着衣水泳部への体験入部①

 いよいよ待ちに待った着衣水泳部への体験入部の日がやってきた。
 絵里子は、スーツケースにライトグレーと濃紺のスーツ、ブラウスや下着などを皺にならないようにきれいに詰め込んだ。帰宅時に着用するための私服を持っていこうとしたが、荷物になるのでやめた。ライトグレーか濃紺のどちらかのスーツが濡れずに済むだろうから、そのどちらかで帰ってくれば良いと考えた。

 ~ 中略 ~

 集合場所にいくと、まばらに人が集まっていた。せわしく動き、入部希望者と話してメモを取っている女子学生が、先日、絵里子の電話に出た着衣水泳部の部長だとすぐに分かった。参加者は男女合わせて10名ほどだった。部長が絵里子の存在に気が付くと近づいてきて、名前や着替えの着数などを確認した。

 周囲を見渡すと意外にも参加者のほとんどが女子だった。男子は上級生の部員が2名だ。
 女子はセーラー服などの女子高生制服やらアニメのコスプレ、マキシスカートなど、到底これからプールに入るとは思えない恰好ばかりだ。絵里子にいたっては黒の2釦スーツ。このスーツは大学の入学式で1回着用し、クリーニングに出してクローゼットに入れておいたものだ。新品同様で皺ひとつなかった。
 絵里子は、自分のスーツに視線を落とすと、後悔の念が少しだけ湧き上がってきた。・・・・・実家に行ってタンスの肥やしになっている高校時代や中学時代の制服とかテニス部時代のユニフォームを持って来ればよかったと・・・。

 まもなく、メイド服姿の部長が説明をはじめた。
 「参加者の皆さん、では、キャンパス内の室内プールに移動して、早速ですが、着衣水泳をはじめたいと思います。プールに着いたらロッカーに着替えなどの荷物を入れて、プールサイドに集合してください。着替えはもちろん持ってきているでしょうから、今着ている服のまま迅速に集合してくださいね!」

 授業がなく閑散としているキャンパス内を歩きながら、絵里子は自分が今着ているスーツの運命を悟った。プールに着くと、荷物を整え、部長の言葉通りプールサイドに行った。


 「では、皆さん、まずは準備体操を十分にしてから入水してくださいね。室内プールですけど、ここは温水ではなく冷たい

ウェット・ストーリー
2016/08/06 00:01



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