野球部マネージャーの根性…ストーリー公開
大学の野球部マネージャーである絵里子は、就職活動の合間に部の活動の精力的にこなしている。大学4年生として後輩の育成、監督などもしなくてはならないので責任ある立場でもある。
今日は女子マネージャー達の女子会が催されることになっていた。
女子会という事で絵里子はじめ参加者達は普段の部活動の際のジャージ姿とはうってかわり、パステルカラーのスーツやかわいい私服姿だ。絵里子は淡いピンク色のタイトスカートスーツ姿だ。
ここ最近は黒のリクルートスーツを着る機会が多いが、明るくい色の服装で気分も明るくなり、ウキウキ気分で女子会に参加した。
女子会のあとは、通常通りの活動があるのだが、絵里子はうっかり気が緩んでいたのか、そのことを忘れていた。部室のロッカーに私服一式があることを思い出したが、それはお気に入りのものだったし、部活動で着用するにはデザインが不適切ともいえた。
そのまま適当な口実を見つけて今日の部活動を休むことも選択肢にはあったはずだが、責任感のある絵里子はスーツ姿のまま部活動をおこうことにした。よりによって今日は後輩へのボール拭き指導の当番日だった・・・。
絵里子はしかたなく女子会で着ていたスーツを着たまま後輩へのボール拭き指導が行われる女子マネージャー専用の浴室に向かった。
ボール拭き指導とは、雨上がりのグラウンドなどで野球部員が練習する際に泥で汚れたボールを短時間ですぐに綺麗にしてボール入れに置いておくということを室内で練習するということである。場所は女子マネ専用の浴室で行うことが習慣化されていた。ちょっと広めの浴室なので、その床に即席で人工的にぬかるみを作って、その泥をボールをたっぷり付けて、泥で汚れたボールを着ている服でふきとるのだ。
女子マネージャー達は常に手ぬぐいなどを持っているわけではないので、着ている服(大抵はジャージである)で躊躇なくふき取ることができるように日ごろから練習することになっているのだ。
こうした練習まで律儀に行っているところは世界広しと言えども、絵里子が属す野球部くらいかもしれない。しかし、この練習が伝統的に続いているので、女子マネージャー達は粛々と文句も言わずに実行している。諦念からではなく、彼女たちはどこか泥だらけになることを楽しんでいるというふしがあった。
絵里子は、指導場所である女子マネージャー専用の浴室にいくと用意されていた人工のぬかるみの上でボール拭きを後輩女子マネージャーの前で実践した。
泥だらけのボールを、淡いピンク色のスーツで何度も拭きとり綺麗にしていく。最初のうちはスカートで泥をふき取っていたが、スカートは泥だらけにふき取る場所が無くなってきたので、ジャケットや、ブラウスなども使ってボールをふき取る。
その後、後輩の前で一面泥だらけの床の上にうつ伏せになってみせた。これは、春や夏の大会の後に行われる打ち上げの際に、グラウンドに水を撒いて泥でグチャグチャにして、みんなでヘッドスライディングをする恒例イベントの練習という意味もある。こうしたイベントの練習も本番で抵抗なくできるようにしておくために新入生はじめ低学年の女子たちに教えておくことも4年生の女子マネージャーの大事な役割であった。
こうした一連の練習を通して、野球部の女子マネージャー達は服のまま泥だらけになることに対して免疫ができるだけでなく、むしろ、楽しむという域にまで達するのであった。
絵里子も今、後輩の前では指導という名目上、真面目な顔をして泥だらけになっているが、スーツ姿で泥だらけになることが初めてということもあり、ある意味では非日常的な行為を心から楽しんでいた。
コメント