リクルートスーツで川遊び…ストーリー公開
絵里子は内定を決め晴れ晴れとした気分で残りのキャンパスライフを過ごしていた。そんなある夏休み前のある日、ゼミの授業で発表があった。前期の成績を大きく左右する。絵里子以外にも数名の学生が今日の課題の発表者として教授から指名されていた。
発表者はフォーマルの恰好ということでスーツ着用が通例となっており、たいていは就職活動中で現在着用している(あるいは就活中に着用した)リクルートスーツを代用するのが一般化していた。絵里子も就活を終えしばらくクローゼットにしまってあった黒のリクルートスーツを着てゼミの課題発表に臨んだ。
ゼミの授業が終わると、絵里子同様に今日発表だった仲良しの美沙がリクルートスーツ姿で近寄ってきた。
「やっとゼミの発表も終わったし、お互い内定ももらってるし、スーツのまま川にあそびに行かない?色々水遊びグッズも持ってきたよ。」
絵里子は急な誘いに一瞬躊躇したが、就職活動をしていた時にため込んでいたストレスをまだ発散しきっていないこともあり、川遊びに行くことを快諾した。
「いいね、行こうか!」
絵里子の通う大学は地方に位置している。海、山、川と自然豊かなところである。絵里子も美沙も大学の女子寮に下宿しているでの川遊びをしてずぶ濡れになっても帰宅時にそれほど困らない。田舎とはいえ、それなりに人はいるので帰り道に多少は人目につくかもしれないが、それさえ気にならなければこれといった問題は無かった。
二人は大学の帰り道の川遊びスポットに行った。人気スポットだけあって地元の子供達や学校帰りの制服姿の女子中高生たちがずぶ濡れになって水遊びをしていた。
「楽しそうだね!」
と美沙が言うと絵里子は笑顔で言った。
「そうだね、私たちも早く仲間に入ろうか!」
絵里子は荷物を小川の岸の近くに置くと、パンプスも履いたまま、美沙と一緒にゆっくりと川の中に足を踏み入れた。想像通り川の水は冷たかったが、蒸し暑くジャケットの中のブラウスが汗でびっしょりな陽気なので気持ちよく感じた。
二人で水を掛け合ったり、しゃがんで水面にお尻を付けたり太腿くらいまで水に浸かって冷たい水でほてった身体を冷やした。
絵里子が両手で水てっぽうのように美沙に水をかけると、美沙は川の水を直接手ですくって絵里子に向かって応戦した。すると、絵里子は美沙が持ってきていた小道具の一つである折り畳み式バケツを使って大量の水を美沙にかけた。美沙はあっという間にずぶ濡れになった。綺麗な清流の水を浴びて癒されながら二人は水遊びに興じた。
二人ともリクルートスーツは既にびしょ濡れである。川から上がって川岸にあったポンプ式の井戸水で砂利の入ってしまったパンプスを洗い始めた。
すると、美沙が唐突にいたずらっぽく笑いながら言った。
「えりちゃん、ここに座って」
絵里子は言われるがままに従った。美沙がポンプを上下に移動させると冷水が勢いよく絵里子のリクルートスーツに飛び出した。
「キャー、冷たい!」
と言いながらも絵里子は楽しそうにはしゃいでいる。そんなことを繰り返しながらのどかな小川で二人は満足いくまで水の掛け合いをしながら時間を忘れた。(完)
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