今月分も満額払うから心配しないで。・・・・やっぱり、自分の気持ちに正直に行動するのが一番だよな~。俺も昔・・・あっ、今まで嫌な事、おしつけて書かせていたみたいで申しわけなかったね。

 「いえいえ、そんなことおっしゃらないでください。嫌な事ではなかったですよ。むしろ好きな事です。ただ、今申し上げた通り、本当に心から欲して自分が書きたいものではないということです。我がままですが、本当に書きたいものだけを書きたいのです。そうでないことを書くことは私にとってストレスになるのです。」
 

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 絵里子は上司からの粋な計らいに甘えることとし、今日限りで退職することにした。私物はほとんどないので持ち帰るものは数える程度であった。机の中にあるこまごまとしたものをバックに入れ、今着ている制服を会社に返却すればよいだけだ。
 私物などを入れるために自由に使用してもよいことになっている個人ロッカーの中に研修中に着用していた黒のリクルートスーツ一式がそのままになっていることを思い出した。普段は更衣室の方のロッカーに制服を置いていてそこで出勤時と退勤時に着替えることになっているので、私物入れのロッカーのリクルートスーツをあやうく忘れる所であった。
 ・・・・絵里子は、ふといけないことを考えはじめた。私服で社を出た後、駅のトイレで、もう着る機会がないリクルートスーツに着替えて、そのままあの田んぼに行って泥んこ遊びをしようというものだった。遊んだあとは私服に着替えて帰宅すればよいわけだ。急な事なので下着の替えは無いが、あの田んぼから自宅までは歩いてすぐなので、私服に着替えさえすれば人目についても問題ない。ロッカーの中のリクルートスーツを取り出し、折りたたんでバックの中にいれると数時間後の運命を想像してまじまじと眺めた。
 その一部始終を直属の上司が見ていた。絵里子の入社面接時の担当官の1人であり、絵里子のことを理解している者であった。
 「また、泥んこ遊びしたくなったのかな?リクルートスーツじゃもったいないから、今着ている会社の制服でやっちゃいな。餞別としては味気ないけど。(笑)」
 「でも、制服って規定で返却しないといけないのではないですか?」
 「決まりはそうだけど、返却してもらった後はどうなるか知ってる?」
 「(・・・・。)」
 「結局は処分するんだよ。一時的に保管されるけど、退社した女子社員のものとか、生地が破れたり、ボタンが外れたり、座りジワがひどくなってクリーニングしても治らないいものとか、生地がテカってきて劣化したものは
新品の制服と引き換えて、回収した中古の制服は年度末にまとめて業者に引き取ってもらうんだよ。その費用も馬鹿にならないって・・・総務部長が言ってたよ。(笑)」
 「そうなんですか・・・。でも、私が返却しないとすぐにわかってしまうんじゃないですか?」
 「大丈夫なんだ。総務部長って、君が最終面接のときに私と一緒にいた人間だからね。制服の管理の最終責任者は彼なんだ。私の同期でもあってね。事情を話して、業者へ引き渡す際の数合わせのお願いをすればいいだけだよ。制服の転売や盗難を防ぐために管理しているわけだけど、君の場合は用途は明らかだからね。(笑)

 「最終面接のお二人には泥んこ遊びの話、そういえばしましたね!その時に執筆のスランプを脱して自信を取り戻したってことも!」
 「今でもあの面接の事はよく覚えているよ。インパクトあったからね。(笑)だから、会社の制服をこれでもかというくらい泥だらけにしてたまった鬱憤を晴らしてスカッとさせなよ。それでまた執筆に専念しなさい。沙・也・加・先・生!(笑)」
 「あっ、はい!そうします。ありがとうございます!(笑)」

 終業時間になると制服姿のまま部内の人たちや、総務部長への挨拶を済ませると会社を後にした。そして、あの休耕田へと心弾ませながら向かった。

 (作・ジュテーム家康)

2022年2月 3日 (木)

水かけ遊びだけのはずが…ストーリー公開

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 あれからまだ数日しか経っていなかった。絵里子は数日前、濃紺のリクルートスーツで一人で泥んこ遊びをしたのだった。
 一人よりも二人の方が面白いということで、絵里子は自分と同じく就職活動真っ只中の幼馴染である沙也加を誘って、今、一緒にあの田んぼにいる。昔、よくこの田んぼで遊んで泥だらけになって親に怒られたものだ。泥の掛け合いをしたり、田んぼの中で寝転んだりして泥人形になった記憶が蘇ってくる・・・。
 今日は田んぼ脇の用水路の水や田んぼに張られている水をかけ合って遊ぶことにしていた。しかし、そのままでは終わらないであろうことは二人の間で暗黙の了解だった。

 今、二人はなんとリクルートスーツ姿で畦道を歩いている。田んぼの中で動き回る小動物の様子を前かがみになって覗き込んでいる。すると沙也加の方に絵里子のおしりが必然的に突き出て見えた。絵里子は最近買ったばかりのチャコールグレーのリクルートスーツだったが、立て続けに面接などでスーツを酷使したうえにクリーニングに出す暇もなかったのかタイトスカートには座り皺が目立つ。沙也加はクリーニングをしたばかりらしく綺麗に整っていた。二人はリクルートスーツ姿で「いけない遊び」をすることを申し合わせていたのであった。

 絵里子は
沙也加と一緒にここに来るのは小学生の時以来だった。あれから10年以上の年月が経っているのだろうが、今の二人にとって何一つ過去を振り返る必要などなかった。後先を考える必要もない。
 いまこの瞬間が永遠に続いてほしいと思った。蝉の声やトンボが気持ちよく飛び回る様子、田んぼの土の匂い、ぬかるんだ畦道、周囲の田園の風景・・・この自然がすべてなのだ。その中で二人は、いやヒトというものは生きているのだ。これから二人の身体は束の間の水遊びの後、その田んぼの泥と同化することになっていた。

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 「水かけ遊び始めようか!」
 絵里子が掛け声をかけると、まずは自分が田んぼの中に入り用水が流れ込むあたりに向かった。そして、手で水を掬って沙也加に向かってパシャパシャとかけた。すぐさま沙也加は応戦する。準備よく水鉄砲を持参していたので絵里子よりも効率よく水をかけることができる為、絵里子のリクルートスーツはみるみるうちにずぶ濡れになっていった。チャコールグレーのスーツの濡れた部分が黒く変色していく。
 勢いよく顔に水がかかりそうになると思わずそれを避けるように後ろを向く。絵里子はなすすべを失う。沙也加は絵里子のおしりや背中をめがけて水鉄砲で濡らしていく。圧倒的な差で沙也加が水かけ合戦を制する。
 「ついでに泥の掛け合いもやろうか?」
 と沙也加が誘導する。
 世界の秩序が戦勝国の論理で形造られているように、この場は水かけ合戦を制した沙也加のペースでことが進んでいく。
 「え~・・・まぁ、いいか。」
 絵里子はおどけて嫌な表情をしてみせるが、待ってましたとばかりに心の中で小躍りした。ここに来る前から二人はこういう展開になることは織り込み済みであった。つまり二人はリクルートスーツ姿のまま泥だらけになる為にここに来たのであった。

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 泥かけ合戦では勝利したいと思ったのか絵里子がいちはやく沙也加のスーツに向かって泥をかけていくがうまく泥をかけられないでいる。すきを作ったら勝負は負けるものだ。
 今度は沙也加のターンとなり、絵里子のリクルートスーツのスカートに向かって茶色の泥を次々とかけていく。下から徐々に上の方にかけていこうとすると顔に掛かりそうになり、またもや絵里子は後ろを向いてしまう。こうなっては沙也加の思うつぼである。勢いよくジャケットの背中やスカートのおりし部分へと泥をかけていく。
 あっという間に絵里子のリクルートスーツは前後共に泥だらけになってしまった。泥かけ合戦の勝敗も早くも見えてきた。沙也加のペースで「泥かけ遊び」が進んでいく。

 絵里子は田んぼの中に仰向けに寝かされて、まだ汚れていない部分のスカートやジャケットに泥をまんべんなくかけられていく。同じようにうつぶせの状態でも泥をかけられていく。
 絵里子は泥で覆われたリクルートスーツ姿で田んぼのど真ん中で座り込んで放心状態である。沙也加に向かって泥をかけるが力無い。戦闘能力を失っているのか?・・・否、少女時代に二人で泥んこ遊びをした時の感覚が蘇ってきて、泥の感触を身体で感じながら陶酔(とうすい)していたのだ。

 しばらくすると絵里子は立ち上がってジャケットを脱いだ。絵里子は心のエンジンをフルスロットルにしてブラウスにも泥を塗りたくっていく。二人の泥んこ遊びはまだまだ終わりそうにない。これから第二幕が始まるのであった・・・。

 (作・ジュテーム家康)

2022年1月17日 (月)

会社の制服でも泥んこ遊び…ストーリー公開

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 絵里子は希望の会社から内定をもらっていた。
 1ヶ月ほど経過し、その後、転職者ということもあり早くも制服が支給されて新人研修が行われていた。新卒ではないので研修の内容がハードで、覚えることも多く、毎日が忙しかった。泥んこ遊びに目覚めていた絵里子は、もう着る事は無いであろうリクルートスーツでまた泥んこ遊びをしようと計画していた。しかし、新天地での仕事が想像以上に大変で、疲れて帰宅しては風呂に入ってそのまま寝てしまうという会社と自宅の往復だけで終わってしまう日々を送っていた。そんな絵里子に泥んこ遊びを実行する余裕などなかった。

 ある土曜日の朝、条件反射的に出社時と同じように朝早くに目覚めた。しかし、今日は会社が休みであることに気が付いた。
 体勢を起こすと目の前の壁にはいつも着ている会社の制服が目に入ってきた。クリーニングするために昨日会社から持ち帰ったものだった。突然、絵里子の心の中でせめぎあいが始まった。
 (「・・・あれはダメだよ!」)
 と、心の中で顕在意識の自分の声が聞こえてきた。
 (「・・・月曜からは替えの制服を着るから大丈夫だよ・・・なんとかなるよ!」)
 と、今度は潜在意識が「悪魔の声」をささやく。いや、今の絵里子にとっては「悪魔の声」などではなく、「天使の声」であり、ここ最近の単調な生活によるストレスを発散させることへ導いてくれる希望の声でもあった。あたかもその天使が、絵里子に羽根を授けたかのように、気が付くと絵里子は宙に浮かぶような気分になり、いつのまにか会社の制服に着替えていた。何かの力によってあの場所へといざなわれていた。
 鏡で自分の姿を確認すると、制服は2週間ほどクリーニングに出していなかったこともあり、スカートにはかなり深い座りジワが横に4,5本できていた。営業職として外回りに配属されるまでの研修期間中は、ほとんどがデスクワークとなっていた。座りジワの状態がデスクワークが長時間にわたる過酷なものであることを物語っていた。ベストはいたって普通の綺麗な状態だ。ブラウスはさすがに会社のものをつかうことはできないので、就職活動中に着用した数枚の中から最も状態が悪いやつを選んだ。というのも、白のブラウスが泥んこ遊びによってどのような運命をたどるのかを経験的に知っていたからだ。

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 絵里子はこの前のように着替えやタオルを忘れずにカバンの中に詰めたことを確認すると、自宅を出た。通勤時はいつもスーツ姿なので、会社の制服で屋外に出るのは今日が初めてであった。不思議で新鮮な気分であった。
 これから始める泥んこ遊びに想いを馳せると自然と心臓の鼓動が早くなっていくのを感じた。自宅から歩いて数分のところに「あの場所」は存在する。田んぼまで歩いていく間、自分の制服をまじまじと眺める。

 すぐに「あの場所」へと到着した。この前と同じように田んぼには水が張られているがその下には泥が絵里子を待っている。絵里子は躊躇なく会社の制服のまま田んぼの中に足を踏み入れる。真夏だというのに水が冷たい。用水路から冷水が間断なく補充されているからであった。
 まずは、しゃがみこみスカートを泥の中に埋めては、泥を塗りたくっていく。そして泥だらけの手は上半身へといざなわれ、制服のベストやブラウスを泥で汚していく。田んぼの中の泥は生温かく気持ちよい。泥の感触・匂いが、リクルートスーツのままここで泥だらけになったこの前の感覚をよみがえらせる。

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 この前と同じように、制服のままうつ伏せになったり仰向けになって制服を泥で覆っていく。スカートもベストも前後泥だらけだ。絵里子は、背中やおしりの部分の汚れを自分では確認することができないが、生温かい感覚が肌で感じられ、泥で真っ黒に汚れているであろうことが容易に想像できた。
 スカートやベストの汚れ具合を自分で観察する。これではクリーニングに出してもさすがに二度と会社で着る事ができないレベルだと感じた。しかし、絵里子には「そんなの関係ない」。今、この瞬間を楽しむことが大事に思え刹那的な気分が絵里子の心を支配した。

 気持ちが昂るとベストを無造作に脱ぎすてた。ベストに守られていた部分のブラウスはまだ真っ白だった。そこを絵里子は泥で汚していくことに執着した。綺麗な部分は隈なく泥だらけにしたいのであった。
 そして、またうつ伏せになったり仰向けになりブラウスの白い部分を何かにとりつかれたかのように泥で汚していく。後戻りできない程に制服を汚していくという背徳感は、快感へと昇華され消え失せた。
 先ほどまで綺麗だった会社の制服は泥で覆われていて、もともと何色だったのか、ベストがどのような柄だったのか分からない。しかし、そのことが逆に絵里子を満足させ、最高のストレス発散となっているようだ。絵里子の泥んこ遊びはまだまだ続くのであった。

(作・ジュテーム家康)
 

2021年12月29日 (水)

友達と一緒に泥んこ遊び・・・ストーリー公開

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 絵里子は今年の春と初夏に二度もリクルートスーツを泥だらけにして台無しにしてしまった。一度目は面接帰りに大学所有の休耕田にボールが落ちたのをたまたま目撃し、下級生の女子マネージャーの代わりに責任感からリクルートスーツのまま田んぼに入った時であった。
 二度目は野球部恒例のイベントで、就職活動組の中で最も早く内定を勝ち取ったということでちょと手荒い祝福を受けた時であった。その時、同級生で内定を部内で絵里子に次ぎ二番目に勝ち取った沙也加は、絵里子がリクルートスーツのまま泥だらけになっていく様子を羨ましそうに眺めていたのであった。しかし、絵里子に先を越されてしまったため彼女はリクルートスーツのまま泥だらけになるという願望を叶えることができず残念に思っていた・・・。

 あの恒例イベントからほどなく、沙也加は絵里子に言った。
 「今度一緒にあの田んぼで泥んこ遊びしてくれない?」
 「(!)えっ?何で?」
 「隠さなくてもいいよ絵里子。この前、あのイベントでリクルートスーツのまま泥だらけになった時、楽しそうだったよね。私ね本当は絵里子のようにリクルートスーツのまま泥だらけになりたかったの。でも絵里子が部内で一番に内定もらったから・・・。」
 「あの・・・私ね・・・」
 沙也加は絵里子の言葉をさえぎった。
 「絵里子さ、あの時、嫌がっているようなこと言ったり、みんなに嫌そうな顔してたけど、あれって演技でしょ?本当は嬉しかったんでしょ?私には分かるの・・・。私も服のまま泥だらけになって遊ぶの好きだから。高校時代からなの。終業式のあととか高校のセーラー服を着て泥だらけになって遊んだり、時々、お気に入りのお出かけコーデでそれを泥だらけにしちゃったことも何度もあるのよ。」
 「・・・。」
 「何も言わなくていいの。周りくどいことは言わないわ。今度の日曜日、お互いお気に入りの服を着てあそこで遊ぼうよ!もうすぐ時期的に涼しくなっちゃうから今しかないよ!」
 絵里子は少しの間をおいて沙也加の誘いを快諾し頷いた。

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 絵里子は自分の心の中を完全に読み取られていたという驚きよりも、自分と同じように服のまま泥だらけになることに喜び感じ理解してくれる人間がいて、しかも泥んこ遊びに自分を誘ってくれるということに感激していた・・・。
 日曜日まであと数日しかない。絵里子はどんな服で遊ぼうか考えることが楽しかった。リクルートスーツではなく、今度はお気に入りの私服、泥だらけになったらもう着れなくなるような服で遊ぼうともくろんでいた。

 当日、絵里子と沙也加は二人で仲良く例の田んぼへと向かった。絵里子は白い長袖のトップスにベージュの薄手の膝丈プリーツスカートで腰にベルト代わりにリボンを巻いていている。沙也加は淡いピンクのブラウスに白のロング丈フレアスカートだった。二人ともこれから泥んこ遊びをする服装とは思えない。
 二人は、どっちがいっぱい泥で服を汚せるかを競うことにした。なんともシュールな遊びである。第三者に理解されなくても、二人の中では確固たる「楽しい遊び」として成立するのであった。

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 「さあ、はじめようかぁ~!」
 絵里子が掛け声をかけると沙也加と共に泥田の中に足を踏み入れていった。
 そして、二人で手で押しあってどちらが先に泥の中に転んでしまうのかをキャーキャー言いながら楽しんだ。二人とも早く泥に包まれたい気持であったが、すぐに泥に身体をあづけてしまっては芸がない。ただ汚れました・・・ではなくて、それまでの過程も楽しいというのが二人の共通認識であった。

 沙也加がひときわ強く絵里子の肩を前から押すと、本番開始といわんばかりに仰向けに豪快に倒れた。泥しぶきがあがり、沙也加の薄手の白のロングスカートを泥ハネで汚してしまった。裾は既に汚れていたが、これで洗濯しても染みが落ちないレベルにまで先ほどまで純白で綺麗だった白のスカートが泥だらけになった。
 もちろん、絵里子のスカートとトップスはもっと泥だらけである。仰向けで倒れたため、後ろ部分はスカートもトップスも泥だらけである。立ち上がると沙也加をしかえしに突き倒そうと勢いよく押すが返り討ちに合い、再び泥の中に倒れ込む。今度はわざと体をひねらせてうつ伏せに倒れてみた。絵里子だけが泥だらけになって楽しんでいる様子にしびれをきらした沙也加は、絵里子のそばに一緒になって倒れ込み泥の感触を身体で感じた。
 絵里子は一気にギアを上げていく。泥をすくいあげると胸に塗り手繰っていく。そしてうつ伏せになったり、寝返りをうちながら清楚な服は泥で覆われていく。もう二度と着れない状態になってしまうが、絶対に汚してはいけないような服を泥だらけにしてしまうという代償を払うからこそ得られる快感が絵里子たちにはある。

 ・・・・泥の掛け合いや、匍匐前進の競争などを二人で無邪気に遊んでいると、先ほどまで真上にあったはずの太陽が、遠くの山々の頂上に隠れようとしていた。
 晩夏なので日が暮れると一気に涼しくなる。二人は急いで帰り支度にとりかかる。着替える前に、まずは服や体にべっとり付いた泥を洗い流さなくてはならない。田んぼ脇の用水路の水を二人で掛け合いながら泥を汚していく。当然、泥染みとなって汚れは完全には落ちないが、目立った泥の塊などをある程度落とした。
 二人はお気に入りの服を泥だらけにして二度と着れない状態にしてしまったという代償とひきかえに、今日の出来事に満足していた。さっきまでの泥の感触を思い出しながら陶酔していた。
 「また来年だね・・・。」
 と絵里子はつぶやく。
 「うん、また来年!私達、社会人になってるけど、たまに後輩たちの顔を見にくるついでにここで遊んでも文句言われないよね?(笑)」
 「(笑)」

 心地良い風が二人の濡れた髪を揺らし、いっきに涼しさを感じ始めた。今日という日は二人にとってけっして忘れることのない大学時代の良き思い出となり醸成されていくこととになる・・・。(完)

 (作・ジュテーム家康)

2021年11月26日 (金)

就活帰りに泥んこ遊び…ストーリー公開

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 田園風景、土の匂い、虫たちの合唱など、視覚や嗅覚、聴覚を刺激した。
 絵里子は、幼稚園のときから小学校高学年の頃まで近所の友達と田んぼで泥んこ遊びをしてスカートやシャツを泥だらけにして何度も親に叱られた経験がある。泥んこ遊びをすると不思議と心が安らいだのであった。友達と泥の掛け合いなどもした。

 絵里子は今は二十歳を過ぎ就職活動や大学の授業、アルバイトなどで忙しい毎日を送っている。それでも、絵里子は誰かに泥んこ遊びをしようと誘われたら喜んで行くだろう。
 しかし、大人となった今、誰もそのような遊びに誘ってくることはしないし、絵里子が誘っても参加してくれる人はいないだろう。「かくれんぼう」や「缶蹴り」などをして遊ぼうと誘っても参加してくれないのと同じだろう。

 いや、そんなことはない、きっかけさえあれば「大人」だって遊びやゲームに参加したいのだ。現にガタリンピックやマッドランで泥だらけになるイベントもあるし、サバイバルゲームといった手の込んだちょっとだけ危険な「大人」の遊びもある・・・と絵里子は思った。

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 続けて絵里子は考えた・・・なんで、大人になると昔したような遊びをしなくなるのだろう・・・。子供じみていて人にみられたら恥ずかしいし、単純で原始的な遊びにはカードゲームのような知的さを感じない、そしてなんといっても、日々の仕事やら何やらで忙しく時間的に遊ぶ暇がないからだろう・・・。さらには、昔よく遊んだ友達たちもそれぞれ今となっては遠くに行ってしまっているので、昔一緒に遊んだ仲間の共同体自体が喪失していて、そう簡単に一堂に会することができないからだろう。もちろん、時間的、物理的問題が解決されたとしても、「恥ずかしい」「単純すぎる」といった理由で地方に住む友人がわざわざ飛行機や電車を使って何時間もかけて「かくれんぼう」や「泥んこ遊び」をしに来るとは考えにくい・・・。
 しかし、「ガタリンピック」や「アスレチック」や「テーマパーク」といった何か「仕掛け」があれば話は別なのである。

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 絵里子は、小さい時に友達たちと遊んだように、何も考えずにただ泥だらけになっていく「泥んこ遊び」をしたいという感情が湧き上がってきた。
 難しいことは考えずに嫌なことは一旦脇に置き、楽しい時間を過ごすことができるだろうと思った。
 昔・・・少女時代、服を泥だらけにして後で母親に叱られるのは分かっていたのだが、だからこそ「あの瞬間」の楽しさを満喫できたのであった。
 「あの瞬間」の前後の出来事は「あの瞬間」を経験しなかったとしたら、きっと嫌でストレスをもっと抱え込むことになっていただろうと思い返した。絵里子にとって、あの時に友達たちと泥んこ遊びしたことはストレス解消、癒しの体験であったのだ。

 
 あたり一帯に田園風景が広がっている。目の前には懐かしの田んぼがある。泥んこ遊びをしていた当時は田植えも行われていたので代掻きをおこなうまでしか遊べなかった。しかし、数年前からこの田んぼでは稲作はしなくなり、休耕田として一般に開放されているのでいつでも遊べるようになっていた。
 
 絵里子は濃紺のリクルートスーツ姿であった。就職活動真っ只中であったが、このスーツはだいぶ着込んだため、最近新しいリクルートスーツを買ったのであった。だから、この濃紺リクルートスーツはもう着ないつもりでいる。
 なにかすがすがしい気分であった。童心に戻って、これから一人泥んこ遊びをする前の心境・・・それもリクルートスーツのまま・・・畦道を歩きながら少女時代の懐かしい記憶がまざまざと蘇ってきた。
 田んぼの中に足を踏み入れて懐かしい泥の感触を足裏で感じる。そして、田んぼの中でしゃがみ込んで泥をすくっては身体やスーツに泥を塗り手繰っていく。
 「あの時」と同じように仰向けになって青空を眺めながら泥の感触を身体全体で感じてみた。あの青空に広がる無限の世界に想いを馳せると、自分が抱え込んでいる問題などちっぽけなものだと感じた・・・。
 絵里子は全てを忘れて少女時代の「あの時」の世界にいる。そして、もう二度と着る事は無いであろうリクルートスーツ姿で泥と戯れるのであった。

 (作・ジュテーム家康)

2021年10月31日 (日)

泥まみれの喜び…ストーリー公開

「泥沼の突破口」の続きです

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 田んぼに飛び込んだ絵里子は狂喜の様相だった。
 リクルートスーツは見るも無残な状態だが今の絵里子はお構いなしであった。何か月も執筆が思うように進まなかった憤懣やストレスの捌け口にするかの如く、絵里子の狂喜は加速していく。  

 泥の中に寝転がり、転がりながらジャケット、タイトスカートが泥に塗れていく。手で泥を掬い上げ、ジャケット、タイトスカートに塗りたくっていく。  
 たっぷりと泥に塗れた絵里子は、膝立ちになるとジャケットを脱ぎ捨てた。中からは前側こそ泥に塗れたものの、腕や背面は泥の洗礼を逃れた純白のワイシャツが姿を現した。次の獲物を見つけた絵里子は楽しそうであった。
 手始めに泥の中に座り込んで泥を掬い上げ腕や胸元にかけていく。せっかく無事であったワイシャツもたちまち泥に塗れていく。ジャケットを脱いだことで泥の感触をよりダイレクトに感じられるが、今の絵里子には少々物足りなかった。

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 「(もっと泥を味わいたい・・・)」
 その気持ちに突き動かされた絵里子はその場でゆっくりとうつ伏せになった。体の前面が泥に包まれ、それでも物足りない絵里子は寝返りを打つようにゴロゴロと転がった。
 狂喜の泥遊びの中、唯一被害の及んでいなかったワイシャツの背面も泥に塗れた。黒が映えていたはずのタイトスカートには泥がべっとりと付着し元の色がわからない状態であった。
 新品同様だった純白のワイシャツは襟元のわずかな部分を残し全面泥まみれである。もはやリクルートスーツの面影はどこにもない。通行人が見たら何事かと驚くようなありさまだった。  

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 しかし、どこか物足りない絵里子は最後の記念にと泥の中にうつ伏せになり、泥を体に絡ませるようにゆっくりと匍匐前進を始めた。
 両腕を片口まで泥に沈め、動くたびにタイトスカートに泥が流れ込み、ワイシャツはダメ押しの泥の洗礼を受ける。全身に泥の感触を味わった絵里子はご満悦であった。  

 心身ともに最高の気分を堪能した絵里子は立ち上がった。
 脱ぎ捨てたジャケットと原稿を拾い帰路についた。見るも無残な姿であったが反面、絵里子の足取りは自信に満ち溢れていた。

 (作:ロイ)