ずぶ濡れヨガセラピー…ストーリー公開
中学時代からソフトボール部に属し運動が得意である絵里子は、大学でもソフトボール部に属しながら他にも色々なスポーツや運動にもチャレンジしている。その中の一つにヨガセラピーがあり、実はインストラクターの資格試験を受けるための練習を日々おこなっていた。
大学4年という事で就職活動で忙しかったが、面接や筆記試験などの合間にオンラインレッスンやヨガスタジオでのベテラン女性講師との個人レッスンなどを受けるとともに、自宅で学んだことを毎日反復練習するなど真面目に取り組んでいた。
絵里子は数週間のレッスンを受けた後、個人レッスンを担当している先生から資格試験を受ける前に実技のチェックをしてあげるからと言われ、スタジオに行く約束をした。
ある日の事、面接帰りに電車の中で絵里子は何か頭の中でひっかかるものがあり、気になっていた。
「(あれ、何か忘れてる気がするんだけど・・・。)」
最寄り駅を降りて、自動改札を通過しようとしたときに、その「忘れていたもの」を思い出した。
今日はヨガセラピーの資格試験に向けての特訓のために先生の前でこれまでの練習成果を披露することになっていたのだ。
「(あっ、今日は特訓の日だったわ!急いで行かなくちゃ!)」
さいわいヨガスタジオは絵里子の自宅のある最寄り駅から近かったため、走って行けば先生との約束の時間には何とか間に合いそうであった。
スタジオに着くと先生は不機嫌そうであった。
「あなたのために時間を空けて待っていたのに2分遅刻ですね!」
「すみません。(たかが2分じゃない!)」
「遅刻の罰として、レッスン中にシャワーで水をかけちゃいますからね!今日は暑いですし、水をかければちょうどいいかもしれませんよ。屋上スタジオで始めるから、はやく着替えてください!」
「あっ!」
「何ですか?」
絵里子は、今日の特訓の事は先ほど駅で思い出すまですっかり忘れていたたため、いつもヨガのレッスンの時に着るヨガウェアを持っていなかった。
「先生、ウェアを忘れてしまいました・・・」
「遅刻のうえにウェアを忘れたのですか!?」
「あの、今日、面接の日で・・・すっかり今日の事・・・」
「言い訳はいいです!日を改めてもいいけど、試験日は今度の日曜でしたよね。それまでに私も時間を作れるか分からないわよ。」
「先生!このリクルートスーツのままやります!」
「動きずらいでしょうに。でも、あなたがやるなら、それでも良いですよ。でも先ほど言った罰は受けてもらいますけど?」
「はい、構いません。お願いします。」
先生はちょとだけ驚いた顔をした。リクルートスーツ姿の女子大生にシャワーをかけるなどというおそらくは初めての経験に対して戸惑いもあった。
先生の号令と共に試験前の特別特訓レッスンが始まった。絵里子は日ごろの練習の成果を先生に見せるため、はりきって床にうつ伏せになったり仰向けになったりして、ヨガポーズを次々に披露した。
「(さすがに先生もシャワーをかけたりする気はないんだわ。)」
5分、10分と時間が過ぎていき、一連のヨガエクササイズを実施した。
屋上スタジオの床の上でヨガをしたために、絵里子のリクルートスーツは若干の砂埃で汚れ、皺ができていたが、遠くから見れば目立たないレベルであった。絵里子は先生の評価を待っていた。
「絵里子さん、そこのお風呂にはいりなさい。」
「えっ、スーツのままですか?」
「もちろんです。私、罰としてシャワーをかけるといったけど、ポーズの確認に集中してて、シャワーかけるの忘れたわ。(笑) だから、その代わりと言ったらなんだけど、スーツのままお風呂に入りなさい。」
スタジオの屋上には露天風呂があったが、それはヨガレッスンが終わった後に入るためのものであった。
絵里子は先生の意外な発言を潔く受け入れ、それで先生の気持ちが収まってくれるのであれば良いと思った。先生を怒らしたら、今後のことに影響し、予定通りヨガセラピストの資格を取得できなくなってしまうのではないかと危惧した。ここでリクルートスーツをずぶ濡れにしてしまう事と、資格の取得が遅れることを天秤にかけた絵里子の決断はすでに決まっていた。もともとシャワーをかけられる覚悟で臨んだ今日の特訓なのだ。これといって大きな違いはないとも感じた。
絵里子はリクルートスーツのままバスタブに浸かった。先ほどまで面接会場で着ていた恰好でお風呂に入ると濡れたスーツに身体を締め付けられたが、その感覚に程よい気持ちよさを感じた。意外な体験だった。
先生が言った。
「先ほどとは違ったことをやってみなさい。合格のためには色々な持ちネタを組み合わせた動きができるかが重要ですからね。」
絵里子は、お風呂から出ると、先ほどの動きにアレンジを加えたり、異なったポーズを披露した。濡れた状態のリクルートスーツのまま色々なポーズをとるのは動きずらいので大変に感じた。さらには、先生が絵里子の身体に向けてシャワーをかけ始めた。しかし、絵里子は何事もないように涼しい顔をしながら運動を続けている。
黒のリクルートスーツなので濡れているのかどうかが分かりにくいが、シャワーをかけると濡れた部分が日光に反射して光った。
先生によって容赦なくシャワーを何度もかけられるが、絵里子は粛々とポーズをとって、来たる試験のために頑張るのであった・・・。
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