最終面接で着衣入浴…ストーリー公開
絵里子は、バスルームリフォーム会社の面接や適性試験を順調にクリアしていき、とうとう最終選考まで到達した。今日はその最終面接の日であった。
最終面接には先日購入したばかりのチャコールグレーのスーツをリクルートスーツとして着て臨むことにした。社会人になっても通勤着として着る事ができるようにと黒ではなくチャコールにしたのであった。
この会社の一次面接の際に絵里子は、黒のリクルートスーツで着衣入浴をしながらレポートするという奇異な選考を経験している。初めての着衣入浴を心から楽しみながらバスタイムの新たな提案を面接官にしたのであった。
そのことが面接官の印象を良くし、さらには人事部の上層部にまで絵里子の振る舞いと提案が伝わったのだろうか、今日の最終面接で面接官を務める役員クラスであろう人物は絵里子に向かってこう告げた。
「一次面接の実践着衣入浴を交えた選考から先日の三次面接まで実に見事な成績でここまでこられました。弊社が欲する新入社員像の輝かしい手本ともいえます!あなたはもう内定はほぼ決まっているといっても過言ではありません。一次面接であなたが実践した着衣入浴を今着ているリクルートスーツのままもう一度披露してほしいのです。もちろん実践していただいた場合は、その度胸をかって内定確約いたします!他の最終面接参加者にも同様のオファーを出しております。1分時間を差し上げますので決断してください。」
絵里子は呆然としていた。
今日は着替えを持ってくるように事前にアナウンスがなかったので、絵里子は着替えを持ってきてはいない。もし、着衣入浴を実践すれば、言うまでもなくずぶ濡れのリクルートスーツで帰宅するという事になる。
「(このスーツ・・・朝はじめて袖を通したばかりの新品なのに・・・このまま入浴したら・・・・・)」
この試練に耐えられるかがこの会社が最終面接参加者に課す肝であった。もちろん着衣入浴をせずに、口頭諮問だけで最終面接を終えることも可能との説明もあった。しかし、その場合は、口頭試問の結果のみを得点化して合否を決めることになるらしい。着衣入浴を実践すれば即内定、辞退すれば、辞退した者達の中で口頭試問上位者だけが内定ということだ。
面接官が説明を付け加えた。
「毎年8~9割くらいの最終面接出席者が、この抜き打ち着衣入浴を辞退します。しかし、内定者の数は決まっておりますので、辞退者の中から内定者は、ほんの数名となることが推測できます・・・。逆に勇気を出して着衣入浴を実践して即内定を獲得する出席者も数名です。」
絵里子は自分の着ている新品のチャコールグレーのリクルートスーツに目を落とした。スカートにもジャケットにも当然とはいえ皺ひとつなく綺麗な状態であった。
新品のスーツ一式のまま、いきなりずぶ濡れになることに若干の抵抗があるものの、一次面接で着衣入浴を体験した時の「あの感覚」を思い出した。面接官に着衣入浴の素晴らしさや楽しさを感じるままに伝えたあの時の自分の言葉に責任を持たなくてはならないとも感じ始めた。心は決まった。早く決着をつけると同時に気持ち良い「あの感覚」に早くいざなわれたいと思った。
「さて、そろそろ1分経ちますが、どうしますか?」
「今日内定をいただきます!」
絵里子は力強い言葉で応えた。
面接官は絵里子の言葉を予想していたかのように表情を変えずに、拍手しながら言った。
「その勇気ある決断、やはりあなたは本物です!では早速始めましょう。」
「(本物って何?)」
と絵里子は心の中で思ったが、深く詮索せずに面接官の指示に従った。
一次面接のときと同じ露天風呂へと案内された。バスタブには既にお湯がなみなみと満たされていた。
「お湯が熱めなので、まずはシャワーで慣れてからにしましょうか。」
面接官はそう告げると絵里子を浴室内に設けられている椅子に座らせて、スカートにめがけてシャワーをかけていく。ある程度スーツが濡れたところで面接官はバスタブの方へと促す。絵里子は、リクルートスーツ姿でパンプスも履いたままバスタブの中に入っていった。桶でお湯をすくって身体にかけたり、肩までバスタブに浸かったりして、普段自宅で裸で入浴する時と同じようにふるまいながら着衣入浴を楽しんだ。
タイトスカートをどっぷりとバスタブに浸けた瞬間、ずぶぬれで帰宅しなくてはならないことがふと頭をよぎり気になっていたが、いつしか・・・この前と同じ「あの感覚」が蘇ってきた。絵里子が自分だけの世界に没入しトランス状態に陥っていることを面接官は確認すると、シャワーを絵里子に向けて頭からかけていく。大雨の中、傘もささずにたたずんでいるかのように髪の毛は瞬く間に濡れていき、長い黒髪の毛先から水滴が勢いよく落ちている姿が美しい。
絵里子は、しばらくすると身体があつくなってきたと感じたのか、ジャケットをゆっくり脱いだ。そしてブラウスとタイトスカート姿になると、ブラウス越しにブラジャーがうっすら透けて見える。しかし、絵里子はそのことをまったく気にしていない。
そして、再びどっぷりとバスタブに浸かってみる。内定を確実にしている今となっては面接官に対するサービスともいえるセクシーポーズなど必要ない。しかし、仰向けになったり、うつ伏せになったり、四つん這いになったり、立ち上がって頭から桶ですくったお湯を浴びた。絵里子は自分だけの世界に入り込んでいた。面接官は絵里子が体現している着衣入浴の世界に圧倒され黙ってただ観察していた。
浴室内の壁にかかっているクロックの針は既に最終面接の終了予定時刻を過ぎていたが、絵里子はもちろんのこと、面接官も気づいていない・・・。(完)
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