あこがれの着衣入浴(2)
バッグとは別に、絵里子が持っている手提げの袋の中には新品の会社の制服一式が入っていた。
絵里子の会社では、制服の持ち出しは禁止であり、クリーニングも会社が請け負う徹底ぶりで制服の外部への持ち出しは本来なら不可能である。しかし、絵里子の悪知恵により数ヶ月かけてようやく持ち出すことに成功したのであった。
部屋に入り、テーブルの上に制服をビニール袋から出して広げてみた。ジャケット、ベスト、タイトスカート、ブラウス、付けリボンと普段会社で着ている見慣れた濃紺制服が目の前にあった。制服からは布地の匂いが漂ってきて、そのことが真新しい制服であることをあらわしていた。絵里子はこの制服を着たままお風呂に入ることがたまらなく楽しみであった。
しかし、いざ新品の制服を目の前にしていると、ちょっと躊躇する気持ちが芽生えてきた。今日のところはとりあえず、保管しておくことにした。気持ちを改めて明日にでも・・・と思い、丁寧に制服をハンガーにかけてクローゼットにしまった。
そして、絵里子は、お風呂場に向かった。週末や、ストレスがたまっているときなどに、絵里子は仕事から帰宅するなりカバンや荷物を置くと、着替えずに通勤に着ていたスーツのままお風呂に入る。
今日は、本来なら「会社の制服」に着替えて着衣入浴を楽しむという予定だったが、ちょっとした気持ちの変化で予定変更だ。今着ているベージュのスーツで入浴することにした。
バスタブには勢いよく蛇口からお湯が噴出している。お湯を貯めている間、スーツの中に小物が入っていないかチェックし、何も無いことを確認すると時計をはずして洗面台の上に置いた。
そして、朝出社する時のように、髪をとかしスーツやブラウスの襟を整え、メイクをしなおした。濡れてもいい恰好や、身だしなみを崩した状態ではなく、このまま外出してもおかしくない綺麗な状態で着衣入浴するのが絵里子の流儀であった。
「身支度」をしている内に、お湯がバスタブの半分ほどのかさまでたまっていた。半身浴をする絵里子には、これでちょうど良かった。蛇口を閉め、足をバスタブの中に入れると、膝よりちょっと下で、かろうじてふくらはぎが隠れる程度であった。
そして、いつものようにためらいもなくスーツ姿のままお尻をバスタブの底につけた。タイトスカートには一気にお湯が入り込んできた。一瞬にしてびしょ濡れとなった。ジャケットはお腹の辺りまでお湯の中に浸かっていて、濡れている箇所とそうでない箇所のジャケットの色が明らかに違って見えた。
しばらく、そのままの体勢を維持しながらお湯を手で掬って肩や胸にかけて、ジャケット全体を濡らしていった。ジャケットが濡れていくにつれて、その重さと収縮力で絵里子の体は徐々に引き締められていき拘束感を感じていた。その感覚も、絵里子が着衣入浴を好む理由の一つであった。
体が温まってくると、絵里子はバスタブから出てぬるめのお湯のシャワーを頭から浴び髪を洗い始めた。
頭のてっぺんからセミロングの黒髪の毛先までくまなく濡れていくのには、それほど時間がかからなかった。あっという間に全身ずぶ濡れの姿となった。まるで大雨の中をかさも差さずに歩いていたかのようである。
お風呂からあがる前の最後に、もう一度バスタブに浸かるのが絵里子の習慣だ。後先のことを考えずに、その時の欲求にまかせるのが着衣入浴の醍醐味であることを絵里子は経験的に知っている。
バスタブの中に入ると、ジャケット、スカート、ブラウス、パンスト、下着・・・・と順番に脱いでいった。そして、お湯をつぎ足しながら入浴をしばらく堪能した。気が付くと絵里子の周りの水面にはスカートやブラウス、下着などがぷかぷかと浮かんでいた。 ~(3)へ続く~




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