新入社員の農業研修(2)
軍手を手にはめた絵里子らは、ジャガイモを掘るために体勢を低くした。中腰の状態ではきつく体が安定しないとのことで、講師にしゃがみ込むように指示をうける。
みんな講師の指示通りにしゃがみ込もうとするが、タイトスカートのスリット部分がぬかるんだ土につきそうで気になって仕方なかった。
万一、汚れてしまった時のためにスーツの着替えを持ってくるように講師からは言われていたので、全員着替えのスーツを用意してあった。しかし、できることなら着替えなどせずに研修を済ませたいと誰もが思っていた。
ジャガイモ畑で数名のリクルートスーツ姿の新入女子社員達が横一列にしゃがんで、講師に言われた通り、根本の周りの土に両手を添えて少し土を掘りおこした。雨上がりであるため土はぬかるんでいてやわらかかった。
容易に土を堀りおこすことはできたが、水分を含んだドロドロの泥で軍手はあっという間に汚れてしまった。こんな手でスーツに触れてしまっては大変なことになることは参加者全員が分かっていた。
絵里子は右隣の怜奈に目をやると、思わず声を上げた。
「怜奈ちゃん! スカートの後ろの裾が・・・。」
怜奈は、絵里子の言葉に反応し、自分がどういう状況に陥っているかの察しはついていた。怜奈は、とっさにスカートのお尻の部分を軍手をした手のままで触ってしまった。
「あっ!」と怜奈自身はもちろんのこと、絵里子や周りにいた女子達も叫んでしまった。
しかし、時すでに遅し。軍手に付いていたぬるぬるの泥は、クリーニング仕立てであろうか一糸乱れぬ怜奈の綺麗なチャコールグレーのタイトスカートへと付着した。
さらに悪いことには、怜奈は条件反射的に、その泥を払おうとして、逆にお尻部分一帯を泥で塗りたぐる結果になってしまった。
そして、怜奈はこの一瞬の出来事に呆然とし、体の力が抜け、わなわなとぬかるんだ畑の上にお尻を付いて座り込んでしまった。
誰にとっても衝撃的な出来事であった。講師も、怜奈に何て声をかけていいのか分からなかった。
絵里子は、自分が怜奈に声をかけたせいでこうなったのかと責任を感じていたが、何と怜奈に声をかけるべきか考えあぐねていた。
怜奈は、ぬかるんだ土の上にぺタッとお尻をついたまま身動きできないでいる。
畑の中はしばらく沈黙に包まれていたが、その沈黙を破ったのは絵里子の機転をきかした思い切った行動であった・・・。 ~(3)に続く~
みんな講師の指示通りにしゃがみ込もうとするが、タイトスカートのスリット部分がぬかるんだ土につきそうで気になって仕方なかった。
万一、汚れてしまった時のためにスーツの着替えを持ってくるように講師からは言われていたので、全員着替えのスーツを用意してあった。しかし、できることなら着替えなどせずに研修を済ませたいと誰もが思っていた。
ジャガイモ畑で数名のリクルートスーツ姿の新入女子社員達が横一列にしゃがんで、講師に言われた通り、根本の周りの土に両手を添えて少し土を掘りおこした。雨上がりであるため土はぬかるんでいてやわらかかった。
容易に土を堀りおこすことはできたが、水分を含んだドロドロの泥で軍手はあっという間に汚れてしまった。こんな手でスーツに触れてしまっては大変なことになることは参加者全員が分かっていた。
絵里子は右隣の怜奈に目をやると、思わず声を上げた。
「怜奈ちゃん! スカートの後ろの裾が・・・。」
怜奈は、絵里子の言葉に反応し、自分がどういう状況に陥っているかの察しはついていた。怜奈は、とっさにスカートのお尻の部分を軍手をした手のままで触ってしまった。
「あっ!」と怜奈自身はもちろんのこと、絵里子や周りにいた女子達も叫んでしまった。
しかし、時すでに遅し。軍手に付いていたぬるぬるの泥は、クリーニング仕立てであろうか一糸乱れぬ怜奈の綺麗なチャコールグレーのタイトスカートへと付着した。
さらに悪いことには、怜奈は条件反射的に、その泥を払おうとして、逆にお尻部分一帯を泥で塗りたぐる結果になってしまった。
そして、怜奈はこの一瞬の出来事に呆然とし、体の力が抜け、わなわなとぬかるんだ畑の上にお尻を付いて座り込んでしまった。
誰にとっても衝撃的な出来事であった。講師も、怜奈に何て声をかけていいのか分からなかった。
絵里子は、自分が怜奈に声をかけたせいでこうなったのかと責任を感じていたが、何と怜奈に声をかけるべきか考えあぐねていた。
怜奈は、ぬかるんだ土の上にぺタッとお尻をついたまま身動きできないでいる。
畑の中はしばらく沈黙に包まれていたが、その沈黙を破ったのは絵里子の機転をきかした思い切った行動であった・・・。 ~(3)に続く~
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