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2012年3月 7日 (水)

内定者対象「日帰り研修」(3)


 「(横山さんのあの時の表情・・・、喜んでいたように見えたけど私の気のせいかしら?)」
 絵里子は彼女の表情が気になり、瞑想しながらその訳を考えていた。しかし、もっともらしい理由が思いつかない。こうなったら直接本人に聞いてみるしかない。

 「(あと一回警策でたたかれれば私も滝行を行うことになる・・・。リクルートスーツのまま滝に打たれるなんてなかなか経験できないし・・・思い切ってやっちゃおうかな。)」
 絵里子は、横山瞳と同じ運命をたどることを自らの意思で決めた。
 そして、わざと咳をして前かがみになった。たまたま喉に痰がひっかかっていたせいもあり、演技とはいえ風邪気味の人間がする咳らしい仕儀であった。部屋中に聞こえる咳の音と前かがみになっての仕草に和尚さんが気づかないはずがない。
 案の定、和尚さんは絵里子のもとへとゆっくり歩いてきた。そして、絵里子は「望み通り」警策でたたかれる「はず」であった。

 しかし、和尚さんは、絵里子に話しかけようと顔を近づけ、今の彼女が目をつぶって何の反応もなくじっとしていることを確認すると、無言で通り過ぎていってしまった。
 「(なんで?)」
 絵里子は和尚さんの行動に不意をうたれた。また数分後に先ほどと同じように咳をして体を動かしたりしたが、和尚さんが近づいて来ることはなかった。なんとかして警策でたたかれようと絵里子は焦った。
 だが、和尚さんは絵里子のことを風邪をひいているのだと思ったらしく、絵里子はその後どんなに動いても警策でたたかれることはなかった。

 間もなく、座禅の時間は終了した。
 この間、男子が数名、滝行へと向かったが、女子では先ほどの横山瞳だけであった。絵里子は彼女が今どのような状態なのか・・・、どのような事を考えているのかと思うと気になって仕方がない。
 座禅を終えた一行は引率の人事担当者に指示され、荷物を持って滝行が行われる場所へと移動した。

 座禅室の中も寒かったが、当然とはいえ外の方が寒かった。座禅室の玄関の入口には寒暖計があった。それが正確であれば、気温は3度だ。
 朝は氷点下の寒さだったのだろう、一行が滝の方へ向かう途中の舗装されていない小道の土には霜が降りていた。その霜が少しとけた所もあるせいで道はぬかるんで滑りやすくなっていた。一行は足元に注意しながらゆっくりとした足取りで進んだ。

 滝が近づくにつれて水音が大きくなってきた。本堂や座禅室から50メートルほど歩いたところに滝があり、5メートル上の岩場から3筋の水がほぼ均等に流れ落ちている。滝の下はせいぜい5、60センチ程の水かさで溜池のようになっているが、どこからか水を排出もしているため水は池からは溢れ出すことはないようだ。

 滝行をする男子3人と女子1人の計4人が、池の脇で和尚さんから何やら説明を受けている。彼らとただ一人の女性である瞳のリクルートスーツには滝からの水しぶきがかかっていた。まるで小雨の中、傘もささずに立っているかのような状態だ。
 滝は3筋流れ落ちている内、真ん中が一番水に勢いがあった。その箇所で滝行は行われるようだ。滝行を行う者は、ひとりずつ順番にその位置に移動して滝に打たれることになっているらしく、一列に並んでいる。男子3人のあとの最後が瞳という順番だ。

 滝行を行わずに済んだ一行は、遠巻きになって滝行を行う4人を哀れみの眼差しで見つめている。ただ絵里子を除いては・・・。
 絵里子は相変わらず瞳の事が気になって、ひたすら彼女の動向を観察している。不安げな他の男子3人とは違って瞳は、まるで滝行を待ち望んでいるかのような表情に絵里子には思えた。

 いよいよ滝行が始まり、1人目、2人目・・・と男子たちは、あまりの水の冷たさに絶叫した。3人目の男子が終わり瞳の番になると周囲がざわついた。
 紅一点、スタイルも良くショートカットが似合うリクルートスーツ姿の瞳が滝行をさせられるという状況に、ここにいる全員が緊張を感じていた。
 瞳は、池の脇に腰を下ろし、水しぶきで濡れて底冷えのする岩にお尻をつけて座った。そして、2、3秒の間、滝の上の方を眺め、自分が着ているリクルートスーツへと視線を向け、さらに、池底へと視線を落とすと意を決して両足を池の中にいれた。
 水はそうとう冷たいはずだが、そうした素振りを言動には出さず気丈にも水が流れ落ちてくる方へと歩いていく。

 池の水かさは徐々に深くなっていき、やがて、瞳の太腿あたりまでタイトスカートが水没している。また、水しぶきも滝の近くは激しいようで、ジャケットにはかなりの水滴が確認できる。彼女は躊躇することなく、滝の中に身を捧げた。
 絵里子は、座禅室からの瞳の一連の行動を観察し、「あること」を確信していた。

 「かわいそう・・・。」
 「大丈夫かな・・・。」
 そんな声があちらこちらから聞こえてくる。
 しかし、絵里子だけは、別の感情を抱いていた。胸をときめかせ、「秘密の歓び」を感得しているであろう瞳に嫉妬した。 ~(最終回)に続く~

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内定者対象「日帰り研修」(3)を参照しているブログ:

コメント

>ココーズ さんへ
滝行を行うのは計4人(男子3名+女子1名)ですが、それに絵里子がどのような形で加わるのか・・・最終回にご注目ください。(笑)

久々にこのHPを拝見し、そして(3)を発見しました。
いよいよ、瞳が滝に打たれるところになりましたね。
瞳(に限らず、一同)は、まさか滝に打たれることは想像していなかったのでしょう。だから、着替えの服もスーツを用意していたのだと思います。
ともかく、この続きが楽しみにです。とくに、絵里子がどういう態度を取るかに注目しています。
私もまた、作っていきますよ!

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