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2009年9月17日 (木)

教育実習生(6)・・・ 着衣水泳教室【後編】

 着衣水泳教室は終わった。生徒や教師達が全員ずぶ濡れでプールサイドにいる光景は異様である。絵里子も全身びしょ濡れとなった濃紺のリクルートスーツ姿で更衣室へと向かった。
 ここ数日、絵里子はスーツ姿でびしょ濡れになりたくても、帰宅時には雨が止んでしまったりしてなかなか願望を実現できなかった為、今日は存分に着衣水泳を楽しんだ。「ウェット」がやっと実践できたことで溜まっていたストレスも解消でき満足であった。

 生徒達が着替え終わったプール内の女性用更衣室で、他の女子教習生と一緒に雑談しながら着替えはじめた。他の教習生はジャージやハーフパンツ姿からスーツへと着替えていくが、絵里子だけ濡れたリクルートスーツから、黒のスーツへと着替えていく。さすがに下着やパンストだけは着替えを持ってきており、乾いたものに替えた。

 教室に戻ると生徒達はみんな帰りのホームルームの支度をしていた。担任が連絡事項等を伝えると、帰りの号令を日直がかけた。中には部活動に参加する者、中には帰宅する者、みんなちりぢりになっていった。
 絵里子は、今日のレポート作成など教育実習の報告書を作成しなくてはならないので、職員室に行き自分の机で作業をしていた。すると、外から「ザーザー」という音が聞こえてきた。夕立だ・・・。この前の教育実習初日の出来事を思い出した。
 「もし、今日、着衣水泳教室がなければ、雨に濡れて帰れたのに・・・。」と心の中で思った。濃紺のリクルートスーツはさっきびしょ濡れになり、グレーのスーツはクリーニングだ。だから、今着ている黒のスーツで数日間ずっと過ごさなくてはならない為、さすがの絵里子も、このスーツは濡らしてはいけないと心得ていた。
 
 レポートを書き終えても雨は止んでいない。本降りだ。
 濡れた濃紺のリクルートスーツ一式が入ったビニール袋を持って玄関へ行った。カバンの中から折りたたみ傘をだして広げた。すると、校舎の玄関の脇で雨を眺めている女子生徒がいた。絵里子の担当クラスの生徒だ。
 「どうしたの?」
 「あっ、絵里子先生。・・・傘を忘れてしまって、止むのを待ってるんですけど・・・・。塾の時間に間に合わなくなっちゃう・・・どうしよう・・・。」
 女子生徒は今にも泣きだしそうであった。絵里子はそんな女子生徒を前に自分だけ傘をさして帰るわけにはいかない。

 しばらく考えたあげく、絵里子は笑顔で女生徒に自分の折りたたみ傘を差しだした。
 「はい。これ使って。」 
 「ありがとう。でも絵里子先生は?」
 「・・・私の事は心配しないでいいのよ。職員室にね、予備でもう一本折りたたみ傘があるから。あっ、早く行かないと塾に遅れちゃうわよ!」
 「あっ、はい。ありがとうございます!」
 女子生徒は絵里子にお礼を言うと、傘をさして駆け足で去っていった。

 絵里子は女子生徒を目で見送った。生徒が見えなくなると、雨の中、傘をささずに歩き出した。
 もう一本傘があるというのは嘘だった。女子生徒に余計な心配をかけないために、とっさに思いついた嘘だ。いまにも泣きそうな女子生徒を何とか助けてあげたいという思いと・・・突然心の奥底から涌きだしてきた「雨に濡れて帰りたい」という両方の思いからの行動であった。
 今着ているこの黒のスーツを濡らしてしまったら、明日着ていくスーツに困ることは明白であったが、絵里子は心から沸き上がる感情を抑えることができなかったのだ・・・。

 徐々に濡れていく黒のスーツ。教育実習が始まってこの2週間ずっと学校で着ている。ロッカーの中に置いたままで、当然クリーニングにも出していない。その為か、スーツの撥水効果はほとんど無くなっていた。
 最初のうちは雨をはじいていたが、徐々に、はじかなくなると中に雨がしみ込み始めてきた。さすがに、このスーツを着たまま長いこと雨に打たれるわけにはいかないと思い、走り始めた。走れば家までは2分もあれば十分な距離だ。

 途中、「あの場所」の前へときた。昔は公園で今は更地となっている造営中の所だ。そう、実習初日の帰りにおろし立てのグレーのスーツで泥だらけになった場所である。
 絵里子は、雨に打たれながらしばらくその場所に立ちつくしている。立ち止まっているせいもあり、雨が真上からダイレクトに降り注ぎ、髪や顔を滴り、その全てがジャケットやブラウスへと流れ込んでいく。気付くとタイトスカートもびしょ濡れになっていた。

 「(やっちゃおう・・・)」と絵里子は思った。あの日以来、一旦心の中に火がつくとどうにも止まらなくなってしまう。
 「パシャー」
 絵里子は泥の水たまりの中にハイヒールを履いたまま飛び込んだ。そして、その場で何度繰り返し飛び跳ねた。まるで子供が喜んで水たまりの中ではしゃいで遊んでいるかのように・・・。
 そして、雨の降る中、泥の水たまりの中で駆け出した。泥の水はねが飛び散るように、わざと足を後ろに強く蹴り上げながら・・・。絵里子には当然、後ろは見えなかったが、きっとタイトスカートやジャケットの後ろには泥はねがいっぱい付いているだろうことは感じていた。

 教育実習初日には、おろし立てであれほど綺麗だった黒のスーツ。しかし、今はずぶ濡れで、スーツの後ろには泥はねが飛び散っている。気のおさまるまで水たまりで遊んだ後、自宅へとゆっくり歩き始めた。
 平静を取り戻しつつあった今、絵里子は、スーツがこんなになってしまい・・・事の重大さに気付かされるのであった。 
~教育実習生(7)へ続く~

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コメント

>ココーズ さんへ
いつもストーリーお読みいただきありがとうございます。

「翌日」ですが・・・、実は既にその後のストーリーは完成しています。
自分のスーツはずぶ濡れ2着、クリーニング1着なので着ていけるものは
ありません。
どう絵里子が対処するのかは・・・第1回目のストーリーに伏線を張ってあります。(笑)

ブラウスの件ですが、第1回目・2回目のストーリー中に書いてあるのですが、絵里子はブラウスの替えを2枚、学校に置いてあります。絵里子はそのうちの一枚を着たはずです。 

いつも、このストーリーを興味深く読んでおります。
さあ、翌日から服はどうするのでしょうか?とても興味がもたれます。
ところで、素朴な疑問なんですが、この日彼女はブラウスの替えは持って来ているのでしょうか?もちろん、たとえ持って来ていなくても上着を着替えればブラウスが濡れていても目立たないでしょうし、またブラウスは濡れても乾きやすいでしょうが。
自分も小説を作る趣味がありますので、ついつい細かいところまで見てしまう失礼をお許しください。

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