講義後のひととき…ストーリー公開
母校の中学で教育実習中である絵里子は、あと1週間ほどで大学に戻ることになっている。約1ヶ月に及んだ教育実習も佳境に差し掛かっていた。
例年とは異なる社会環境故に色々と実習の仕方なども通常とは違い大変だった半面、「着衣入浴」というものを初めて体験したことをきっかけに、楽しみの一つを獲得することができたと感じていた。実習では当然の事、生徒指導のスキルや授業のテクニックも磨くことが第一義的なことであり、実際、そのことにも励んだのであるが、絵里子にとっては何といっても「着衣入浴」というものを知ることができたのが一番の収穫だったのだ。
教育実習生は当然、ベテラン女性教師のようにおしゃれなコーディネイトの服装はできない。おしゃれをする場ではなく、教育実習の場であり、ベテラン教師から色々と教わる場であるわけだから、当然のことながらスーツ着用である。一般企業の就職活動とはことなるので、スーツであれば色やデザインはある程度各々の裁量に任されていたので、黒のリクルートスーツを着る日もあるが、白やベージュ、ライトグレーなどのスーツを着て気分転換も兼ねて可能な限りのおしゃれで個性を表現しようとしていた。とはいえ、相手が思春期の中学生と言うこともあり、あまり大胆なデザイン、極彩色のスーツは控えることとなった。必然的にオーソドックスなデザインと色合いのスーツを着用することとなる。
絵里子は、今日は朝から午後まで昼休憩をはさんで4つの授業が控えていた。4連続の授業は教育実習中でも初の経験であったので多少の緊張があった。そして、今日は黒のリクルートスーツではなく、ライトグレーのスーツを着用して実習に臨んだ。
朝から夕方近くまで、休憩以外はずっと立ち通しで声を張り上げて講義をおこなっていたせいもあり、これまで経験したことのない疲労感に襲われた。男子生徒からの興味本位のくだらない質問への対応や、若い女子教師に対してはありがちな、からかいじみた行為への対応などもあり今日だけでもストレスがかなりたまったように感じていた。
最終講義の後に日報をつけると、書類を整理し指導を受けている男性教師との教務ミーティングがあった。それを終えると、急いで帰り支度を始めた。そして、今日は他の実習生たちとの女子会を疲労が激しいということを口実に断り、一人で「ある場所」に向かった。
もう少しで黄昏時をむかえようとしていたので、絵里子は足早に例の場所に向かった。そこは、何度も「着衣入浴」をするためだけに行った施設であった。今日はそこの露天風呂に入ろうと考えていた。朝からの4連続授業の後の疲れを吹き飛ばそうと、昨日から密かに考えていたことであった。
バックの中を覗き、着替えの下着のセットと薄手の水色ワンピースが入っていることを確認した。着替えといってもそれだけだったので、いつものバックはそれほどかさばってはいなかった。施設に着くと、今着用しているライトグレーのスーツのまま着衣入浴を始める。
一人しかいないのに、先日リモートでおこなった「着衣入浴レポート」のように、一人で何やら語りながらスーツを少しずつ濡らしていく。勢いよくジャグジーからお湯を出し、しばらくしたらバスタブの足場にお尻を付いて座ってみた。すると、ちょうど膝の位置までお湯が浸っていた。スカートのおしりはもうずぶ濡れであるが、スカートの前面はまだ濡れていない。しかし、水面ぎりぎりまでお湯が迫っていてもう少しでスカートが水没しそうになる。
絵里子は成り行き任せにするまいと、自分に向かってお湯をバシャバシャとかけて濡らしてみた。するとスカートもジャケットもかなり水がかかり、濡れた箇所がライトグレーから黒っぽく変色していった。その様子を自分で観察しながら、スーツが濡れていくことを楽しんだ。そして、お尻を浴槽の底につけてみると、いっきに肩までお湯の中に身体が浸ってしまった。温かいお湯に守られている感覚はなんともいえないほど気持ちよかった。
小一時間前までは、母校の生徒たちの前で・・・このスーツを着て授業をしていた自分の姿をゆっくりと思い出し、その姿と今の状態のギャップ、身体が受けている感覚の差異を一人堪能していた。
ジャケットを着たまま入浴していると、当然ではあるが暑くなってきた。それもそのはず、黄昏時とはいえ真夏なので露天風呂の外気温まだ高い、その状態での着衣入浴だから絵里子の体感温度はかなりのものに違いなかった。ジャケットを脱いでブラウス姿になると意外にも丁度よくなった。ここには誰もいないはずなのに、ブラウス越しに透けて見える下着を確認すると思わず条件反射的に胸を両手でおさえてしまう。
そんな自分のしぐさに思わず笑ってしまう絵里子であった。しばらく入浴していると、今日の講義実習の疲れもいつのまにか忘れてしまっていた。実のところ、この着衣入浴によって絵里子は快楽に身を任せていた。ドーパミン、エンドルフィン、セロトニンなどの物質が絵里子の脳内に分泌されていた。
陶酔感に浸りながら、絵里子は着衣入浴を心行くまで楽しもうとしているのであった・・・。
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