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2020年9月25日 (金)

ずぶ濡れキックボクシング…ストーリー公開

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 絵里子はタイへの短期留学の際に、ムエタイ女子のスパーリングを観戦した時、すぐにその魅力にはまり、自分もやってみたいと思ったのであった。
 絵里子は、タイでのそこそこ名の知れたムエタイ女子に、レッスンを受けた。一見、キックボクシングのように見えるが、ルールも構えも異なるということだった。しかし、絵里子は日本に戻ってからキックボクシングを本格的に始めようと思い、まずは、ベースとなる部分は同じなので本場のムエタイを学ぼうと思ったのであった。

 日本に戻ってきてからというもの、アスリート女子である絵里子は今まで真剣にやっていたヨガに加えて、キックボクシングもジムで習い始めた。そして、ジムのない日は、ヨガスタジオの方に行き、屋上で涼しい風と日光を浴びながら一人でキックボクシングの練習をする日もあった。
 練習の甲斐もあり、構えの姿勢も様になってきた。ヨガ道場のインストラクターも昔、ボクシングをやっていたこともあり、時々スパーリングの相手になってくれた。

 絵里子は、短期留学前にすでに第一志望の企業から内定をもらっていたので、就職活動は終えている。しかし、今日は、内定先の会社のオリエンテーションだった。内定式も終え、新入社員同士の親睦を図るというイベントだ。当然、参加者はリクルートスーツ姿だ。絵里子も内定を決めた最終面接で着ていた縁起のいい黒の2つボタンリクルートスーツで参加した。

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 オリエンテーションの帰りに、ヨガスタジオに立ち寄ることにした。インストラクターとヨガレッスンをする予約と屋上でのスパーリングをする日時の調整をしようと思ったからだ。スタジオにいくと、インストラクターはたまたま休憩中でくつろいでいた。
 「絵里子さん!どうしたんですか?

 「あの・・・次のヨガレッスンの日程決めようかと。あとついでにスパーリングもお願いできる日もお聞きしようと思いまして。」
 「予約なら電話かメールでいいのに。あっ、でも絵里子さんに明日にでも連絡しないといけないことがあったので、ちょうどよかった!」
 「(・・・?)」
 「実は、急なんですけど、私、今週いっぱいでここを辞めて故郷に戻ることになりました。親が最近体調がすぐれず入院してしまって・・・親の面倒をいつでも見られる地元でヨガスタジオを持とうかなと。」
 「・・・先生!私はどうすればいいんですか?」
 「ここのスタジオには他にも優秀なインストラクターがいるから大丈夫です!それに絵里子さんだって、もうじきインストラクターの資格取れるから、ここも卒業でしょ?」
 「そうじゃなくて、スパーリングのことを言ってるんです!」
 「ああ、そうですね・・・他のインストラクターだと・・・。まあ、でもそこは今通っているジムで今まで以上にみっちりやれば問題ないですよね?」
 「それはそうなんですけど・・・、先生とのスパーリングできなくなるの寂しいです!・・・先生、私は来週までここに来られないので、今週いっぱいで辞める先生とはもうスパーリングできませんね。最後のお願いなのですが、ちょっとだけでいいので、今からお願いできないでしょうか?」
 「まあ・・・良いですけど。絵里子さん、グローブはロッカーにあるんだろうけど、ウェアはあるんですか?」
 「ありません。ちょっと動きにくいかもしれませんが、このリクルートスーツのままやります!今日を逃したら先生とはもうスパーリングできないですから。では、お願いします!」
 「もう始めますか?」
 「はい、お願いします!」

 絵里子と先生は、いつものようにスタジオの屋上に行き、スパーリングを開始した。
 「先生!遠慮なく、いつものようにお願いします!」
 「いつものようにって・・・リクルートスーツなのにいいの?」
 「はい、もうリクルートスーツは必要ないですから。思いっきりいつも通りやります!」

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 絵里子は炎天下、スパーリングであっという間に汗でびっしょりになってきた。そうなると、いつも先生が絵里子の身体をクールダウンさせるためにシャワーで冷水をかけるのが習慣となっていた。絵里子の希望通り、今日もいつものように頭からシャワーをかけていく。雨の中、傘もささずに歩いているかのように、リクルートスーツは少しずつ濡れていく。絵里子は身体が涼しくなったようで、ギアを1段階上げた。
 くるりと1回転して脚を高く蹴り上げた。膝丈のタイトスカートが太腿からお尻のあたりまで捲れ下着があらわになるが気にせず練習に打ち込んでいる。しばらくすると、スーツはジャケットもタイトスカートもびっしょり濡れてきた。水を含んで重たくなったうえに、タイトスカートの裏地が脚や太腿にぺったりと張り付き動きずらくなってきた。しかし、絵里子は、先生との最後のスパーリングを楽しんでいる。
 
 再びくるりと体を回転させて先ほどとは反対の脚を高く蹴り上げる。タイトスカートが太腿に張り付いたまま、脚を大きく蹴り上げたためか、「ビリッ」と鈍い音がシャワーの音の中に混じり合った。
 何度も同じようなことが繰り返されていくうちに、絵里子のリクルートスーツはブラウスや下着までびしょ濡れになるだけでなく、タイトスカートのスリットが徐々に破けていった。気が付くとスリットが大きく裂けていた。軽く脚を広げただけでもお尻があらわになってしまうほどだった。
 スカートが破けて脚の可動域が広がったこともあり、絵里子のキックに切れが出てきた。パンチ、キック、パンチ・・・と、ほどよい按配のコンビネーションでテンポよく練習は進んでいく。

 「絵里子さん、いつものようにバスタブにも入る?」
 「はい、もちろんです!(笑)」
 先生がバスタブにお湯を溜めている間に絵里子はリクルートスーツのままシャワーを浴びる。そして、後ろを見るとタイトスカートのスリット部分は想像以上に裂けていた。当然、修復できるレベルではないので二度と穿けない状態であることは分かっている。
 「お湯、溜まったよ!」
 「はい、今行きます!」
 バスタブにお湯がなみなみに溜まったらしく、絵里子はリクルートスーツ姿のままバスタブの方へと移動する。そして、そのまま湯船に浸かる。
 「(この感覚、なんか懐かしいな~。)」
 数か月前、就職活動中にこのリクルートスーツでずぶ濡れになったことを思い出していた。レッスンに遅刻して先生に罰でシャワーをかけられたりした際に、ウェアを忘れていてリクルートスーツのまま罰を受けたのであった。

 今日は、罰というわけではなく、インストラクターの急な退職という絵里子にとっては不可抗力的な偶発的要因によって起きたことではあるが、絵里子自身が望んでやっていることでもあった。もっと言えば、潜在的に絵里子がこうしたことを望んでいる(あるいは望んでいた)とも考えられた。

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 バスタブに浸かると、タイトスカートのスリットがかなり裂けていることもありスカートの布地がヒラヒラと水面に漂っている。スカートの生地の合間からは下着が時折、見え隠れしている。絵里子は後先のことなど考えていなかった。最悪、インストラクターからウェアなり何か服を借りて後日返せばよいだけだ。
 グローブもはめたままリクルートスーツでお風呂に入っているという何ともシュールな光景にインストラクターは、笑いながらスマホで写真を撮っている。
 「先生、最後にもうちょっとだけいいですか?」
 「構いませんよ。」
 絵里子は、バスタブから出ると、再び練習を再開した。さすがにお風呂に入ってどっぷり水に浸かったせいでスカートが先ほど以上に脚や太腿にぺったりと張り付いている。どうせならもっとスリットを破いて、動きやすい状態にしようと考え、立った状態で脚を大きく開いたり、膝を大きく上げたりしてスリットの破け具合をさらに深くした。

 そして、本当に最後のスパーリングをおこなった。ボクシングウェアを着ているかのような素早い足さばきに、パンチの応酬、自分の身長を超える程のハイキック・・・。

 先ほどまでオリエンテーションで着ていた時はクリーニングしたばかりで皺もなく綺麗な状態だったリクルートスーツがずぶ濡れになり、スカートはボロボロである。しかし、絵里子は様々な感慨を催しながら笑顔で充実感に浸っていた。

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