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2010年4月 6日 (火)

ライバルとの戦い(1)

 4月になり桜の花びらが風で舞い、葉桜となりはじめると、就職活動中の絵里子は連日重要な面接で目白押しであった。
 就職活動のみならず、大学のゼミの授業やその他の活動でも忙しい毎日を送っていた。そんな多忙な彼女のストレス解消になっていたのが大学のサークル活動だ。それは、中学時代からずっと続けてきたソフトボールである。

 絵里子は女子ソフトボール同好会では大学1年次からずっとショートのレギュラーで4番を打ち続けていたが、今年春から外部の女子大から学士入学してきた奈緒美と熾烈なレギュラーあらそいを演じている。
 絵里子は4年生で就職活動にゼミ、論文制作と多忙をきわめ、ソフトボールの練習に回せる時間に限りがある。

 1学年下の奈緒美はまだ3年生ということで時間的にも余裕があり、暇さえあれば他のメンバーと共にソフトボールの練習に打ち込める環境であった。レギュラーをあらそう2人にとって、絵里子はあまりにも不利だ。
 しかし、中学時代からソフトボールを続けてきたという経験が大きな支えになっていたが、それは奈緒美も同じだった。つまり経験に2人はあまり差はない。そうなると、今は、可能な限り練習に時間を割いた方が有利である。

 来月には、「首都圏女子大学ソフトボール」のリーグ戦が控えていた。絵里子は連日就職活動であったが、面接や説明会、試験などが終わると、喫茶店などでくつろぐこともせず、1分でも早くと時間を惜しんでキャンパス内のグラウンドへと向かうのであった。
 そして、更衣室でリクルートスーツから上下真っ白の練習用ユニフォームに着替えるとストレッチを行ってから、バッティングはもちろん、守備や走塁練習なども行う。

 雨が降っていると外での練習はなく、自主的に体育館でトレーニングを行うが、雨さえ降っていなければ基本的にストレッチも含め活動は外で行うことになっている。
 多少グラウンドがぬかるんでいても守備練習や走塁練習も行うので、そんな時は、みんな真っ白なユニフォームをすぐに真っ黒にしてしまうのであった。 

 今日は・・・といえば、あいにく昨日から今朝まで降り続いた雨でグラウンドはぬかるんでいた。一部水たまりができている所もあり守備がしにくい場所もある。
 ただ、雨は今現在降っておらず、天気はくもりであるものの雨が降りそうな気配はないので、グラウンドでの練習はやろうと思えばできる。
 しかし、グランドはぬかるんでいるので、スパイクをはいてみんなで足を踏み入れれば瞬く間にグラウンドはぐちゃぐちゃになるだろう。
 
 したがって、走塁練習をしたり守備練習でボールにとびこみでもしたら、すぐにユニフォームは泥だらけになるだろう。グラウンドの状態も良くないので、多数決で今日の練習は各自の判断でトレーニングなりグラウンドでの練習を行うこととなった。
 ユニフォームが泥だらけになることを覚悟で殊勝にもグラウンドで守備練習や走塁練習をしようとする者のもいた。その中に、絵里子のライバルの奈緒美がいた。
 奈緒美は、何度も着込んで泥まみれになったことがあるのか、白のユニフォームは上下とも比較的目立つ茶色い染みで一面くすんでいる。

 奈緒美がグラウンドの外の部室の方に目をやると、チャコールグレーのリクルートスーツ姿の絵里子が部室に入っていこうとするのが見えた。就職活動が終わってそのままキャンパスに足を運んだのであろう。
 一方の絵里子も、ぬかるんだグラウンドにいるユニフォーム姿の部員の中に奈緒美がいることを察知した。
 「奈緒美がやるなら私もやるわよ!」と心の中では闘志むき出しであった。

 練習用のユニフォームに着替えるために絵里子は急いで部室内の更衣室へと小走りで向かった。そして、リクルートバックをロッカーにしまうときに、顔が青ざめた・・・。
 いつもロッカーの下に練習用のユニフォームをおいてある。2セット持っていて常に1セット部室においてあり、2,3日着るか、または激しく汚れたときに自宅に持ち帰って洗濯し、翌日に洗濯済みのもう1つの方をもってくるようにしていた。
 しかし、今日はユニフォームが見あたらない。誰かに嫌がらせでもされたのか。否、それは違うと絵里子は直ぐに思った。そんな陰湿なことをするメンバーは少なくても絵里子の仲間の中にはいない。ライバルとはいえ、皆、正面からの真っ向勝負で蹴落とそうとしていた。

 絵里子はユニフォームがない理由を理解した。今日は今週最初の練習であったが、先週末、自宅に持ち帰っていたのだ。
 それほど汚れていなかったので、ロッカーに置いていっても問題なかったが、週末だし、週明けに洗濯済みの綺麗なユニフォームで練習しようと考えて持ち帰っていたのであった。
 就職活動の準備やら何やらで頭の中がいっぱいだったせいもあり、ユニフォームの事をすっかり忘れていた。てっきり部室に1セット置いたままであると思っていた。

 部室の窓をあけグラウンドに目をやると、既にユニフォームを泥だらけにしながら守備練習に励むライバルの奈緒美や他のレギュラー選手達の姿があった。 
 グラウンドは当然、ドロドロにぬかるんでいる。ユニフォームが無い絵里子は練習ができない。自分で犯したミスに喪失感を抱き、泣きたい気分であった。
 来月行われる他の女子大とのリーグ戦を前に、熾烈なレギュラー争いを繰り広げる者にとって、1日でも練習を休んでライバルに差をつけられる事は致命的であった。その事は絵里子も十分理解していた。

 窓を閉めると、絵里子は今日おろしたばかりのチャコールグレーのリクルートスーツの胸元からタイトスカートの裾までゆっくりと視線を落とした。 ~(2)に続く~

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ライバルとの戦い(1)を参照しているブログ:

コメント

>ココーズ さんへ
いつもコメント・ご感想ありがとうございます!
その後の展開はご想像の通りです。分かりやすいと思います。(笑)
自らのうっかりミスでユニフォームを忘れた絵里子の行動は自ずと決まります!

このあとどうなるか大体予想はつきますが、そういうシチュエーションに持っていくまでが、すばらしいストーリー構成だと思います。
それと、個人的にとてもいいと思ったのが「正面からの真っ向勝負」というところです。今の世の中、景気が悪いこともあり、ともすればぎすぎすした人間関係が起きがちです。そういうご時勢の中で、このような表現がとても気持ちよく感じられました。

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