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2009年8月10日 (月)

教育実習生(2)・・・実習初日【午前編】

 日差しの眩しさに自然と目が覚めた。今何時だろうかと7時にセットした目覚まし時計に目をやった。30分後にけたたましいアラーム音がなるはずであったが、今はその必要がなくなったためアラームを解除した。
 絵里子はしばらくベットに仰向けで寝ころんでいる。しばらくすると、昨晩、ハンガーにかけた両親からプレゼントされたグレーのスーツが目に入った。すると、体中に緊張が走り、鼓動が早くなるのを感じた。念願の教師への第一歩・・・といってもまだ実習生の身であるが、確実に踏んでいくべきステップである実習初日の朝、身が引き締まる思いでいる。

 予定の起床時間よりも多少早いがベットから体を起こし、身支度を始める。シャワーを浴び、髪の手入れや化粧などを余裕を持って済ませた。教育実習初日ということで多少緊張があったのだろうか、お腹はそれほどすいていなかったので朝食を軽く済ませると、自分の部屋に行き、うきうきしながら両親からプレゼントされたおろし立てのグレーのスーツに身を包んだ。
 昨晩着たときとは違った感覚である。鏡を見ながらブラウスの襟元やスーツを整えると、いよいよ出発だ。学校に着いたら着替える黒のスーツの入ったスーツケース、お弁当や実習資料などがはいったカバンを持ち、両親と妹に見送られながら家を出た。

 ・・・ふと何か忘れ物をしているような気がした。しかし、何なのかを思い出せない・・・。

 絵里子はおろし立てのスーツ姿で、まるで大学に入学した時のような新鮮な気分に浸っていた。久しぶりの地元の朝だ。懐かしい風景を眺めながらゆっくりと歩いていく。
 途中、小さい時に、よく妹や近所の友達たちと遊んだ公園がなくなって、
更地となっていることに気がついた。幼稚園のころなど砂場で遊んだり、花壇の土で泥団子をつくったり、泥あそびをした。そして、妹とお揃いのワンピースやスカートを汚しては母親に叱られたものだ。
 無邪気に何も考えず、ただ遊んで毎日を過ごしていたあの頃。公園の噴水で水遊びしてびしょ濡れになったり、花壇の土で泥だらけになったりすることがごく自然な遊びの一つであった。子供ながらに楽しく、また気持ちよくもあった・・・。そんな事が記憶に甦ってきた・・・。
 その思いでの公園も、今は更地で土だけがむき出しになっている・・・。

 懐かしさと残念な思いに浸りながらも、あっという間に学校に到着した。絵里子はすぐにスイッチを入れ替え、更衣室の
ロッカールームに向かってグレーのスーツから黒のスーツに着替えた。グレーのスーツと予備に持ってきたブラウス2枚はロッカーの中にしまった。この黒のスーツも昨日の懇親会の時におろしたばかりで、まだ新品そのもので袖を通すとスーツの新鮮な生地のにおいが漂ってくる。

 着替え終わると、実習中お世話になる担当教師の所に挨拶に行くと、他の実習生たちもスーツ姿で既に集合していた。昨日の懇親会の時の印象通り絵里子の担当となる先生は、見るからに厳しそうな保健体育の中年男性である。
 当然、彼女の専門は英語科なので授業指導は別の先生からうけるのだが、受け持ちのクラスの担任がこの男性教諭ということなのだ。それ故、毎日、ホームルームや、出欠席確認や、その他クラス単位の活動では常時一緒ということになり、そのことが彼女にとって気がかりで気持ちが晴れないでいた。
 昨日の懇親会でも、ちょっとした細かい事でも注意してきたり、融通の利かない面もあり、精神的に窮屈だと感じていた。
 職員室の窓から何気なく外を見ると、遠くの方に雨雲が見える。午後からは雨が降りそうな気配だ。山間部に位置するこの学校は天気が変わりやすい。そんな空模様が絵里子の心の中を表しているかのようだ。

 朝のホームルーム開始時間になると、実習生達は散り散りになり自分の担任教師の後についてそれぞれ受け持ちの教室へと向かった。絵里子も担任の男性教諭の指示に従って教室へと歩いていく。教室に向かう途中、男性教諭が話しかけてきた。
 「着替えは持ってきてますよね?」
 「はい?・・・着替えと言いますと?」
 「昨日話したとおり、今日は【抜き打ち】避難訓練ですよ。生徒達にだけは知らせずに3ヶ月に1回程度、うちの学校では行っています。地震とか火災とか、あるいはその両方とかの想定で。今日は大地震が発生して職員室横の給湯室から出火し燃え広がったという想定です。雨天決行ですから念のために着替えを持ってくるようにと言ったはずですよ!しっかりして下さいね。」
 「すみません・・・。忘れました。(しまった、忘れてた!なんてこと・・・。家を出る前に何か忘れたと感じたのは、着替えのことだったんだ・・・!)」
 「なんか、雨が降ってきそうですけど、予定通りなんですか?」
 「もちろんです。
地震や火災は、大雪の日にだって、台風の日にだって起こりえますよね。職員会議で1ヶ月程前に決めておくのですが、今日は実習生が来る初日ということで生徒達もまさか【避難訓練】があるとは思いもよらないでしょうし、絶好の機会ということで、今日に決めました。生徒とあなた達には酷かもしれませんけどね。」
 「・・・・・。」
 「ところで、着替えは本当に持ってきてないのですか?」
 「あの・・・あることはあるんですけど、もう1着の方もスーツでして・・・。」
 「そうですか・・・、それじゃ、仕方ないですよね。参加しないわけにはいきませんから、どちらかのスーツで参加するしかありませんよ。でも、生徒達はほとんどが制服かもしれませんから、我々教師達がジャージとか私服などの格好ばかりでは難なんで、あなたがスーツを着ていれば生徒達に示しがつくので良いかもしれません。」
 「そう言われましても・・・。ところで避難訓練は何時頃ですか?」
 「それも昨日伝えたはずですが、生徒と実習生にはお伝えしません。授業中か、昼食中か、掃除の時間帯か、帰り際か、それは内緒です。」

 そうこうしているうちに、教室の前にきた。教室の中は、いかにも中学生らしくがやがやと騒がしい。いよいよ受け持つクラス生徒達との対面である。
 教諭がドアをあけ、ゆっくりと後について教室に入ると、今さっきまで騒がしかった教室は水を打ったように静かになり、絵里子へと視線が注がれる。少しの間の後、何人かの男子生徒が、「かわいい!」とか「いいじゃん!」といったような言葉を発した。
 担任の教諭から促され絵里子は自己紹介をはじめる。中学生にとっては、「スーツ姿の綺麗なお姉さん」を目の前にする機会など教育実習の時以外にはあまりない事だろう。生徒達は絵里子の話に真剣に耳を傾けている。中には顔を赤らめている男子生徒もいる。女子生徒も興味をもって「お姉さん」の言動に注目していた。

 担任の先生などの配慮で、実習初日の今日は、午前の時間をまるまる、自己紹介など生徒達とのコミュニケーションをとるために時間を確保してくれていた。午前中だけでも生徒とのコミュニケーションはかなり図れた。まだ先生ではないが、「絵里子先生」と呼び始める女生徒が何人も出てきて、やはり女同士ということもありすぐにうち解け合えるようだ。
 綺麗なお姉さんに興味をもって女子生徒の輪の中に混じって、なんとか絵里子に話しかける「言葉」と「タイミング」を探している男子生徒もいる。

 午前中が終わり、昼食後はいよいよ絵里子にとっては初めての実習授業が開始される。緊張感が高まる。

 ふと、教室の外に目をやると、先ほどよりも空は暗くなっていていた。絵里子はいつ避難訓練がはじまるのかということと、雨が降らないかどうかが気になっていた。
 しかし、職員室に戻る途中、廊下の窓から外を眺めると運動場が少し濡れているように見えた。空を見上げると、ポツポツと雨が降り始めていた・・・。 
~教育実習生(3)へ続く~

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