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2010年7月16日 (金)

二人の女子大生の運命(3)


  -試験会場の田んぼで-

 田んぼは代掻き作業が済まされていて、程よく水がためられてあった。

 「では、これから田植えの実習を行いたいと思います・・・。」
 と言いながら、リクルートスーツ姿の絵里子を心配そうに試験官は眺めていた。

 絵里子は思いもよらない展開に戸惑いながらも試験官に言われるままに田んぼに入る準備をはじめた。
 ブラジャーのラインが透けて見えるのが気になったが動きずらいのでジャケットは脱ぐことにした。スカートとブラウスを脱ぐわけにはいかないので、ジャケットだけ脱いだ状態で実習試験を行うことになる。
 さすがにパンプスやパンストは脱いで裸足になって入ることにした。

 リクルートスーツ姿で不安げな様子の絵里子をよそに、試験官は号令をかける。
 「では、はじめてください!」
 絵里子は滑らないように注意しながら田んぼの中にはいっていった。両足を田んぼの中にいれると、いままで経験したことのない感覚が足裏を襲った。苗を入れた容器を持ちながらタイトスカート姿で田の中を歩いて進むのは意外と難しかった。

 「青野さん、焦らずゆっくりでかまいませんからね。スーツが汚れないように気を付けながらやってください。」
 「あ、はい・・・。」

 田に張られた泥水の水面は絵里子のふくらはぎくらいの高さなので、しゃがんだりでもしたらタイトスカートが泥水に浸されることになってしまう。
 さらに歩くときに、ゆっくり足を移動させないとスカートやブラウスに泥ハネが飛んでしまうので、そのことにも気をつけなくてはならなかった。

 普段、中腰の体勢になることなど無いので、2、3本苗を植えては体を休めた。
休むとはいえ、田の中でのことなので、中腰というきつい体勢から逃れるために直立することが体を休める唯一の方法であった。
 日が照ってきたせいもあり、すぐさま絵里子は汗びっしょりになり、ブラウスとスカートが体にまとわりつき始めた。そのことが絵里子には大変不快に感じた。ただでさえ動きづらい服装であるのに、それに追い打ちをかけた。
 さらには、まるで雨にでも打たれたかのように汗で濡れたブラウス越しに透けて見える下着が気になり始め、田植えに集中できずにいた。

 そのせいで、ときどき、泥に足を取られてヨロヨロと体制を崩し、あやうくスーツ姿で泥の中に倒れこみそうになったが、なんとか持ちこたえている。
 容器の中の半分くらいの苗を植え終わった頃だった。田の脇から女性の声が響いた。

 「青野さん!・・・青野絵里子さん!」
 その声に絵里子は反応し、中腰の体勢のまま後ろを振り返った。泥の中深く浸かって固定されていた足が、振り返った上半身の動きに呼応することができなかった。
 そして、固定された足のままではどうすることもできず、泥の中にお尻から「パシャ」という音と泥しぶきを上げながら倒れてしまった。
 お尻を田の底につけた状態では、下半身はすべて田の中に浸かってしまった。おろしたての純白のブラウスには泥ハネもとんでいて、二度と着れないであろう状態になってしまった。
 泥の中に埋もれたタイトスカートと泥ハネで汚れてしまったブラウスを呆然と見つめ身動きできずにいる絵里子の姿がそこにはあった。
 
 「・・・青野さん。」
 沙由理は絵里子に何と声をかけていいのかすぐには思いつかなかった。
 自分と間違えて田んぼにつれてこられ、挙句の果てにはリクルートスーツ姿のまま泥だらけになってしまったみじめな絵里子の姿に、沙由理は得体のしれない罪悪感に包まれ始めた。
 むろん、沙由理には何の責任もない。試験官の責任であり、ひいては会社の責任である。しかし、苗字が同じことで自分と間違えられた絵里子に対し同情せずにはいられなかった。
 
 沙由理はジャケットも着たままであるにもかかわらずリクルートスーツ姿のまま、田んぼの中に入り込んでいった。パンプスも履いたままである。
 そして、絵里子の方へと駆け寄っていった。絵里子は田んぼの真ん中あたりで座り込んでいるため、10メートルほど移動しなくてはなからなかった。パンプスは泥に埋まってすぐさま脱げてしまった。駆け寄っているうちにタイトスカートの太ももより下が泥で染まってしまい、ジャケットにも泥ハネが激しくとんでいた。

 絵里子のもとに着くと、沙由理は何のためらいもなく、田んぼの中に膝をついて絵里子の様子をうかがった。自分もリクルートスーツを泥だらけにして絵里子と同じような状態になることで、絵里子が感じているみじめさを少なからず拭い去り、また、自分の罪悪感も和らぐと感じていた。

 沙由理は、絵里子が自身の姿に絶望感を味わっているのではないかと考えていた。否。それは違った。
 絵里子は最初に田の中にしりもちをついてしまった時は、突然の出来事に呆然としていたものの、その後、泥まみれになった自分の状態に不思議と快感を味わっていたのであった。筆舌しがたい快感・・・懐かしい感覚、そして、生温かく柔らかい泥の感触をこのまま感じていたいという衝動に駆られていた。

 リクルートスーツ姿で田んぼの真ん中でしゃがみこんでいる二人。
 脇から驚いた表情で二人を観察する試験官には、何やら会話をしているように思えたが、声は聞こえない。どうすることもできず、ただ黙っているしかなかった。
 次の瞬間、試験官はさらに驚く光景を目撃することとなった・・・。

 試験官は田の脇にある小屋へ大急ぎで向かい、浴室のバスタブにお湯をはり、小屋の外の水道の蛇口にはホースをつなげた。田んぼからは、二人の声と「バシャ」という音が何度も響きわたっていた。 (完)

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二人の女子大生の運命(3)を参照しているブログ:

コメント

>ココーズ さんへ
ありがとうございます。
夏はやはりWETですよね。
ココーズさんの作品も楽しみにしています!

私もwetストーリーを楽しみにしています。
また見るだけでなく、作ってもいきたいと思います。

>がっくん さんへ
そうですね。次はウェットストーリーです。
がっくんさんは、メッシーは好みでなくウェット好きでしたよね。
お楽しみにいただければ幸いです。お楽しみに!

この話しは完結で今度からはウェットストーリーですか?

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